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タカラside
悪いのはキイチのはずなのに、なぜか俺が攻めれなきゃいけないのだろう?キイチが俺を好きなんてありえない。
アイツとキイチが付き合っていたと知っているはずのみんななのに、何故そんな事を言うのか俺には理解できなかったし、まるでその言葉はお前はアイツの代わりなんだよって言われてるみたいで余計に胸が痛くなった。
T「でも…キイチはアイツが好きだったじゃん…!実際、アイツとも付き合ってたし…!今だっていっつもいっつも夢に出てくる人間の話を俺にしてきてさ!?どうせ俺はいつも誰かの代わりなんだよ。」
俺はみんなの言葉を否定するようにそういうが、みんなは何食わぬ顔をして俺の話を聞き、興奮しているのは俺だけだ。
M「でも、キイチはアイツの記憶ないじゃん?まぁ、ぶっちゃけ無防備なタカラを前にしたらそりゃ誰だって我慢出来なくなると思うよ?俺だって襲うしノンケの男でも襲うとおもう。」
確かにキイチはあの事故のせいで記憶の一部を失い、キイチの頭の中からアイツの存在だけが消え去った。
しかし、キイチがアイツに惚れていた事実は変えられるものではなく、たとえキイチにその記憶がなかったとしても俺の中で生き続けている。
俺は自分の気持ちが伝わらないもどかしさから思わず口を閉ざした。
H「もう!!ミズキ!!また始まった!!」
ヒノハちゃんのヤキモチの声が響き渡ると、ミズキは焦りながらご機嫌の斜めになったヒノハちゃんに愛嬌を見せる。
M「あ…ヒノハそういう意味じゃなくて…俺はヒノハが世界一好きだよ?愛してるよ?だけどタカラはこう…無意識に人を誘うから。」
H「タカラ!!私の彼氏に色目使わないで!」
俺は今まで生きてきたなかで誰も誘った事はないし、少なともミズキに対して色目なんて使ったことなど1ミクロンもない。
変な濡れ衣を俺にかけておいて、俺たちのことを気にすることなくイチャイチャとし始めたミズキとヒノハちゃんにため息を落とすと、リヒトくんは真剣な顔で言った。
L「本気でキイチが嫌なら追い出せば良いだけのこと。追い出さずにいるタカラは…優しさからかもしれないけどキイチにしたらその方が残酷だよ。」
リヒトくんの言葉が俺の胸にザクっと刺さる。
T「アイツの代わりに俺にキスするキイチの方が残酷だと思うけど…」
俺は散々アイツの代わりだと文句を言いながらも、なぜかキイチを追い出しキイチから離れる勇気はなくて…
何事もなかったかのように俺はキイチと今日という日まで同居生活をしてきたのだ。
俺はグラスに入っているキラキラと光るシャンパンを見つめながら、皆んなにそんな事を言われた日のことを1人思い出していた。
シャンパンをグッと飲み干すと料理を取り終えたキイチが微笑みながら俺の元に戻ってきた。
K「タカラくんの好きなものだけ取ってきたよ。はいフォーク。」
T「ありがとう。」
俺とキイチのそんな様子を酒のつまみにするかのようにみんなはじーっと見つめながらニヤニヤとする。
K「タカラくんこれ美味しいね?生ハムメロン。」
T「うん。キイチこれ好きだもんね。」
モグモグと料理を食べているとノイルくんの声が店内に響き渡り、隣にいるキイチが振り返ってボソッと何かを呟いた。
キイチの顔を見るとキイチは呆然としていて不思議に思った俺も釣られるように振り返り時が止まった。
そこには今、俺が1番会いたくないアイツが微笑みながら立っていたから。
つづく
悪いのはキイチのはずなのに、なぜか俺が攻めれなきゃいけないのだろう?キイチが俺を好きなんてありえない。
アイツとキイチが付き合っていたと知っているはずのみんななのに、何故そんな事を言うのか俺には理解できなかったし、まるでその言葉はお前はアイツの代わりなんだよって言われてるみたいで余計に胸が痛くなった。
T「でも…キイチはアイツが好きだったじゃん…!実際、アイツとも付き合ってたし…!今だっていっつもいっつも夢に出てくる人間の話を俺にしてきてさ!?どうせ俺はいつも誰かの代わりなんだよ。」
俺はみんなの言葉を否定するようにそういうが、みんなは何食わぬ顔をして俺の話を聞き、興奮しているのは俺だけだ。
M「でも、キイチはアイツの記憶ないじゃん?まぁ、ぶっちゃけ無防備なタカラを前にしたらそりゃ誰だって我慢出来なくなると思うよ?俺だって襲うしノンケの男でも襲うとおもう。」
確かにキイチはあの事故のせいで記憶の一部を失い、キイチの頭の中からアイツの存在だけが消え去った。
しかし、キイチがアイツに惚れていた事実は変えられるものではなく、たとえキイチにその記憶がなかったとしても俺の中で生き続けている。
俺は自分の気持ちが伝わらないもどかしさから思わず口を閉ざした。
H「もう!!ミズキ!!また始まった!!」
ヒノハちゃんのヤキモチの声が響き渡ると、ミズキは焦りながらご機嫌の斜めになったヒノハちゃんに愛嬌を見せる。
M「あ…ヒノハそういう意味じゃなくて…俺はヒノハが世界一好きだよ?愛してるよ?だけどタカラはこう…無意識に人を誘うから。」
H「タカラ!!私の彼氏に色目使わないで!」
俺は今まで生きてきたなかで誰も誘った事はないし、少なともミズキに対して色目なんて使ったことなど1ミクロンもない。
変な濡れ衣を俺にかけておいて、俺たちのことを気にすることなくイチャイチャとし始めたミズキとヒノハちゃんにため息を落とすと、リヒトくんは真剣な顔で言った。
L「本気でキイチが嫌なら追い出せば良いだけのこと。追い出さずにいるタカラは…優しさからかもしれないけどキイチにしたらその方が残酷だよ。」
リヒトくんの言葉が俺の胸にザクっと刺さる。
T「アイツの代わりに俺にキスするキイチの方が残酷だと思うけど…」
俺は散々アイツの代わりだと文句を言いながらも、なぜかキイチを追い出しキイチから離れる勇気はなくて…
何事もなかったかのように俺はキイチと今日という日まで同居生活をしてきたのだ。
俺はグラスに入っているキラキラと光るシャンパンを見つめながら、皆んなにそんな事を言われた日のことを1人思い出していた。
シャンパンをグッと飲み干すと料理を取り終えたキイチが微笑みながら俺の元に戻ってきた。
K「タカラくんの好きなものだけ取ってきたよ。はいフォーク。」
T「ありがとう。」
俺とキイチのそんな様子を酒のつまみにするかのようにみんなはじーっと見つめながらニヤニヤとする。
K「タカラくんこれ美味しいね?生ハムメロン。」
T「うん。キイチこれ好きだもんね。」
モグモグと料理を食べているとノイルくんの声が店内に響き渡り、隣にいるキイチが振り返ってボソッと何かを呟いた。
キイチの顔を見るとキイチは呆然としていて不思議に思った俺も釣られるように振り返り時が止まった。
そこには今、俺が1番会いたくないアイツが微笑みながら立っていたから。
つづく
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