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42話
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キイチside
愛おしい温もり手放したくない温もり…
大切すぎて強く抱きしめすぎたのだろうか?
腕の中にいるタカラくんがゴソゴソと動き、ようやく俺はタカラくんを抱きしめる腕を緩めた。
K「泣き止んだ?」
俺がそう問いかけると泣き腫らした顔をして俺の顔をチラチラと見るタカラくん。
T「本当に…10年前…イオリとキスしてないの?」
まだ、その事が引っかかり信じられないのか、俺に疑いの目を向けて口を尖らせるタカラくん。
K「してないよ。」
俺は涙で濡れてしまったタカラくんの髪を耳にかけてあげながらそう答える。
T「キイチがイオリのこと好きで付き合ったんじゃないの?」
K「子供だった俺はあれがタカラくんを守る唯一の方法だと勝手に思い込んでただけ。」
俺は涙で濡れたタカラくんの頬を撫でた。
T「じゃ、なんで…公園でイオリのことが好きってわざわざ俺に言ったの?」
そう言われて俺は失った記憶の一部を思い返す。
公園で?俺がイオリくんの事を好きなんて言った?
俺の記憶にはそんな記憶はない。
いや…それはまさか…
K「それって…タカラくんが転びそうになって俺がはじめてのキスした時?」
俺がそう問いかけるとタカラくんは微かに頬を赤めながら初めてかどうかは知らないけど…と言いながら頷いた。
俺はそんなタカラくんを見て、俺たちは互いを大切に思うあまり自らボタンを掛け違えていたのかもしれないと気づいた。
K「あの時の好きは…タカラくんのことが好きって意味だよ…なのに誰かさんはサラッと知ってるなんて言ってさ…俺の気持ち知っててタカラくんは俺とイオリくんといる所みても何も言わないんだなって思ったら…俺のことなんて眼中にないって言われたみたいでマジで耐えられなかった…。」
T「そ、そんなの分かんないよ…!!だってキイチはイオリと付き合ってるんだから、まさか好きだなんて俺に言うはずないと思うじゃんか!!」
K「…確かにそうだね…ごめんね…辛い思いばかりさせて…。」
俺がそう言うとタカラくんは驚いた顔をして、謝んないでと呟きながら俺の胸にしがみ付き問いかけた。
T「本当に…本当に俺のことが好き?」
K「うん…タカラくんのこと好きすぎてどうにかなりそうだよ…」
俺はそう言ってギュッと抱きしめるとタカラくんも俺を抱きしめ返した。
T「俺もずっと前から……キイチが好き……」
欲しくて仕方なかったその言葉を噛み締めゆっくりとタカラくんの顔を覗き込む…
K「キスしていい?」
T「そんな事聞くなよ…」
K「だって勝手にキスしたら怒るから…」
T「それは……」
俺はタカラくんの言葉を遮るように唇を塞いだ。
そのキスは離れる事を知らず、10年分の想いを埋めていくかのように唇を重ね互いの心を満たしていく。
甘い音が響くなか口付けた俺たちはおでこを合わせて思わず微笑み合う。
K「んふふ…なんで笑ってんのw」
T「えへへ…さっきのキスでちょうど100回目だったから。」
K「ちょ…まじ!?」
T「大マジ。」
タカラくんはそう言うと笑顔から真顔になり、俺の目を見つめ優しく頬を撫でる。
俺はそんなタカラくんの行動に身を任せ、ただ自分の腕の中にいるタカラくんだけを見つめた。
T「キイチが俺のこと好きなんて…夢みたい…」
K「…夢じゃないよ……」
すると、タカラくんは俺の頬を両手で包み込み、自ら口付けをした。
唇を啄みさっきまでのキスより少し…いや、だいぶ大人なキスをする俺たち。
きっと、さっきまでのキスは子供の頃…両想いだったのに想いが伝わることなく大人になってしまった俺たちが子供の頃にするはずだったキス。
そして今、俺たちがしているキスは大人になりようやく想いが伝わり重なりあうキス。
熱を持つ唇と漏れる吐息に頭がクラクラとしながら夢中で俺たちは舌を絡め合う。
目を潤ませながら息を乱し、俺の唇から糸を引かせながら離れるタカラくんの顔はたまらなく俺の心臓をはやめた。
俺は自分を落ち着かせるように下を向くと、タカラくんは不安そうに俺の顔を覗き込む。
T「もう…終わり…?」
K「うん…もう終わりだよ。」
チラッと視線を上げて俺がぎこちなく微笑みながらそう言うとタカラくんは口を尖らせて不満そうだ。
T「酔ってる時は俺がやめてって言ってもやめなかったくせに。」
そう言われてしまえば、俺は反論が出来ない訳で…
ただ、これ以上こんなキスをしてしまえばきっともう…俺は我慢が出来なくなってしまう。
K「可愛いチュウにしよ。大人のキスは終わり。」
T「なんで?酔ってる時は可愛いチュウすらする事なくベロベロ~って俺の口の中に舌突っ込んでビンビンに大きくしてたくせに。」
マジか俺…
酔った勢いでマジ何やってんだ…
恥ずかしすぎる…
今すぐ穴掘って入りてぇ…
俺はタカラくんの言葉を聞いて呆然と頭の中でそう考えていると、タカラくんは俺の気持ちを察したのかクスクスっと笑った。
T「キイチはシラフだとほんとマジメだね。でも、そこが好きだよ…じゃ、今日は寝るまで可愛いキスいっぱいしようね。大人のキスのつづきはまた今度……」
タカラくんはそう言って俺の首に手を回すと微笑みながらチュウ…チュっと可愛いキスを落とす。
そうして俺たちは夜が明けるまでチュウと唇を重ねてはお互い微笑み合い、見つめたあってはまたキスをした。
つづく
愛おしい温もり手放したくない温もり…
大切すぎて強く抱きしめすぎたのだろうか?
