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54話
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私はジユの手を握り返す。
*「この二枚ね?お父さんが手帳に入れてずっと持ち歩いてた写真なんだって。ジユはお父さんに愛された記憶はないって言ってたけど…お父さん…ちゃんとジユのこと愛してたよ?自分の宝物って書いてるじゃん…もちろんオサの事もお父さんは愛してた…」
J「今さらこんなのズリィよ…親父…」
ジユの目から涙がポロポロとこぼれ出し微かに震えながら自分の胸に手を当てた。
*「お父さんね?検査も全てして自分に万が一の事があった時は家族であるジユに心臓を提供するってちゃんと書面に書いて残してたらしいよ。それが…不器用なお父さんなりのジユへの愛だったんじゃないかな…?」
涙で震えるジユを見て私の目からも涙が溢れる。
J「なんだよそれ…俺、親父に反抗ばっかしてきたのによ…親孝行すらまだ出来てないのに…」
*「ジユはお父さんにもらったこの心臓でこれから自分のやりたい事をして沢山の笑って一生懸命生きていく事がお父さんへの親孝行になるんだよ?だから…強く生きなきゃね…私も血が繋がってないのあんなに愛してくれたこと…お父さんに感謝しなきゃ…」
私は震えるジユをぎゅっと抱きしめるとそれに応えるかのようにジユも私をぎゅっと抱きしめた。
J「ルリ…俺と出会ってくれて本当にありがとう…ルリがいなかったら…本当に独りぼっちだった。」
*「そんな事ないよ。ジユは私だけにじゃない沢山の人に愛されてる。だから、これからはもう私がいないと独りぼっちだなんて言わないで?ちゃんと、周りから愛されてる事や支えられている事に気付きながら生きていってほしいの。」
私の言葉にジユは顔を上げて泣き腫らした顔で私を見つめる。
J「分かった…ルリ…俺、トモキにも謝らなきゃ…俺の方が年下なのにずっと呼び捨てで呼んでたって。」
ジユは涙を拭きながら少し気まずそうに笑った。
すると…
T「なんだよ…せっかく弟が出来たと思って嬉しいかったのに…」
声のする方を振り返るとトモキが車いすに乗ってジユの病室へと入ってきていた。
J「トモキくん…話をするの初めてですね。いつも綺麗な寝顔みてましたよ。」
涙目のままジユが笑う。
T「勝手に覗き見とは悪趣味だな。なんだ…弟じゃなかったのか…」
トモキはわかりやすいぐらいに落ち込んでいる。
*「ねぇ…トモキ…どこから話聞いてたの?」
T「え?俺たちが異母兄弟じゃないってところらへんから?」
*「いや、それ最初らへんだし?」
T「まぁまぁいいじゃないの?石鹸忘れたから可愛い弟に借りようと思ってきたら話し込んでるからつい?にしても、弟じゃなかったのかよ…つまんねぇ。」
*「トモキずっと弟欲しいって言ってたもんね?」
J「あははは…まぁ、弟にはなれないけど兄にはなろうと思えばなれるよ?ねぇ、ルリ?」
ジユの突然の言葉に私は動揺を隠せず目が泳ぐ…
*「は?は?ちょっと言ってる意味が分からないですね?は?」
T「姉ちゃんさ?焦った時には?って言う癖…出ちゃってるよ。ほんとさ?俺が眠ってる間に姉ちゃんは一体何してんのマジで!?しっかりしてよね姉ちゃん!!まぁ、姉ちゃんのそばにジユくんがいるなら安心!ってそう言う事でしょう?」
トモキは私の腕を小突きながらそう言った。
*「うん…?」
J「ルリ…こんな俺でもこれからもそばにいてくれる?」
そんなこと私の方が聞きたいよ…
こんなに優しく私を包み込むように愛してくれる人なのに…
私なんかでいいのだろうか…
*「私なんかでいいの…?ほんとに…」
J「当たり前だろ?ルリがいいんだ…ルリが俺の幸せなんだから…」
ジユが真剣な目で言うからその場にいたトモキに思いっきり白い目で見られた。
T「もう~弟として姉ちゃんが告られてる所とか見せられるのマジ勘弁~寒気するわ~!!」
