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41話
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キイチside
イオリくんに言われ自分で作ったはずのタカラくんとの目に見えない溝が大きくなればなるほど苦しくて毎日のように泣いて、もう限界…。
そう思った俺がボロボロの心で悩み苦しみながら出した決断を伝えるため、俺は海にイオリくんを呼び出した。
「大切な話がある」と…
その時、俺はイオリくんにこの関係を解消する事とタカラくんを守るという事を伝える決意をしていた。
なのに…
その場に来たのはイオリくんではなくずっと会いたくて恋しくて仕方なかったタカラくんで…
一瞬、俺がタカラくんに会いたいと願うあまりイオリくんをそう見間違えたてしまったのかと思った。
でも、その後ろ姿は間違いなくタカラくんで…
ずっと我慢していた気持ちが溢れ出した俺は後ろからタカラくんを抱きしめた。
しかし、タカラくんは悲しそうな目をして俺を突き飛ばし…タカラくんのその行動が俺の胸を抉った。
もう、限界だから…タカラくんに自分の気持ちを隠すのは辛すぎるから…
俺は抉られる胸に痛みを感じながらもタカラくんをまた、抱きしめるとタカラくんは微かに震えながらも俺を抱きしめ返した。
この時…俺がタカラくんを抱きしめたりなんかしなければ…
俺たちはきっと、あんな事にはならなかっただろう。
足取りの危ういイオリくんがそんな俺たちを見つけると暴言を吐き、迫り来るトラックの前に飛び出した時、俺は一瞬…イオリくんがタカラくんに見えてしまった。
二卵性なのに瓜二つだと周りから言われ続けていたタカラくんとイオリくん。
俺の目には瓜二つに見えたことなんて一度もなかった。
なのに人間は追い詰められると正常な判断が出来なくなるのだろうか?
イオリくんがトラックの前に飛び出し悲しそうな目で俺を見つめたその時……
そこに立っているのはイオリくんではなく、まるでタカラくんが立っているように俺の目には見えた。
助けなきゃ…俺の大切な人…
タカラくんを助けなきゃ…
そこにいるのはイオリくんなのにタカラくんだと錯覚した俺はイオリくんを助けずにはいられなかった。
その結果として俺はイオリくんという存在の記憶を失い、もう一つ最も大切な記憶を失っていた…
それは幼かったあの頃から俺はタカラくんが好きで恋をしていたということ。
俺は大人になってから…いや…タカラくんの家に転がり込み一緒に住むようになってから俺はタカラくんに特別な感情を抱きはじめたと勝手に思い込んでいた。
酒に酔うたびに誰かに向けて抱えていたあの思い出せそうで思い出せなかったこのもどかしい感情。
それが夢の中に現れたのか…それとも俺が自ら思い出そうと必死だったのか…毎日見る夢のあの人は俺の愛するタカラくんだった。
ずっと子供の頃からタカラくんが好きで心を痛め切なくて恋しくて愛しい…そんな気持ちを抱えて記憶を取り戻した俺は今、全ての気持ちをタカラくんに伝える覚悟を決めた。
K「…だから分かってくれる…?俺はタカラくんが好き…これで信じてくれる?俺の気持ち…」
思い出した全ての記憶を語り終えた俺がそう言うと、いつの間にかタカラくんはぐちゃぐちゃな顔をして涙を流し俺の胸に抱きついた。
それがタカラくんなりの答えだと思った俺はタカラくんの涙が止まるまでずっと抱きしめ続けた。
つづく
イオリくんに言われ自分で作ったはずのタカラくんとの目に見えない溝が大きくなればなるほど苦しくて毎日のように泣いて、もう限界…。
そう思った俺がボロボロの心で悩み苦しみながら出した決断を伝えるため、俺は海にイオリくんを呼び出した。
「大切な話がある」と…
その時、俺はイオリくんにこの関係を解消する事とタカラくんを守るという事を伝える決意をしていた。
なのに…
その場に来たのはイオリくんではなくずっと会いたくて恋しくて仕方なかったタカラくんで…
一瞬、俺がタカラくんに会いたいと願うあまりイオリくんをそう見間違えたてしまったのかと思った。
でも、その後ろ姿は間違いなくタカラくんで…
ずっと我慢していた気持ちが溢れ出した俺は後ろからタカラくんを抱きしめた。
しかし、タカラくんは悲しそうな目をして俺を突き飛ばし…タカラくんのその行動が俺の胸を抉った。
もう、限界だから…タカラくんに自分の気持ちを隠すのは辛すぎるから…
俺は抉られる胸に痛みを感じながらもタカラくんをまた、抱きしめるとタカラくんは微かに震えながらも俺を抱きしめ返した。
この時…俺がタカラくんを抱きしめたりなんかしなければ…
俺たちはきっと、あんな事にはならなかっただろう。
足取りの危ういイオリくんがそんな俺たちを見つけると暴言を吐き、迫り来るトラックの前に飛び出した時、俺は一瞬…イオリくんがタカラくんに見えてしまった。
二卵性なのに瓜二つだと周りから言われ続けていたタカラくんとイオリくん。
俺の目には瓜二つに見えたことなんて一度もなかった。
なのに人間は追い詰められると正常な判断が出来なくなるのだろうか?
イオリくんがトラックの前に飛び出し悲しそうな目で俺を見つめたその時……
そこに立っているのはイオリくんではなく、まるでタカラくんが立っているように俺の目には見えた。
助けなきゃ…俺の大切な人…
タカラくんを助けなきゃ…
そこにいるのはイオリくんなのにタカラくんだと錯覚した俺はイオリくんを助けずにはいられなかった。
その結果として俺はイオリくんという存在の記憶を失い、もう一つ最も大切な記憶を失っていた…
それは幼かったあの頃から俺はタカラくんが好きで恋をしていたということ。
俺は大人になってから…いや…タカラくんの家に転がり込み一緒に住むようになってから俺はタカラくんに特別な感情を抱きはじめたと勝手に思い込んでいた。
酒に酔うたびに誰かに向けて抱えていたあの思い出せそうで思い出せなかったこのもどかしい感情。
それが夢の中に現れたのか…それとも俺が自ら思い出そうと必死だったのか…毎日見る夢のあの人は俺の愛するタカラくんだった。
ずっと子供の頃からタカラくんが好きで心を痛め切なくて恋しくて愛しい…そんな気持ちを抱えて記憶を取り戻した俺は今、全ての気持ちをタカラくんに伝える覚悟を決めた。
K「…だから分かってくれる…?俺はタカラくんが好き…これで信じてくれる?俺の気持ち…」
思い出した全ての記憶を語り終えた俺がそう言うと、いつの間にかタカラくんはぐちゃぐちゃな顔をして涙を流し俺の胸に抱きついた。
それがタカラくんなりの答えだと思った俺はタカラくんの涙が止まるまでずっと抱きしめ続けた。
つづく
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