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第2章 マジックフェスティバル
【60話】 魔滅神矢
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『それでは、時間もいい感じニャので!マジックフェスティバル3回戦を行いたいと思います!選手の2人はグラウンドへ!!』
グラウンドへ足を踏み出す。
高揚感と緊張が体中を駆け巡る。
向かい合う相手は同じ学園での友、実力は恐らく互角と言っても過言ではない。
だからこそ、今日この場でどちらが上なのかの証明をするのだ。
『2人は同じパゼーレ学園出身の選手という事でパゼーレ学園の教員であるルコードさんはこの試合、どっちが勝つと思うニャ?』
『そうですね……見た感じ、2人の実力はそう変わりないと思いますね。
ですが、学園の授業ではデイ選手の方が勝率が高いイメージがあります。』
『ニャる程、つまりこの試合デイ選手が勝つ確率が高いと?』
『さぁ、それはどうですかね?』
「それではマジックフェスティバル3回戦、第1試合を始めます。
2人とも魔性輪の準備を。」
審判に準備を促され、魔性輪をはめる。
デイは戦斧を取り出し、構える。
黒と白、2つの短剣を出しそれぞれ両手で持つ。もう1本、灰色の短剣があるのだが、それは今は出さずに温存しておく。
そして俺は。
「接続っ!」
2つの短剣を1つの灰色の弓にする。
さっきのデイの試合、ちゃんと見ていた。
デイがタイガに触れた途端、あの魔法を放った。つまりあの魔法を放つには直接的に相手に触れるといった条件があるのだろう。
だからこそ、直接デイに触れられてあの魔法を発動されないように、この試合では遠距離からの弓による攻撃を仕掛ける。
『ニャんですか!?あのユウト選手のあれは!?人器同士がくっついて弓にニャっちゃいましたニャ!!』
「!?」
俺のジン器を見て、会場そしてデイも驚いている。
それに対して俺は一言。
「本気で戦うって言っただろ?」
それを聞いたデイは笑う。今までの試合では出さなかった奥の手を自分に使うという事が嬉しくなっているのだ。
「そ、それでは試合……開始!!」
審判が試合開始の合図をした途端、後ろへ飛びデイから距離を取る。
弓を構える。ドサイとの戦いではもう1つのジン器を矢にして放った。
その時は放った後、数秒程の手足の痺れでまともに動けなかった。
あの戦いからそのデメリットを無くす為に特訓をしていた。その成果がこれだ。
魔力を矢状に形造る。魔力の矢を弓にかけて矢を引く。
「──魔状矢 拡散」
矢を放つ。魔力で造られた矢は無数に分かれてデイへ向かっていく。
「……ッッ!サンダアーマー!」
デイは魔状矢の対処として雷の魔力で身を守る。魔状矢はあっけなく防がれる。
やはり、ジン器よりも威力が落ちる。
それでも手を休める訳にはいかない。
デイに触れられないように動きながら魔状矢を放つ。サンダアーマーに防がれるもそれでデイを撹乱出来ているのなら……
「……見慣れた。」
デイが呟き、サンダアーマーを解いた。
そして次の瞬間には魔状矢を避けて俺へ向かってくるのだ。
そうデイはこの短時間で魔状矢を見切ったのだ。流石にジン器代わりの魔力矢では限界があったか。
俺はデイの接近に伴い、ジン器を弓から2対の短剣に戻して接近戦の構えをとる。
注意すべきはデイの手、あれに触れられればあの大技が来るのは確定だろう。
そしてデイが人器である戦斧で俺に斬りかかる。それを短剣2つで受け止める。
少しの間拮抗するが、すぐに攻防が始まる。
デイの戦斧と俺の短剣がぶつかり合う音が幾度も鳴る。途中、デイがこちらに手を伸ばすが、それをギリギリで躱しつつ戦斧の対処をする。
試合は長期化すると思われたが、試合はすぐに動きを見せる。
攻防の最中、少し下がろうとした俺の背中に痺れるように痛みが走る。
それはデイによる魔法。いつの間にか俺の後ろに雷の魔力を設置していたのだった。
それをくらった俺は一瞬だけ、動きが止まる。この攻防の最中、動きが止まるのは致命的だった。
デイの手が発勁のように俺の体に触れた。
その発勁によるダメージは少ないが、問題はそこではない。あれが……くる。
デイは笑みを見せながら手を天にかざす。
途端に空は曇り始め、暗雲が立ち籠め雷鳴が鳴り出す。
そして……
「グロムインパクト!!」
巨大に雷が俺に迫ってくる。
どうする!?あの魔法をくらったら流石に一撃だ。生半可な火力ではあの魔法を飛ばせない!
俺のジン器のもう1つの形態、刀を出すか?いやあれはまだ扱えきれない。
雷撃が迫ってくる。状況は絶望的、それでもまだ手はある。
俺は雷撃を避けようと地面を駆け回る。
雷撃は俺を追ってついてくる。……大丈夫俺ならやれる。失敗なんかしない。
決心をつけて俺は1回戦で見せたように空へ舞い上がる。
何をする気だ!?とデイの表情からはそううかがえた。俺の答えはこれだ。
俺は暗雲の中へと入って行き、姿が見えなくなっていた。会場の観客の視線が俺が入った暗雲に集中する。
「接続っ!!」
そして次にこの人たちが見た光景は暗雲から出てくる俺、その手にはさっきの弓と灰色でさっきの魔力の矢とは違う矢だった。
弓をあの雷撃に向かって構える。チャンスは一度きり、この1発で決まる。
優斗が今から放つ技は、彼自身が人に対して使う事を禁止した技。
当たれば相手を死なせる一撃必殺の矢。
その名は……
「──魔滅神矢」
グラウンドへ足を踏み出す。
高揚感と緊張が体中を駆け巡る。
向かい合う相手は同じ学園での友、実力は恐らく互角と言っても過言ではない。
だからこそ、今日この場でどちらが上なのかの証明をするのだ。
『2人は同じパゼーレ学園出身の選手という事でパゼーレ学園の教員であるルコードさんはこの試合、どっちが勝つと思うニャ?』
『そうですね……見た感じ、2人の実力はそう変わりないと思いますね。
ですが、学園の授業ではデイ選手の方が勝率が高いイメージがあります。』
『ニャる程、つまりこの試合デイ選手が勝つ確率が高いと?』
『さぁ、それはどうですかね?』
「それではマジックフェスティバル3回戦、第1試合を始めます。
2人とも魔性輪の準備を。」
審判に準備を促され、魔性輪をはめる。
デイは戦斧を取り出し、構える。
黒と白、2つの短剣を出しそれぞれ両手で持つ。もう1本、灰色の短剣があるのだが、それは今は出さずに温存しておく。
そして俺は。
「接続っ!」
2つの短剣を1つの灰色の弓にする。
さっきのデイの試合、ちゃんと見ていた。
デイがタイガに触れた途端、あの魔法を放った。つまりあの魔法を放つには直接的に相手に触れるといった条件があるのだろう。
だからこそ、直接デイに触れられてあの魔法を発動されないように、この試合では遠距離からの弓による攻撃を仕掛ける。
『ニャんですか!?あのユウト選手のあれは!?人器同士がくっついて弓にニャっちゃいましたニャ!!』
「!?」
俺のジン器を見て、会場そしてデイも驚いている。
それに対して俺は一言。
「本気で戦うって言っただろ?」
それを聞いたデイは笑う。今までの試合では出さなかった奥の手を自分に使うという事が嬉しくなっているのだ。
「そ、それでは試合……開始!!」
審判が試合開始の合図をした途端、後ろへ飛びデイから距離を取る。
弓を構える。ドサイとの戦いではもう1つのジン器を矢にして放った。
その時は放った後、数秒程の手足の痺れでまともに動けなかった。
あの戦いからそのデメリットを無くす為に特訓をしていた。その成果がこれだ。
魔力を矢状に形造る。魔力の矢を弓にかけて矢を引く。
「──魔状矢 拡散」
矢を放つ。魔力で造られた矢は無数に分かれてデイへ向かっていく。
「……ッッ!サンダアーマー!」
デイは魔状矢の対処として雷の魔力で身を守る。魔状矢はあっけなく防がれる。
やはり、ジン器よりも威力が落ちる。
それでも手を休める訳にはいかない。
デイに触れられないように動きながら魔状矢を放つ。サンダアーマーに防がれるもそれでデイを撹乱出来ているのなら……
「……見慣れた。」
デイが呟き、サンダアーマーを解いた。
そして次の瞬間には魔状矢を避けて俺へ向かってくるのだ。
そうデイはこの短時間で魔状矢を見切ったのだ。流石にジン器代わりの魔力矢では限界があったか。
俺はデイの接近に伴い、ジン器を弓から2対の短剣に戻して接近戦の構えをとる。
注意すべきはデイの手、あれに触れられればあの大技が来るのは確定だろう。
そしてデイが人器である戦斧で俺に斬りかかる。それを短剣2つで受け止める。
少しの間拮抗するが、すぐに攻防が始まる。
デイの戦斧と俺の短剣がぶつかり合う音が幾度も鳴る。途中、デイがこちらに手を伸ばすが、それをギリギリで躱しつつ戦斧の対処をする。
試合は長期化すると思われたが、試合はすぐに動きを見せる。
攻防の最中、少し下がろうとした俺の背中に痺れるように痛みが走る。
それはデイによる魔法。いつの間にか俺の後ろに雷の魔力を設置していたのだった。
それをくらった俺は一瞬だけ、動きが止まる。この攻防の最中、動きが止まるのは致命的だった。
デイの手が発勁のように俺の体に触れた。
その発勁によるダメージは少ないが、問題はそこではない。あれが……くる。
デイは笑みを見せながら手を天にかざす。
途端に空は曇り始め、暗雲が立ち籠め雷鳴が鳴り出す。
そして……
「グロムインパクト!!」
巨大に雷が俺に迫ってくる。
どうする!?あの魔法をくらったら流石に一撃だ。生半可な火力ではあの魔法を飛ばせない!
俺のジン器のもう1つの形態、刀を出すか?いやあれはまだ扱えきれない。
雷撃が迫ってくる。状況は絶望的、それでもまだ手はある。
俺は雷撃を避けようと地面を駆け回る。
雷撃は俺を追ってついてくる。……大丈夫俺ならやれる。失敗なんかしない。
決心をつけて俺は1回戦で見せたように空へ舞い上がる。
何をする気だ!?とデイの表情からはそううかがえた。俺の答えはこれだ。
俺は暗雲の中へと入って行き、姿が見えなくなっていた。会場の観客の視線が俺が入った暗雲に集中する。
「接続っ!!」
そして次にこの人たちが見た光景は暗雲から出てくる俺、その手にはさっきの弓と灰色でさっきの魔力の矢とは違う矢だった。
弓をあの雷撃に向かって構える。チャンスは一度きり、この1発で決まる。
優斗が今から放つ技は、彼自身が人に対して使う事を禁止した技。
当たれば相手を死なせる一撃必殺の矢。
その名は……
「──魔滅神矢」
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