年下俺様アイドルの、正しい飼い方

チヒロハ、コンランシタ③

　ま......眩しい！
　でも......うん、こんな風に無邪気に笑う子が、私を襲うなんてあり得ない。
　
　穢れた妄想をしてしまった事を、心から申し訳なく感じたタイミングで。
　男はずいと距離を詰め、しかし私に触れる事無く、耳元で甘く囁いた。

「とはいえ俺、マテはあんまり得意じゃないんだよね。
　......だからうっかり噛みついちゃったら、ごめんね？」

　......やっぱりこの男、危険過ぎる！

　そう思い、やはり今からでもホテルか姉の家に避難した方が良いのではないかと考えたそのタイミングで。
　彼はふわりと微笑み、私の髪に触れた。

「冗談だから。......千尋さん、面白過ぎ」

　可愛かったり、意地悪だったり......と思ったらこんな風に、急に大人びた顔で笑ったり。
　......くるくると変化するその表情から、目が離せない。

「風呂、もう沸かしてあるから。
　先に入ってくれて、良いよ？」

　その言葉に、またしてもドキリとさせられた。
　そして瞳を覗き込み、探るような視線を私に向けたまま艶やかにまた微笑んだ。

「それとも、ご主人様。
　......ペットと一緒に、入ってみる？」

　男性とそういう経験・・・・・・が全くないワケではないが、何分かなりご無沙汰だ。
　それにこれまでそういう関係になった相手とは全てきちんと段階を踏み、お付き合いをした上でのみ。
　当たり前の話だが、一夜限りの関係的なのはこれまで、一切経験が無い。

　驚き過ぎて叫ぶ事すら出来ず、彼の整った顔面を凝視したせいだろう。
　彼はちょっと気まずそうに視線をそらし、不満そうにボソッと呟いた。

「何、その顔。......ホント調子、狂うんだけど」

　それから彼は、ちょっと困り顔で笑って言った。

「俺が居たら入りづらいと思うから、コンビニで時間潰してくるね」