信濃の大空

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一矢報いる

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少しの衝撃が瑞鶴にいた角田に伝わる。
その直後に何かを掴まないと立って入れれないほどの揺れに襲われた。
「損害は!?」
「おそらく格納庫まで貫通したようです!現在、弾薬への誘爆を防ぐため消火を行っています!」
やはり、こうなってしまうのか…。
攻撃隊が出撃していたのが不幸中の幸いだろうか。
4年前は兵装転換している時に爆撃を受けた。
甲板を貫通した爆弾は兵装転換中の攻撃機に誘爆し、装備している爆弾に誘爆した。
だが、今は格納庫には少しの紫電改しかいない。
4年前の二の舞だけは避けられた。
「ある程度、情報が集まってきました。」
草鹿は少し落ち着きを取り戻していた。
「命中した爆弾は全部で3発です。貫通した爆弾も同数です。そして、格納庫での火災はいまだ勢いを失いませんが弾薬などの避難は完了しており誘爆の可能性は無くなりました。」
角田はひとまず胸をなでおろす。
「ですが、空母としての戦闘力は喪失しており敵の攻撃隊が集中されることが予想されます。」
「それに関しては問題ない。それで他の空母が助かるのなら。」
草鹿の脳裏に不意に先ほど撃沈された翔鶴と小沢が浮かんだ。


戦闘開始してから50分が経った頃、アメリカ軍の攻撃隊は撤退した。
紫電改の数が増し、攻撃隊の損害が増加し始めたからだった。
だが、艦隊の損害はすさまじいものだった。
龍鳳と千代田がそれぞれ爆弾を2発と3発、魚雷を4発と2発が命中し沈没。
また、瑞鶴は大破状態だった。
また、妙高、利根、筑摩が沈没し鈴谷、熊野が中破以上の損害を受けた。
これで無事な空母は瑞鳳ただ1艦だけとなり角田は後方艦隊の撤退を決断した。
だが、特定の艦艇は第2航空艦隊への合流を命じた。


第3航空群には戦勝報告が届き、隙が出来ていた。
そこに、後方艦隊から発進した攻撃隊が殺到した。
彼らは艦隊が壊滅したという報告こそ受けていなかったが、発進直前の状況を鑑みてそれ相応の被害を覚悟していた。
つまり、自らの帰る場所は無くなっているかもしれなかったのだ。
攻撃する直前に、艦隊が壊滅したことを知らされた。
母艦を破壊された航空隊は、何よりも恐ろしくなる。
例え、生き残ったとしても海面に不時着するしかないからだ。
その後は、想像するに難くない。
なら、敵艦に体当たりして少しでも報いようとする。


「レーダーに反応あり!」
ベニントンの艦長はすぐに迎撃機を発進させた。
それでも、迎撃機が抑え込まれている間に流星が突入してきた。
魚雷を投下するとそのまま開放型の格納庫に体当たりする機体や、翼が取れながらも爆弾を抱えながらエレベーターに突入した機体もいた。
日本の攻撃隊は出撃した98機の内、86機を喪失。
それと引き換えにベニントンとモンテレーを撃沈。
ハンコックとバターンは難を逃れた。
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