【BL】記憶のカケラ

樺純

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40話

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キイチside

10年前

いや、俺は物心ついた時からタカラくんが好きだったんだ。

でも、まだ幼かった俺は同じ男である俺がタカラくんに好きと告白する勇気がなくて、自分の気持ちを伝えれずにいた。

そんなある時、中学二年生になった俺は放課後、タカラくんからの連絡を待ちながら歩いていると、突然タカラくんの双子の兄であるイオリくんに呼び止められある事を聞かれた。

それはミズキくんのこと。

俺はタカラくんとは仲良くしていたのにイオリくんとは殆ど話した記憶がなく、突然、ミズキくんに好きな人がいるみたいだが誰だか知っているかとイオリくんに聞かれた。

俺はミズキくんが昔からヒノハちゃんに片想いをしていて、最近、それが実りヒノハちゃんと付き合い始めた事を知っていたが、まともに話したこともないイオリくんに俺の口からミズキくんの恋愛についてペラペラ話すのともおかしいと思った俺は、好きな人が誰かは知らないが片想いしていた相手と最近、上手くいったらしいとだけ伝えた。

しかしなぜ、イオリくんは俺にミズキくんの事を聞いてきたのだろう?

そう不思議に思いながら数ヶ月が過ぎた頃、俺は突然、イオリくんに告白をされた。

ちゃんと話をしたのも数ヶ月前のミズキくんの話だけで、なんの関わりもないイオリくんが突然告白してきた事を不審に思い、俺がどんなに告白を断ってもイオリくんは俺を諦めることはなく、しつこく何度も告白をしてきて、いつしかイオリくんは俺に付き纏うようになり脅すようになった。

自分と付き合わないとタカラくんを殺し…自分も死ぬと。

そんなことイオリくんに絶対させるわけにはいかなかった。

俺の大切なタカラくんが傷つく所なんて俺は見たくなかったから。

だから俺はイオリくんの言いなりとなった。

そうするしかまだ14歳という幼かった当時の俺にはタカラくんを守る方法を知らなかったから。

イオリくんに言われるままタカラくんの連絡を無視し、会わないようにした。

タカラくんの顔がみれるのはイオリくんを毎朝、迎えに行くときだけ。 

だから、イオリくんと一緒にいるところをどんなに見られたくなくても、俺はタカラくんの顔を一瞬見るためだけに毎朝2人の家の前で待った。

俺が一緒にいたいのはタカラくんなのに、俺の横にはタカラくんと似た顔をして全く性格の違うイオリくんがいる。

まだ子供で弱かった俺はそんな現実が耐えられなくて日に日に俺の心を蝕んでいった。

つづく
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