僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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「なっ!?どこでそれをっ!…あ、」

ぎょっとした様に目を見開いたかと思えば胸ぐらを掴みそうな勢いで問いただそうとする

しかし彼は自身の犯した失態に一歩遅れて気付いたのか、顔色を悪くした。

「おまっ、…鎌かけたな」

「それはどれにたいしてだ?その人が他国で隠居している事か、それともその人の性別どっちだ?」

「両方だ」



頭を抱えながら「最悪だ。これだから王族は…くそっ」とブツブツ嘆いているロカを一瞥した後、小さく息を吐く。

ロカは一度も行方不明になった人の性別なんて触れていなかった。だから俺はその人物の性別なんて知る由もないのだが、

当たる確率は二分の一

俺がその人を彼だと発し、もし性別を外したとしてもロカの反応で知る事が出来た。


どちらに転んでも俺にとっては痛くも痒くもない。そして知った風に問いただして、

得た反応は…上々だ。


(治癒師は男、か。…だがこの国に居ないのであれば、)





あの日俺を救った人物ではないだろう。

それが分かった途端興味など消え、

また指でとんとん、と机を一定間隔で叩く。


「––––––––––会いたい」


お礼が言いたい。
会って、確かめたい。
あの言葉をどうして俺に掛けてくれたのか、

会って、もう一度…

もう一度、俺に触れてほしい。



胸の内に燻る感情に色を付けるならそれはきっと…、






(もう一度会ったら…次こそ手放さないのに)


家族から貰えなかった愛。それを当たり前の様に与えてくれた人。

目が覚めた時、

怪我を治してくれた人が、
優しい言葉を掛けてくれた人が、
俺に触れてくれた人が、

確かにそこに居た筈の人が居なかったあの絶望感。



綺麗な感情とはきっと違うもの。

塗り尽くされた色は…、





独占欲の塊、闇の色。

















※いつも小説を読んでくださり感謝です。

更新が亀更新ですが何卒よろしくお願いします。
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