上 下
34 / 55

しおりを挟む
「ネクロマンサーと治癒師だったら…そうだなぁ、3人かな。実質の人数は違うけどな」

「…どういう意味だ」

「3人中2人は数年前にこの世を去っている。で、残り1人は現在行方不明の後期高齢者」



だから実質1人ってわけ、と言いながら肩を竦めるロカ。

「その1人は生きているのか?治癒師か?それともネクロマンサーなのか?」

「ちょ、待て待て落ち着けって。最初に言った筈だ“行方不明だ”ってね。その人は治癒師。

でも皇子が言う死にかけた状態を治せるほど、マナは多くなかった。良くて擦り傷くらいさ」




「で、その人は今何処にいるんだ?」



もう既に日は沈み、この屋敷で起きているのは俺とロカしかいないのだろう。

日中はどこにいても人の気配を感じていたが、今はしん、と静まり返っていて

壁に掛けてある古い時計がチクタクと時間を刻む音だけがする。


「はぁ…俺の話し聞いてます?」

「聞いていたさ。だから聞いているんだ。

行方不明と発した時、僅かに視線が右上にいった事と瞳孔が少しだけ開いた。

お前はその人の居場所を知っている、違うか?」



「ちがっ…わなくもないけどぉおお、おまっ、ほんっとマジで嫌な奴だな!?」


正直一か八かのはったりだった。確かに視線はほんの僅かに上を向いたが瞳孔が開いたかどうかなんて、座っている位置からして見えるわけがないのだ。

それを顔には出さずさも真実みたく告げただけ。


きっとロカの父親あたりに同じ手を使ったとして、今みたいに引っかかる事はないだろう。あの父親は腹に一物どころか二物くらい抱えている気がする。

ある意味ロカが取り扱いやすい人物で良かったと、この時ばかりは胸を撫で下ろした。



「アンタを助けたのがその治癒師だとでも思ってんならそれは不可能だ。

居場所は…まぁ、知っているが詳しくは教えられない。本人の希望だし父親からも知らぬ存ぜぬを通せって言われてる」


「そうか。ならYESかNoで答えてくれ。彼は、」




「この国に居ない、と考えていいか?」














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

養子の僕が愛されるわけない…と思ってたのに兄たちに溺愛されました

日野
BL
両親から捨てられ孤児院に入った10歳のラキはそこでも虐められる。 ある日、少し前から通っていて仲良くなった霧雨アキヒトから養子に来ないかと誘われる。 自分が行っても嫌な思いをさせてしまうのではないかと考えたラキは1度断るが熱心なアキヒトに折れ、霧雨家の養子となり、そこでの生活が始まる。 霧雨家には5人の兄弟がおり、その兄たちに溺愛され甘々に育てられるとラキはまだ知らない……。 養子になるまでハイペースで進みます。養子になったらゆっくり進めようと思ってます。 Rないです。

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

超絶美形な俺がBLゲームに転生した件

抹茶ごはん
BL
同性婚が当たり前に認められている世界観のBLゲーム、『白い薔薇は愛の象徴となり得るか』略して白薔薇の攻略対象キャラである第二王子、その婚約者でありゲームでは名前も出てこないモブキャラだったミレクシア・サンダルフォンに生まれ変わった美麗は憤怒した。 何故なら第二王子は婚約者がいながらゲームの主人公にひとめぼれし、第二王子ルートだろうが他のルートだろうが勝手に婚約破棄、ゲームの主人公にアピールしまくる恋愛モンスターになるのだ。…俺はこんなに美形なのに!! 別に第二王子のことなんて好きでもなんでもないけれど、美形ゆえにプライドが高く婚約破棄を受け入れられない本作主人公が奮闘する話。 この作品はフィクションです。実際のあらゆるものと関係ありません。

奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。

拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ 親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。 え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか ※独自の世界線

BLゲーに転生!!やったーーー!しかし......

∞輪廻∞
BL
BLゲーの悪役に転生した!!!よっしゃーーーー!!!やったーーー!! けど、、なんで、、、 ヒロイン含めてなんで攻略対象達から俺、好かれてるんだ?!? ヒロイン!! 通常ルートに戻れ!!! ちゃんとヒロインもヒロイン(?)しろーー!!! 攻略対象も! ヒロインに行っとけ!!! 俺は、観セ(ゴホッ!!ゴホッ!ゴホゴホッ!! 俺はエロのスチルを見てグフグフ言うのが好きなんだよぉーー!!!( ̄^ ̄゜) 誰かーーー!!へるぷみぃー!!! この、悪役令息 無自覚・天然!!

俺は、嫌われるために悪役になります

拍羅
BL
前世では好かれようと頑張のに嫌われたので、今世では始めから嫌われようと思います。 「俺はあなた達が大嫌いです。」 新たに生を受けたのはアルフ・クラークソンという伯爵の息子だった。前世とは違い裕福な家庭へと生まれたが、周りの人々の距離は相変わらずだった。 「そんなに俺のことが嫌いなら、話しかけなけばいいのに…。」 「今日も、アルフ様は天使のように美しくて眩しいわ。」 そうアルフが思っていることも、それと反対のことを周りが考えていることも当の本人は知らなかった。

処理中です...