32 / 85
32話
しおりを挟む
いくら拒んでもジユはベッドに当たり前のような顔をしてベッド入ってくる。
*「ジユがこっちで寝るなら私が二階の部屋で寝ようか?」
そう言って私がベッドから降りようとすると手首をグッと引っ張られ…
結局は素直にジユの胸の中におさまってしまい、自分の自制心のなさにはほんと驚くばかり。
J「ねぇ…ルリ?ルリは…親父のこと好きだった?」
*「え…うん…唯一私を愛して愛情をくれた人だから…大好きだったよ…」
J「そっか…俺は親父に愛された記憶ないからさ…ごめん変なこと聞いて……少し寝て?」
*「うん…ねぇ、ジユ…」
J「ん?」
*「私の母がジユのお母様とジユにした事…私が代わりに謝るよ…本当にごめんなさい…」
J「ルリが謝る事じゃないよ…」
ジユは私を抱きしめ直すと、私はジユの温もりを感じながらしばしの眠りに落ちた。
夢の中では父とトモキと私が楽しく一緒に遊んでいて…
心地よい夢の中からスッと現実に引き戻される。
O「ルリさん?そろそろ病院行こうか?」
ゆっくりとまぶたを開けるとオサが優しく起こしてくれた。
*「うん…」
そして、私達はオサの運転で病院へと向かった。
病院についてすぐ、ジユはオサと一緒にお父さんの所へ行った。
きっと、治療する事を決めたと報告に行っているのだろう…
そのまま入院になるジユの荷物を持って私はトモキの病室を訪れた。
扉の向こうに母がいなかった事にホッとしながら中に入りトモキの横に座り手を握る。
*「トモキ…昨日はすぐに帰っちゃってごめんね…また会いに来たよ?トモキ…お姉ちゃんのせいでこんな目に遭わせちゃって…ごめんね…」
トモキの大きな手を撫でると指がピクっと動いた。
*「トモキ?トモキ…」
その問いかけにまた、指をピクっと動かす。
聞こえてるんだね…早く目を覚まして…お願い。
時間が許す限りトモキの手を握り頬を何度も撫でた。
愛しくて可愛い私の弟…
何気なくトモキのベッドに付いてある名札を見ると主治医の所にオサの名前があった…。
オサは…ここの病院のお医者さんだっただね。
しばらくするとノックの音がして白衣姿のオサが病室に入ってきた。
*「オサがトモキの主治医だったんだね…?」
O「そうだよ…親父に頼まれてトモキの主治医になった。まぁ、今日からはジユの主治医でもあるけどね?分かると思うけどこの病室は特別個室だよ。ジユも隣の特別個室に入院する事になった。親父の思惑通りに全て動いてる感じだね…」
オサは耳に聴診器を当てて少しため息をついてトモキの診察を始めた。
オサの手が止まりトモキの服を直す。
*「お父さんの思惑って…もしかしてトモキを自分の籍に入れてこの病院の後を継がせるつもり…ってこと?」
O「たぶんね…?ジユはあの体じゃ医者は無理だ…なら自分の血を引き継いでるトモキにって思ってるんだろう…」
*「この子が医者なんて…オサがいるじゃない…」
O「俺はあくまで補欠だよ。トモキがここに運ばれてきたのをいい事に親父は企んでるよ…。」
*「ねぇ…なんでオサはそこまで知ってるの?この事…」
O「うーん。昔、ジユの母親が書いた日記を読んだんだ。そこに書かれてあったのと俺が子供の頃に見たり聞いたりした現実と…親父の美人秘書たちから俺、人気あるからそこから情報をね?どこまでが真実かは親父しか知らないけど。」
*「そ…そう…あ、さっきね?トモキに話しかけたら指がピクっと動いたんだけど?」
O「いい反応だね。マッサージとかしてあげてもいい刺激になるよ?」
*「うん…してみる。」
O「ルリさんもこれから大変だと思うけどさ…隣のお坊っちゃんの様子も見てきてあげて?たぶん、今頃ヤキモチ妬いて拗ねてるんじゃない?」
*「え?ぁ…分かった。」
私はオサにそう言われてジユの荷物が入ったカバンを持ってとなりの部屋に向かった。