そう言いながらトモキは石鹸を持って消えて行った。
つづく
*「この二枚ね?お父さんが手帳に入れてずっと持ち歩いてた写真なんだって。ジユはお父さんに愛された記憶はないって言ってたけど…お父さん…ちゃんとジユのこと愛してたよ?自分の宝物って書いてるじゃん…もちろんオサの事もお父さんは愛してた…」
J「今さらこんなのズリィよ…親父…」
ジユの目から涙がポロポロとこぼれ出し微かに震えながら自分の胸に手を当てた。
*「お父さんね?検査も全てして自分に万が一の事があった時は家族であるジユに心臓を提供するってちゃんと書面に書いて残してたらしいよ。それが…不器用なお父さんなりのジユへの愛だったんじゃないかな…?」
涙で震えるジユを見て私の目からも涙が溢れる。
J「なんだよそれ…俺、親父に反抗ばっかしてきたのによ…親孝行すらまだ出来てないのに…」
*「ジユはお父さんにもらったこの心臓でこれから自分のやりたい事をして沢山の笑って一生懸命生きていく事がお父さんへの親孝行になるんだよ?だから…強く生きなきゃね…私も血が繋がってないのあんなに愛してくれたこと…お父さんに感謝しなきゃ…」
私は震えるジユをぎゅっと抱きしめるとそれに応えるかのようにジユも私をぎゅっと抱きしめた。
J「ルリ…俺と出会ってくれて本当にありがとう…ルリがいなかったら…本当に独りぼっちだった。」
*「そんな事ないよ。ジユは私だけにじゃない沢山の人に愛されてる。だから、これからはもう私がいないと独りぼっちだなんて言わないで?ちゃんと、周りから愛されてる事や支えられている事に気付きながら生きていってほしいの。」
私の言葉にジユは顔を上げて泣き腫らした顔で私を見つめる。
J「分かった…ルリ…俺、トモキにも謝らなきゃ…俺の方が年下なのにずっと呼び捨てで呼んでたって。」
ジユは涙を拭きながら少し気まずそうに笑った。
すると…
T「なんだよ…せっかく弟が出来たと思って嬉しいかったのに…」
声のする方を振り返るとトモキが車いすに乗ってジユの病室へと入ってきていた。
J「トモキくん…話をするの初めてですね。いつも綺麗な寝顔みてましたよ。」
涙目のままジユが笑う。
T「勝手に覗き見とは悪趣味だな。なんだ…弟じゃなかったのか…」
トモキはわかりやすいぐらいに落ち込んでいる。
*「ねぇ…トモキ…どこから話聞いてたの?」
T「え?俺たちが異母兄弟じゃないってところらへんから?」
*「いや、それ最初らへんだし?」
T「まぁまぁいいじゃないの?石鹸忘れたから可愛い弟に借りようと思ってきたら話し込んでるからつい?にしても、弟じゃなかったのかよ…つまんねぇ。」
*「トモキずっと弟欲しいって言ってたもんね?」
J「あははは…まぁ、弟にはなれないけど兄にはなろうと思えばなれるよ?ねぇ、ルリ?」
ジユの突然の言葉に私は動揺を隠せず目が泳ぐ…
*「は?は?ちょっと言ってる意味が分からないですね?は?」
T「姉ちゃんさ?焦った時には?って言う癖…出ちゃってるよ。ほんとさ?俺が眠ってる間に姉ちゃんは一体何してんのマジで!?しっかりしてよね姉ちゃん!!まぁ、姉ちゃんのそばにジユくんがいるなら安心!ってそう言う事でしょう?」
トモキは私の腕を小突きながらそう言った。
*「うん…?」
J「ルリ…こんな俺でもこれからもそばにいてくれる?」
そんなこと私の方が聞きたいよ…
こんなに優しく私を包み込むように愛してくれる人なのに…
私なんかでいいのだろうか…
*「私なんかでいいの…?ほんとに…」
J「当たり前だろ?ルリがいいんだ…ルリが俺の幸せなんだから…」
ジユが真剣な目で言うからその場にいたトモキに思いっきり白い目で見られた。
T「もう~弟として姉ちゃんが告られてる所とか見せられるのマジ勘弁~寒気するわ~!!」
そう言いながらトモキは石鹸を持って消えて行った。
つづく
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