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好きだから①
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同居を始め、付き合うに至った経緯を話し終えると、彼女はまた不愉快そうに唇を歪めた。
「やっぱり、酷い話よね。
いくら私がぜんっぜん気付いていなかったとしても、ちゃんと言ってくれたら良かったのに!
......彼がJOKERの、皆川 奏だって」
説明する内に、再びフツフツと沸き上がって来た怒り。
華月は相変わらず不機嫌そうな様子ではあったけれど、ボソッと呟いた。
「言わなかった、じゃなくて。
......彼は、言えなかったんじゃない?」
てっきり私の味方だとばかり思い込んでいた彼女の、思わぬ言葉。
それを聞き、またしても眉間に深いシワが寄るのを感じだ。
だけどその意図するところがいまいちよく分からなかったから、素直に聞いた。
「......どういう意味?」
すると華月は心底嫌そうな表情を隠す事無く、ボソボソと答えた。
「最初はもしかしたら、何も知らないアンタの反応を、面白がってたのかもしれない。
だけど全く疑わないアンタを前に、言えなかったんじゃないかな。
......言えば千尋が、離れていっちゃいそうなのが、恐くて」
予想外の彼女の推測に、息を飲んだ。
恐い?......あの、奏くんが?
しかしそう言われたら、その通りなのかも知れないと感じた。
「でも、もしそうだったとしても。
......やっぱり、教えて欲しかったよ」
小さな声で、呟いた。
「んー......。正直に、言ってい?」
仏頂面で、華月が聞いた。
だから私がコクンと小さく頷くと、彼女はまた溜め息を吐き、真面目な顔で告げた。
「私はアンタとあの子は、合わないと思う。
......話を聞いた限りだと皆川 奏は、とてもじゃないけど千尋の手に負えるような相手じゃない」
「やっぱり、酷い話よね。
いくら私がぜんっぜん気付いていなかったとしても、ちゃんと言ってくれたら良かったのに!
......彼がJOKERの、皆川 奏だって」
説明する内に、再びフツフツと沸き上がって来た怒り。
華月は相変わらず不機嫌そうな様子ではあったけれど、ボソッと呟いた。
「言わなかった、じゃなくて。
......彼は、言えなかったんじゃない?」
てっきり私の味方だとばかり思い込んでいた彼女の、思わぬ言葉。
それを聞き、またしても眉間に深いシワが寄るのを感じだ。
だけどその意図するところがいまいちよく分からなかったから、素直に聞いた。
「......どういう意味?」
すると華月は心底嫌そうな表情を隠す事無く、ボソボソと答えた。
「最初はもしかしたら、何も知らないアンタの反応を、面白がってたのかもしれない。
だけど全く疑わないアンタを前に、言えなかったんじゃないかな。
......言えば千尋が、離れていっちゃいそうなのが、恐くて」
予想外の彼女の推測に、息を飲んだ。
恐い?......あの、奏くんが?
しかしそう言われたら、その通りなのかも知れないと感じた。
「でも、もしそうだったとしても。
......やっぱり、教えて欲しかったよ」
小さな声で、呟いた。
「んー......。正直に、言ってい?」
仏頂面で、華月が聞いた。
だから私がコクンと小さく頷くと、彼女はまた溜め息を吐き、真面目な顔で告げた。
「私はアンタとあの子は、合わないと思う。
......話を聞いた限りだと皆川 奏は、とてもじゃないけど千尋の手に負えるような相手じゃない」
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