つづく
*「ジユがこっちで寝るなら私が二階の部屋で寝ようか?」
そう言って私がベッドから降りようとすると手首をグッと引っ張られ…
結局は素直にジユの胸の中におさまってしまい、自分の自制心のなさにはほんと驚くばかり。
J「ねぇ…ルリ?ルリは…親父のこと好きだった?」
*「え…うん…唯一私を愛して愛情をくれた人だから…大好きだったよ…」
J「そっか…俺は親父に愛された記憶ないからさ…ごめん変なこと聞いて……少し寝て?」
*「うん…ねぇ、ジユ…」
J「ん?」
*「私の母がジユのお母様とジユにした事…私が代わりに謝るよ…本当にごめんなさい…」
J「ルリが謝る事じゃないよ…」
ジユは私を抱きしめ直すと、私はジユの温もりを感じながらしばしの眠りに落ちた。
夢の中では父とトモキと私が楽しく一緒に遊んでいて…
心地よい夢の中からスッと現実に引き戻される。
O「ルリさん?そろそろ病院行こうか?」
ゆっくりとまぶたを開けるとオサが優しく起こしてくれた。
*「うん…」
そして、私達はオサの運転で病院へと向かった。
病院についてすぐ、ジユはオサと一緒にお父さんの所へ行った。
きっと、治療する事を決めたと報告に行っているのだろう…
そのまま入院になるジユの荷物を持って私はトモキの病室を訪れた。
扉の向こうに母がいなかった事にホッとしながら中に入りトモキの横に座り手を握る。
*「トモキ…昨日はすぐに帰っちゃってごめんね…また会いに来たよ?トモキ…お姉ちゃんのせいでこんな目に遭わせちゃって…ごめんね…」
トモキの大きな手を撫でると指がピクっと動いた。
*「トモキ?トモキ…」
その問いかけにまた、指をピクっと動かす。
聞こえてるんだね…早く目を覚まして…お願い。
時間が許す限りトモキの手を握り頬を何度も撫でた。
愛しくて可愛い私の弟…
何気なくトモキのベッドに付いてある名札を見ると主治医の所にオサの名前があった…。
オサは…ここの病院のお医者さんだっただね。
しばらくするとノックの音がして白衣姿のオサが病室に入ってきた。
*「オサがトモキの主治医だったんだね…?」
O「そうだよ…親父に頼まれてトモキの主治医になった。まぁ、今日からはジユの主治医でもあるけどね?分かると思うけどこの病室は特別個室だよ。ジユも隣の特別個室に入院する事になった。親父の思惑通りに全て動いてる感じだね…」
オサは耳に聴診器を当てて少しため息をついてトモキの診察を始めた。
オサの手が止まりトモキの服を直す。
*「お父さんの思惑って…もしかしてトモキを自分の籍に入れてこの病院の後を継がせるつもり…ってこと?」
O「たぶんね…?ジユはあの体じゃ医者は無理だ…なら自分の血を引き継いでるトモキにって思ってるんだろう…」
*「この子が医者なんて…オサがいるじゃない…」
O「俺はあくまで補欠だよ。トモキがここに運ばれてきたのをいい事に親父は企んでるよ…。」
*「ねぇ…なんでオサはそこまで知ってるの?この事…」
O「うーん。昔、ジユの母親が書いた日記を読んだんだ。そこに書かれてあったのと俺が子供の頃に見たり聞いたりした現実と…親父の美人秘書たちから俺、人気あるからそこから情報をね?どこまでが真実かは親父しか知らないけど。」
*「そ…そう…あ、さっきね?トモキに話しかけたら指がピクっと動いたんだけど?」
O「いい反応だね。マッサージとかしてあげてもいい刺激になるよ?」
*「うん…してみる。」
O「ルリさんもこれから大変だと思うけどさ…隣のお坊っちゃんの様子も見てきてあげて?たぶん、今頃ヤキモチ妬いて拗ねてるんじゃない?」
*「え?ぁ…分かった。」
私はオサにそう言われてジユの荷物が入ったカバンを持ってとなりの部屋に向かった。
つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる