43 / 67
横滑り偵察
しおりを挟む
夜が明けると角田は各空母に偵察機の発艦を命令した。
一刻も早く敵空母を発見しなければならない。
偵察隊は誰もが同じ気持ちだった。
彩雲隊は放射状に飛行し、索敵を開始した。
その中に、昨日の戦闘で自機がかなりの損傷により放棄された富安俊介もいた。
ちょうど彩雲の操縦手が体を悪くしてしまったため転属してきた。
「やはりこっちにはいないか…。」
富安が呟くと偵察手が励ます。
「まだ、見つかってないだけかもしれませんよ?」
「そうだな。あともう少し行ってみるか。」
富安が操縦する彩雲は雲の中を飛んでいた。
ところどころある雲の切れ間から海上の様子を見ていた。
本来なら逃しているかもしれないが、今回に限っては敵はかなり大規模な艦隊。
見逃さないだろう。
そうしていると案の状、遠くにだが敵が見えた。
「偵察手、敵艦隊発見の報を送れ。」
「はっはい!」
富安は電文が発せられたのを確認すると偵察手に聞いた。
「少し、やって確かめてみたい説があるのだが命の危険が伴う。だが、もしこの説が本当ならこの戦いに勝利できるかもしれない。」
偵察手は即答した。
「この命、すでに国に捧げています!」
「…わかった。では、行くぞ!」
富安はそういうと機体を急降下させる。
「敵機、急降下してきます!」
ムーアは驚きをもって報告する。
「なんだと!いそいで対空射撃始め!」
スプールアンスはすぐに命令する。
対空砲火が始まる前に彩雲は海面ぎりぎりの超低空で飛行していた。
そして砲撃が始まるも、当たらない。
「おい!全然当たらねえぞ!はやくしろ!」
「こっちだって必死なんだよ!じゃますんな!」
米兵たちは焦り始めていた。
「やはりか!」
富安は横滑りを駆使しながら空母に近づいていた。
これまでの海戦で圧倒的な対空能力を行使していた米艦隊がたった1機の偵察機に苦戦している。
「なぜ我々の目の前で爆発を…。」
偵察手は不思議に思った。
「これが、米海軍の信管の性だ。もういい。これで分かった。引き上げるぞ。」
富安は急上昇する。
そして一気に米海軍から離れた。
「中尉!敵機3機、後方より接近!」
「振り切るぞ!」
富安は速度を上げる。
「敵機との距離をどんどん離していきます!」
偵察手は興奮気味に言った。
「偵察手、母艦に電文を送れ」
そして偵察手は言われた通りの文言を打電した。
『我ニ追イツクグラマン無シ。』
「敵機を逃したようです。」
ムーアの報告にスプールナンスは微妙に機嫌を悪くする。
「まあそれはいい。だが、なぜあの日本機は急接近してきた?結局攻撃らしい攻撃はしてこなかった。」
この疑問はこの艦隊全員が持っていたが、誰も答えられなかった。
一刻も早く敵空母を発見しなければならない。
偵察隊は誰もが同じ気持ちだった。
彩雲隊は放射状に飛行し、索敵を開始した。
その中に、昨日の戦闘で自機がかなりの損傷により放棄された富安俊介もいた。
ちょうど彩雲の操縦手が体を悪くしてしまったため転属してきた。
「やはりこっちにはいないか…。」
富安が呟くと偵察手が励ます。
「まだ、見つかってないだけかもしれませんよ?」
「そうだな。あともう少し行ってみるか。」
富安が操縦する彩雲は雲の中を飛んでいた。
ところどころある雲の切れ間から海上の様子を見ていた。
本来なら逃しているかもしれないが、今回に限っては敵はかなり大規模な艦隊。
見逃さないだろう。
そうしていると案の状、遠くにだが敵が見えた。
「偵察手、敵艦隊発見の報を送れ。」
「はっはい!」
富安は電文が発せられたのを確認すると偵察手に聞いた。
「少し、やって確かめてみたい説があるのだが命の危険が伴う。だが、もしこの説が本当ならこの戦いに勝利できるかもしれない。」
偵察手は即答した。
「この命、すでに国に捧げています!」
「…わかった。では、行くぞ!」
富安はそういうと機体を急降下させる。
「敵機、急降下してきます!」
ムーアは驚きをもって報告する。
「なんだと!いそいで対空射撃始め!」
スプールアンスはすぐに命令する。
対空砲火が始まる前に彩雲は海面ぎりぎりの超低空で飛行していた。
そして砲撃が始まるも、当たらない。
「おい!全然当たらねえぞ!はやくしろ!」
「こっちだって必死なんだよ!じゃますんな!」
米兵たちは焦り始めていた。
「やはりか!」
富安は横滑りを駆使しながら空母に近づいていた。
これまでの海戦で圧倒的な対空能力を行使していた米艦隊がたった1機の偵察機に苦戦している。
「なぜ我々の目の前で爆発を…。」
偵察手は不思議に思った。
「これが、米海軍の信管の性だ。もういい。これで分かった。引き上げるぞ。」
富安は急上昇する。
そして一気に米海軍から離れた。
「中尉!敵機3機、後方より接近!」
「振り切るぞ!」
富安は速度を上げる。
「敵機との距離をどんどん離していきます!」
偵察手は興奮気味に言った。
「偵察手、母艦に電文を送れ」
そして偵察手は言われた通りの文言を打電した。
『我ニ追イツクグラマン無シ。』
「敵機を逃したようです。」
ムーアの報告にスプールナンスは微妙に機嫌を悪くする。
「まあそれはいい。だが、なぜあの日本機は急接近してきた?結局攻撃らしい攻撃はしてこなかった。」
この疑問はこの艦隊全員が持っていたが、誰も答えられなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる