年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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一緒に迎えた朝①

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 ひとつ屋根の下、二人きりで夜を過ごすというのにこれだけ無防備にされたら、全く男として見られていない気がして何となく腹立たしい。
 警戒をされたらされたで今度は、きっとまた違う意味でムカつくのだろうとは思うけれど。

 起きて欲しいような、欲しくないような。
 さっき出逢ったばかりのこの人に、翻弄されまくっている自分。
 いつもはどちらかというと俺は、周囲を振り回す側の人間なはずなのに。
 でもそれが不思議と、不快ではなかった。

「とりあえず俺も、風呂だけ済ませて来るね?」

 ベッドの上。
 パジャマに身を包み、まだ夢の世界にいるらしき千尋さんに、どうせ聞こえてはいないだろうと思いながらも告げた。

 何か幸せな夢でも、見ているのだろうか?
 俺の声に反応し、彼女はふわりと無垢で無邪気な天使みたいに微笑んだ。

 それに大きく跳ねる、心音。
 ......ホント、ムカつく。

***

 浴室から戻っても、彼女はそのまま微動だにしないまま、スヤスヤと眠っていた。

 最初俺は、ソファーで眠ろうかとも考えた。
 だけどほんの少しの警戒心も抱く事なく眠る彼女の姿を再び目にして、ちょっと意地悪をしてやりたくなってしまった。
 だからベッドで眠る彼女の隣に潜り込み、そこで寝てやる事にしたのだ。

 明日目を覚ましたら、クソ真面目なこの人はきっと、さぞかし驚くに違いない。
 瞳を真ん丸に見開いて、俺を見つめて叫び声をあげる彼女の姿を想像し、悪い笑みが溢れた。

 だって俺だけがドキドキさせられて、眠れない夜を過ごすとか。
 ......そんなの、割に合わない。

「おやすみ、千尋さん。また、明日」

 眠る彼女の髪にそっと触れ、そのまま瞳を閉じた。
 案の定俺は、明け方近くまでほとんど眠る事なんて出来なかったけれど。
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