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タカラside
あんな事…
そう、みんなが笑いながら言うあんな事が起きたのは約5年前の出来事だった。
それはキイチが俺の家に居候し始めて2週間が過ぎた頃の出来事だった。
キイチは深夜、ノイルくんの店で働く仲間たちと飲みに行き、酔っ払って帰ってきた。
フラフラで千鳥足のキイチは半分眠りに落ちている俺を見るなり、物凄い鼻息でそのまま俺の上に乗っかり組み敷いた。
驚いた俺はキイチを殴ったり蹴ったりしたがあの力に敵うことはなく、アルコールの匂いが漂うキイチに俺は無理矢理、唇を奪われたのだ。
その口付けというのが決して可愛い口付けではなく…
それはもう気まずくなるほど濃厚で…
口角から互いの唾液が伝うほどキイチは夢中で俺の舌に自分の舌を絡めて呼吸を荒げていた。
男同士だというのにそんなキイチの姿を見て俺の身体までもがドクドクと脈を打ち、過去の辛い出来事により蓋をしたはずのキイチへの想いがまた、鮮明に蘇り泣きそうになった。
キイチの熱い舌が俺の口内を犯し、卑猥な音とヤラシイ息遣いだけが響く中、もう頭がおかしくなりそうだと思った瞬間…
キイチの体の力が抜け俺に全体重がかかり俺は窒息死しそうになった。
なんとかの思いでキイチを横に退かせるとキイチは口をポカーンと開け、スヤスヤと寝息を立てていて、俺は思わずその間抜けな寝顔に腹が立ちあの高い鼻を摘み…
火照る自分の身体を撫でながら涙を流した。
次の日の朝
俺は二日酔いで頭を抱えて苦しむキイチに前日の夜のことをそれとなく聞いてみたものの…
あいつは何一つ覚えてなかった。
だからその程度のこと。
ただ、酔っ払って俺の顔を見るとキイチの頭の中にあるアイツの面影が見え隠れし、アルコールで身体が疼いたから目の前にいた俺にキスしてきただけのこと。
しかし、キイチはその日を境に記憶がなくなるほど泥酔して帰ってくると毎回、俺にキスをしギリギリのラインまで襲うようになり…
この5年間で俺はキイチが酔っ払い記憶をなくしているときに、何度、キイチとキスをしたのかと思うと深いため息しかでなかった。
さすがにこのモヤモヤが募り、諦めたはずの自分の気持ちが爆発してしまいそうになった俺はつい最近、幼なじみ達にキイチによるこの連続キス魔事件を相談した。
そして全員、俺の想像していた反応とは真逆の反応をしたんだ。
H「でもさ?逆によく今までキイチも我慢してたよね。」
ヒノハちゃんはそんな事を言いながらミズキを見て同意を求める。
M「ホントホント。そもそもひとつ屋根の下で暮らしてるってね?もう、いつでもヤッてくださいってキイチに言ってるのと同じだよね?」
ミズキはそう言って俺の肩を叩いた。
L「幼なじみ7人の中でキイチの気持ちに気付いてなかったのはタカラ、1人だよね。」
リヒトくんはそう言って苦笑いし、ノイルくんとユウリちゃんは黙ったまま俺の話を聞いていた。
つづく
あんな事…
そう、みんなが笑いながら言うあんな事が起きたのは約5年前の出来事だった。
それはキイチが俺の家に居候し始めて2週間が過ぎた頃の出来事だった。
キイチは深夜、ノイルくんの店で働く仲間たちと飲みに行き、酔っ払って帰ってきた。
フラフラで千鳥足のキイチは半分眠りに落ちている俺を見るなり、物凄い鼻息でそのまま俺の上に乗っかり組み敷いた。
驚いた俺はキイチを殴ったり蹴ったりしたがあの力に敵うことはなく、アルコールの匂いが漂うキイチに俺は無理矢理、唇を奪われたのだ。
その口付けというのが決して可愛い口付けではなく…
それはもう気まずくなるほど濃厚で…
口角から互いの唾液が伝うほどキイチは夢中で俺の舌に自分の舌を絡めて呼吸を荒げていた。
男同士だというのにそんなキイチの姿を見て俺の身体までもがドクドクと脈を打ち、過去の辛い出来事により蓋をしたはずのキイチへの想いがまた、鮮明に蘇り泣きそうになった。
キイチの熱い舌が俺の口内を犯し、卑猥な音とヤラシイ息遣いだけが響く中、もう頭がおかしくなりそうだと思った瞬間…
キイチの体の力が抜け俺に全体重がかかり俺は窒息死しそうになった。
なんとかの思いでキイチを横に退かせるとキイチは口をポカーンと開け、スヤスヤと寝息を立てていて、俺は思わずその間抜けな寝顔に腹が立ちあの高い鼻を摘み…
火照る自分の身体を撫でながら涙を流した。
次の日の朝
俺は二日酔いで頭を抱えて苦しむキイチに前日の夜のことをそれとなく聞いてみたものの…
あいつは何一つ覚えてなかった。
だからその程度のこと。
ただ、酔っ払って俺の顔を見るとキイチの頭の中にあるアイツの面影が見え隠れし、アルコールで身体が疼いたから目の前にいた俺にキスしてきただけのこと。
しかし、キイチはその日を境に記憶がなくなるほど泥酔して帰ってくると毎回、俺にキスをしギリギリのラインまで襲うようになり…
この5年間で俺はキイチが酔っ払い記憶をなくしているときに、何度、キイチとキスをしたのかと思うと深いため息しかでなかった。
さすがにこのモヤモヤが募り、諦めたはずの自分の気持ちが爆発してしまいそうになった俺はつい最近、幼なじみ達にキイチによるこの連続キス魔事件を相談した。
そして全員、俺の想像していた反応とは真逆の反応をしたんだ。
H「でもさ?逆によく今までキイチも我慢してたよね。」
ヒノハちゃんはそんな事を言いながらミズキを見て同意を求める。
M「ホントホント。そもそもひとつ屋根の下で暮らしてるってね?もう、いつでもヤッてくださいってキイチに言ってるのと同じだよね?」
ミズキはそう言って俺の肩を叩いた。
L「幼なじみ7人の中でキイチの気持ちに気付いてなかったのはタカラ、1人だよね。」
リヒトくんはそう言って苦笑いし、ノイルくんとユウリちゃんは黙ったまま俺の話を聞いていた。
つづく
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