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「ネクロマンサーと治癒師だったら…そうだなぁ、3人かな。実質の人数は違うけどな」
「…どういう意味だ」
「3人中2人は数年前にこの世を去っている。で、残り1人は現在行方不明の後期高齢者」
だから実質1人ってわけ、と言いながら肩を竦めるロカ。
「その1人は生きているのか?治癒師か?それともネクロマンサーなのか?」
「ちょ、待て待て落ち着けって。最初に言った筈だ“行方不明だ”ってね。その人は治癒師。
でも皇子が言う死にかけた状態を治せるほど、マナは多くなかった。良くて擦り傷くらいさ」
「で、その人は今何処にいるんだ?」
もう既に日は沈み、この屋敷で起きているのは俺とロカしかいないのだろう。
日中はどこにいても人の気配を感じていたが、今はしん、と静まり返っていて
壁に掛けてある古い時計がチクタクと時間を刻む音だけがする。
「はぁ…俺の話し聞いてます?」
「聞いていたさ。だから聞いているんだ。
行方不明と発した時、僅かに視線が右上にいった事と瞳孔が少しだけ開いた。
お前はその人の居場所を知っている、違うか?」
「ちがっ…わなくもないけどぉおお、おまっ、ほんっとマジで嫌な奴だな!?」
正直一か八かのはったりだった。確かに視線はほんの僅かに上を向いたが瞳孔が開いたかどうかなんて、座っている位置からして見えるわけがないのだ。
それを顔には出さずさも真実みたく告げただけ。
きっとロカの父親あたりに同じ手を使ったとして、今みたいに引っかかる事はないだろう。あの父親は腹に一物どころか二物くらい抱えている気がする。
ある意味ロカが取り扱いやすい人物で良かったと、この時ばかりは胸を撫で下ろした。
「アンタを助けたのがその治癒師だとでも思ってんならそれは不可能だ。
居場所は…まぁ、知っているが詳しくは教えられない。本人の希望だし父親からも知らぬ存ぜぬを通せって言われてる」
「そうか。ならYESかNoで答えてくれ。彼は、」
「この国に居ない、と考えていいか?」
「…どういう意味だ」
「3人中2人は数年前にこの世を去っている。で、残り1人は現在行方不明の後期高齢者」
だから実質1人ってわけ、と言いながら肩を竦めるロカ。
「その1人は生きているのか?治癒師か?それともネクロマンサーなのか?」
「ちょ、待て待て落ち着けって。最初に言った筈だ“行方不明だ”ってね。その人は治癒師。
でも皇子が言う死にかけた状態を治せるほど、マナは多くなかった。良くて擦り傷くらいさ」
「で、その人は今何処にいるんだ?」
もう既に日は沈み、この屋敷で起きているのは俺とロカしかいないのだろう。
日中はどこにいても人の気配を感じていたが、今はしん、と静まり返っていて
壁に掛けてある古い時計がチクタクと時間を刻む音だけがする。
「はぁ…俺の話し聞いてます?」
「聞いていたさ。だから聞いているんだ。
行方不明と発した時、僅かに視線が右上にいった事と瞳孔が少しだけ開いた。
お前はその人の居場所を知っている、違うか?」
「ちがっ…わなくもないけどぉおお、おまっ、ほんっとマジで嫌な奴だな!?」
正直一か八かのはったりだった。確かに視線はほんの僅かに上を向いたが瞳孔が開いたかどうかなんて、座っている位置からして見えるわけがないのだ。
それを顔には出さずさも真実みたく告げただけ。
きっとロカの父親あたりに同じ手を使ったとして、今みたいに引っかかる事はないだろう。あの父親は腹に一物どころか二物くらい抱えている気がする。
ある意味ロカが取り扱いやすい人物で良かったと、この時ばかりは胸を撫で下ろした。
「アンタを助けたのがその治癒師だとでも思ってんならそれは不可能だ。
居場所は…まぁ、知っているが詳しくは教えられない。本人の希望だし父親からも知らぬ存ぜぬを通せって言われてる」
「そうか。ならYESかNoで答えてくれ。彼は、」
「この国に居ない、と考えていいか?」
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