40 / 49
第四十話
しおりを挟む
アノンサイド
シアは警察署に連れて行かれると微かに薬物反応が出たようで、薬物についての取り調べもされる事になりしばらくの間、警察署で過ごすことになった。
私にしたら薬物なんて買えるお金が今のシアにはないと思っていたので驚いた。
そして、その薬物反応ともう一つ…シアは私の知らない事実で警察に極秘捜査されていたのだ。
そう、それはお父様の殺人容疑だった。
お父様には多額の保険金が複数掛けられており、その受取人は全てシアの名前になっていたらしい。
事故にしては不審な点が多く、シア自身も怪我をしていた為、シアの動きを監視しながら捜査されていたようだ。
そう、シアはお父様を保険金目当てで事故を装って殺害したのではないかと殺人容疑をかけられていた。
そして今日、シアがユサを道路に突き飛ばしたのを捜査のため監視していた捜査官が目撃し、シアを現行犯で逮捕したのだ。
私はそれを事情聴取されているうちに知らされ、お父様が社長辞任に追いやられ、お父様も事故で失い、お金も居場所もなく孤独で可哀想だとシアに少しでも同情してしまった自分は見事に騙されていたんだと自分の馬鹿さ加減に呆れた。
そんな事を考えながらミネトの運転する車の中から窓の外を眺めていると、ユサの店に着きさっき来たばかりの店へと入る。
M「適当に飯つくるよ。」
ミネトはそう言ってキッチンの中に入っていき、キヒヤが続いて中へと入って行く。
ユサは私たちから少し離れたカウンターの中に入り、サラナは私をソファに座らせて自分も横に座った。
SR「ここ…昔と全然変わらないでしょ?」
A「うん。」
SR「ユサさんがそうしたみたいよ?」
A「え?」
SR「アノンが帰って来た時に懐かしい…ってホッとできるようにあの頃のまま変えたくないって。アノンにとってここは実家みたいなものだね?」
サラナはそう言ってクスッと笑った。
A「実家か……本当の実家にももう忘れるくらい帰ってないけど…」
私がそう話すとホットミルクを持って来たキヒヤが私とサラナの前にマグカップを置き私の横に座った。
K「もう本当の実家には帰らないの?」
A「うん…帰りたくない…かな…」
私は下を向き、ユラユラと揺れるホットミルクを見つめる。
K「おばさん…心配してるよ?」
A「うん…たまに電話はしてるんだけどね…」
K「なら聞いてる?ラノンのこと。」
キヒヤからそう言われ顔を上げる。
A「ラノンどうかしたの?なにも…聞いてない…」
K「…聞いてないならいい…」
A「え?言いかけてやめるなんて酷いよ?」
K「う…ん…実はラノン…今、精神科病院に入院してるんだよ。」
まさかの事実に私がショックを受けているとキヒヤが言った。
K「今度…一緒にラノンに会いに行ってみない?」
キヒヤがそういうとサラナは立ち上がりユサの元に向かうと、私とキヒヤは2人っきりとなった。
つづく
シアは警察署に連れて行かれると微かに薬物反応が出たようで、薬物についての取り調べもされる事になりしばらくの間、警察署で過ごすことになった。
私にしたら薬物なんて買えるお金が今のシアにはないと思っていたので驚いた。
そして、その薬物反応ともう一つ…シアは私の知らない事実で警察に極秘捜査されていたのだ。
そう、それはお父様の殺人容疑だった。
お父様には多額の保険金が複数掛けられており、その受取人は全てシアの名前になっていたらしい。
事故にしては不審な点が多く、シア自身も怪我をしていた為、シアの動きを監視しながら捜査されていたようだ。
そう、シアはお父様を保険金目当てで事故を装って殺害したのではないかと殺人容疑をかけられていた。
そして今日、シアがユサを道路に突き飛ばしたのを捜査のため監視していた捜査官が目撃し、シアを現行犯で逮捕したのだ。
私はそれを事情聴取されているうちに知らされ、お父様が社長辞任に追いやられ、お父様も事故で失い、お金も居場所もなく孤独で可哀想だとシアに少しでも同情してしまった自分は見事に騙されていたんだと自分の馬鹿さ加減に呆れた。
そんな事を考えながらミネトの運転する車の中から窓の外を眺めていると、ユサの店に着きさっき来たばかりの店へと入る。
M「適当に飯つくるよ。」
ミネトはそう言ってキッチンの中に入っていき、キヒヤが続いて中へと入って行く。
ユサは私たちから少し離れたカウンターの中に入り、サラナは私をソファに座らせて自分も横に座った。
SR「ここ…昔と全然変わらないでしょ?」
A「うん。」
SR「ユサさんがそうしたみたいよ?」
A「え?」
SR「アノンが帰って来た時に懐かしい…ってホッとできるようにあの頃のまま変えたくないって。アノンにとってここは実家みたいなものだね?」
サラナはそう言ってクスッと笑った。
A「実家か……本当の実家にももう忘れるくらい帰ってないけど…」
私がそう話すとホットミルクを持って来たキヒヤが私とサラナの前にマグカップを置き私の横に座った。
K「もう本当の実家には帰らないの?」
A「うん…帰りたくない…かな…」
私は下を向き、ユラユラと揺れるホットミルクを見つめる。
K「おばさん…心配してるよ?」
A「うん…たまに電話はしてるんだけどね…」
K「なら聞いてる?ラノンのこと。」
キヒヤからそう言われ顔を上げる。
A「ラノンどうかしたの?なにも…聞いてない…」
K「…聞いてないならいい…」
A「え?言いかけてやめるなんて酷いよ?」
K「う…ん…実はラノン…今、精神科病院に入院してるんだよ。」
まさかの事実に私がショックを受けているとキヒヤが言った。
K「今度…一緒にラノンに会いに行ってみない?」
キヒヤがそういうとサラナは立ち上がりユサの元に向かうと、私とキヒヤは2人っきりとなった。
つづく
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。

【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。
金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。
前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう?
私の願い通り滅びたのだろうか?
前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。
緩い世界観の緩いお話しです。
ご都合主義です。
*タイトル変更しました。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる