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第2章 マジックフェスティバル
【59話】 怪しい取引
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俺は観客席から離れて、通路に来ていた。
もう第4試合は始まってる頃だろうか?
俺はさっきのクラックの試合を見て待っていられなくなったのだ。
少し落ち着かせないと、と思うが気分を抑え込もうとする気持ちよりも試合に対する興奮がそれを上回る。
それにデイが本気で戦いたいと言ってくれた。それだけでもうワクワクしてくるんだ。
友達と全力で戦えるなんて久しぶりだからな。
久しぶり……?
あれ?俺って友達とそんな全力で戦った事ってあったっけ?
最後にそんな事をしたのはいつだっ……。
「あのー……少しいいかな?」
当然、後ろから声をかけられてビックリしながら声の方へ振り返る。
物凄く考え事をしていたからか、誰か来た事にすら気づかなかった。
「えっ……と、誰ですか?」
「あぁ、私はトハクという物です。実は貴方に頼みたい事があってきました。」
俺に声をかけて来た人はトハクと名乗った。黒色のスーツのような服を着た黒髪を七三分けにした男だった。
しかし、俺が注目したのはそこでは無く、トハクとなのった男の表情だった。
カイシの、表情は一般的にいえば笑顔となる顔なのだが、その笑顔はどこか歪でまるで造られたかのような気味の悪い顔だった。
「あっはい、それで頼みって……?」
たとえ胡散臭くても、話くらいは聞かきゃと思い要件を尋ねた。
「それがですね!実はこれ内緒なのですが私はマジックフェスティバルで誰が優勝するかという賭けをしておりまして……」
賭け?そんな事って色々と大丈夫なのだろうか?……って内緒って言ってる時点でアウトな奴か。
「頼みたい事はたった1つ、それは……」
「貴方、決勝で負けてくれませんか?」
はぁ!?
えっとつまり、トハクが頼みたい事っていうのは俺に八百長をしろって事なのか?
「なんで俺がそんな事をしなきゃいけないんだ?」
いきなりの頼みで少し不機嫌ながらも理由を尋ねる。
「いやぁ、実は私優勝をクラック、そして準優勝を貴方で賭けているんですよ!ですので貴方が優勝してしまうと、とても不味い事になってしまうんですよ」
つまるところ、結局は自分が金欲しさの為って訳か。そんな事をさせて俺になんの得があるっていうんだ。
「もちろん、タダでとは言いません。もし私の賭けが成立する様ならば、貴方には1割をお譲り受けします!ですので……」
トハクは俺の心を読んだかのように条件を提示してきた。1割か……賭けに勝ってどれだけの金額を貰えるかはわからないが、まぁ少しは貰えるようだ。
まぁでも……
「遠慮します。俺はそんな事をしてまで金を貰いたくはないので」
当然、俺は提案を拒否した。
「へっ……?」
トハクは驚いた表情で固まってしまっている。だって、折角強い奴らと戦えるっていうのに手加減しろだなんて失礼にも程がある。
それに俺だって優勝したいんだ。そんな他人の都合で捨てられるもんか。
『決まったぁ!!第4試合の勝者は~!!』
ちょうどいいタイミングで第4試合が終了した。
「あっ、そろそろ試合が始まるので俺はこれで。じゃっ!」
そう言い残してそそくさとトハクから離れてグラウンドへと向かった。
さぁ遂に、デイとの真剣勝負だ!!
「ふざけやがって……あのガキィ!!」
とり残されたトハクはそう呟く。
「俺を舐めた事、後悔させてやる。決勝で楽しみしてやがれ」
そうしてトハクその場から去っていった。
もう第4試合は始まってる頃だろうか?
俺はさっきのクラックの試合を見て待っていられなくなったのだ。
少し落ち着かせないと、と思うが気分を抑え込もうとする気持ちよりも試合に対する興奮がそれを上回る。
それにデイが本気で戦いたいと言ってくれた。それだけでもうワクワクしてくるんだ。
友達と全力で戦えるなんて久しぶりだからな。
久しぶり……?
あれ?俺って友達とそんな全力で戦った事ってあったっけ?
最後にそんな事をしたのはいつだっ……。
「あのー……少しいいかな?」
当然、後ろから声をかけられてビックリしながら声の方へ振り返る。
物凄く考え事をしていたからか、誰か来た事にすら気づかなかった。
「えっ……と、誰ですか?」
「あぁ、私はトハクという物です。実は貴方に頼みたい事があってきました。」
俺に声をかけて来た人はトハクと名乗った。黒色のスーツのような服を着た黒髪を七三分けにした男だった。
しかし、俺が注目したのはそこでは無く、トハクとなのった男の表情だった。
カイシの、表情は一般的にいえば笑顔となる顔なのだが、その笑顔はどこか歪でまるで造られたかのような気味の悪い顔だった。
「あっはい、それで頼みって……?」
たとえ胡散臭くても、話くらいは聞かきゃと思い要件を尋ねた。
「それがですね!実はこれ内緒なのですが私はマジックフェスティバルで誰が優勝するかという賭けをしておりまして……」
賭け?そんな事って色々と大丈夫なのだろうか?……って内緒って言ってる時点でアウトな奴か。
「頼みたい事はたった1つ、それは……」
「貴方、決勝で負けてくれませんか?」
はぁ!?
えっとつまり、トハクが頼みたい事っていうのは俺に八百長をしろって事なのか?
「なんで俺がそんな事をしなきゃいけないんだ?」
いきなりの頼みで少し不機嫌ながらも理由を尋ねる。
「いやぁ、実は私優勝をクラック、そして準優勝を貴方で賭けているんですよ!ですので貴方が優勝してしまうと、とても不味い事になってしまうんですよ」
つまるところ、結局は自分が金欲しさの為って訳か。そんな事をさせて俺になんの得があるっていうんだ。
「もちろん、タダでとは言いません。もし私の賭けが成立する様ならば、貴方には1割をお譲り受けします!ですので……」
トハクは俺の心を読んだかのように条件を提示してきた。1割か……賭けに勝ってどれだけの金額を貰えるかはわからないが、まぁ少しは貰えるようだ。
まぁでも……
「遠慮します。俺はそんな事をしてまで金を貰いたくはないので」
当然、俺は提案を拒否した。
「へっ……?」
トハクは驚いた表情で固まってしまっている。だって、折角強い奴らと戦えるっていうのに手加減しろだなんて失礼にも程がある。
それに俺だって優勝したいんだ。そんな他人の都合で捨てられるもんか。
『決まったぁ!!第4試合の勝者は~!!』
ちょうどいいタイミングで第4試合が終了した。
「あっ、そろそろ試合が始まるので俺はこれで。じゃっ!」
そう言い残してそそくさとトハクから離れてグラウンドへと向かった。
さぁ遂に、デイとの真剣勝負だ!!
「ふざけやがって……あのガキィ!!」
とり残されたトハクはそう呟く。
「俺を舐めた事、後悔させてやる。決勝で楽しみしてやがれ」
そうしてトハクその場から去っていった。
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