腕の中にいるタカラくんがゴソゴソと動き、ようやく俺はタカラくんを抱きしめる腕を緩めた。
K「泣き止んだ?」
俺がそう問いかけると泣き腫らした顔をして俺の顔をチラチラと見るタカラくん。
T「本当に…10年前…イオリとキスしてないの?」
まだ、その事が引っかかり信じられないのか、俺に疑いの目を向けて口を尖らせるタカラくん。
K「してないよ。」
俺は涙で濡れてしまったタカラくんの髪を耳にかけてあげながらそう答える。
T「キイチがイオリのこと好きで付き合ったんじゃないの?」
K「子供だった俺はあれがタカラくんを守る唯一の方法だと勝手に思い込んでただけ。」
俺は涙で濡れたタカラくんの頬を撫でた。
T「じゃ、なんで…公園でイオリのことが好きってわざわざ俺に言ったの?」
そう言われて俺は失った記憶の一部を思い返す。
公園で?俺がイオリくんの事を好きなんて言った?
俺の記憶にはそんな記憶はない。
いや…それはまさか…
K「それって…タカラくんが転びそうになって俺がはじめてのキスした時?」
俺がそう問いかけるとタカラくんは微かに頬を赤めながら初めてかどうかは知らないけど…と言いながら頷いた。
俺はそんなタカラくんを見て、俺たちは互いを大切に思うあまり自らボタンを掛け違えていたのかもしれないと気づいた。
K「あの時の好きは…タカラくんのことが好きって意味だよ…なのに誰かさんはサラッと知ってるなんて言ってさ…俺の気持ち知っててタカラくんは俺とイオリくんといる所みても何も言わないんだなって思ったら…俺のことなんて眼中にないって言われたみたいでマジで耐えられなかった…。」
T「そ、そんなの分かんないよ…!!だってキイチはイオリと付き合ってるんだから、まさか好きだなんて俺に言うはずないと思うじゃんか!!」
K「…確かにそうだね…ごめんね…辛い思いばかりさせて…。」
俺がそう言うとタカラくんは驚いた顔をして、謝んないでと呟きながら俺の胸にしがみ付き問いかけた。
T「本当に…本当に俺のことが好き?」
K「うん…タカラくんのこと好きすぎてどうにかなりそうだよ…」
俺はそう言ってギュッと抱きしめるとタカラくんも俺を抱きしめ返した。
T「俺もずっと前から……キイチが好き……」
欲しくて仕方なかったその言葉を噛み締めゆっくりとタカラくんの顔を覗き込む…
K「キスしていい?」
T「そんな事聞くなよ…」
K「だって勝手にキスしたら怒るから…」
T「それは……」
俺はタカラくんの言葉を遮るように唇を塞いだ。
そのキスは離れる事を知らず、10年分の想いを埋めていくかのように唇を重ね互いの心を満たしていく。
甘い音が響くなか口付けた俺たちはおでこを合わせて思わず微笑み合う。
K「んふふ…なんで笑ってんのw」
T「えへへ…さっきのキスでちょうど100回目だったから。」
K「ちょ…まじ!?」
T「大マジ。」
タカラくんはそう言うと笑顔から真顔になり、俺の目を見つめ優しく頬を撫でる。
俺はそんなタカラくんの行動に身を任せ、ただ自分の腕の中にいるタカラくんだけを見つめた。
T「キイチが俺のこと好きなんて…夢みたい…」
K「…夢じゃないよ……」
すると、タカラくんは俺の頬を両手で包み込み、自ら口付けをした。
唇を啄みさっきまでのキスより少し…いや、だいぶ大人なキスをする俺たち。
きっと、さっきまでのキスは子供の頃…両想いだったのに想いが伝わることなく大人になってしまった俺たちが子供の頃にするはずだったキス。
そして今、俺たちがしているキスは大人になりようやく想いが伝わり重なりあうキス。
熱を持つ唇と漏れる吐息に頭がクラクラとしながら夢中で俺たちは舌を絡め合う。
目を潤ませながら息を乱し、俺の唇から糸を引かせながら離れるタカラくんの顔はたまらなく俺の心臓をはやめた。
俺は自分を落ち着かせるように下を向くと、タカラくんは不安そうに俺の顔を覗き込む。
T「もう…終わり…?」
K「うん…もう終わりだよ。」
チラッと視線を上げて俺がぎこちなく微笑みながらそう言うとタカラくんは口を尖らせて不満そうだ。
T「酔ってる時は俺がやめてって言ってもやめなかったくせに。」
そう言われてしまえば、俺は反論が出来ない訳で…
ただ、これ以上こんなキスをしてしまえばきっともう…俺は我慢が出来なくなってしまう。
K「可愛いチュウにしよ。大人のキスは終わり。」
T「なんで?酔ってる時は可愛いチュウすらする事なくベロベロ~って俺の口の中に舌突っ込んでビンビンに大きくしてたくせに。」
マジか俺…
酔った勢いでマジ何やってんだ…
恥ずかしすぎる…
今すぐ穴掘って入りてぇ…
俺はタカラくんの言葉を聞いて呆然と頭の中でそう考えていると、タカラくんは俺の気持ちを察したのかクスクスっと笑った。
T「キイチはシラフだとほんとマジメだね。でも、そこが好きだよ…じゃ、今日は寝るまで可愛いキスいっぱいしようね。大人のキスのつづきはまた今度……」
タカラくんはそう言って俺の首に手を回すと微笑みながらチュウ…チュっと可愛いキスを落とす。
そうして俺たちは夜が明けるまでチュウと唇を重ねてはお互い微笑み合い、見つめたあってはまたキスをした。
つづく
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