年下俺様アイドルの、正しい飼い方

ryon*

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無防備過ぎる女③

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 人通りのめっきり少なくなった夜道を、目的もなく車を走らせ続ける。

 コンビニに行くだなんて言ったけれど、本当に何か買いたい物があったワケじゃない。
 くたくたに疲れているであろう千尋さんに、気を遣わせたく無かった。
 ただそれだけだった。

 とは言え見ず知らずの、年頃の女性とふたりで過ごす夜。
 俺の職業を思うとそれは、ちょっとというか、かなりまずい状況かも知れない。

 マネージャーの高城たかしろさん辺りにバレようモノならば、きっと大事になるに違いない。
 もしかしたら、卒倒されてしまうかも知れないくらいだ。

「まぁでも......バレなきゃ、いいか」

 自然と上がる、口角。
 それがフロントミラーに写り、これじゃあアイドルじゃなく悪役ヒールにしか見えないなと気付いた。
 だからちょっと苦笑して、直ぐ様顔の筋肉を無理矢理動かし、爽やかに見えているであろう笑顔を顔面に貼り付けて表情を固定した。

***

 小一時間ほどしてマンションに戻り、カードキーを使って解錠して入室した。

 しかし視界に飛び込んで来た光景に、愕然とした。
 既に風呂から上がったらしい彼女は、あろうことかソファーの上、スヤスヤと健やかな吐息を立てて眠っていたのだ。

 何なの?この女。さっきまでは、あんなに俺に対して警戒心剥き出しだった癖に。
 ......あり得ないだろ、無防備過ぎる。

 でも心地良さそうに眠るその横顔は、起きていた時以上に幼く、可愛らしく見えた。

 さっきは床で寝ろだなんて言ったけれど、さすがに女の子をそんな場所で寝させるワケにはいかない......よな。

「おーい、千尋さん?
 ......起きないと、襲っちゃうよ?」

 彼女の柔らかな髪に触れ、耳元で囁いた。
 勿論寝込みを襲うなんて真似、するつもりは更々無かったけれど。

 何度か声を掛けてみたが、余程疲れているのか、千尋さんは全く起きる気配が無い。
 だからそっと背中側に腕を差し込み、華奢で小柄な体をお姫様みたいに横抱きにして、俺のベッドに運んだ。
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