僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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「謝罪はいい。それと敬語はよせ調子が狂う」

「一応ここ実家で親の目があるんだが…まぁ、了解。」


元々砕けた口調で話す奴だと知っていたから、どうも改まられると気色が悪い。

「なぁロカ、もし俺が死んだとしてネクロマンサーなら元に戻せるのか?」

「いやそれは無理だろうな。人、一人生き返らすのに大量の贄がいる。蘇生は禁忌とされている。…というか、アンタは今後死ぬ予定があんのかよ」


頭は大丈夫か、と言わんばかりの顔で言われて思わず眉間のシワを揉む。

表向き俺は死んでいるし、
次この命を落とすとしたら、間違いなく寿命で落とす。

(その前に害になるものは排除しないとな)

その寿命すら失いたくない、なんて言ったら助けてくれたあの人は…呆れるだろうか。

それとも、俺の命が消えかけた時、


(––––––––––また会えるかな)




組んでいた腕を解き、指で机をトン、トンっと一定間隔で叩く。

脈絡がない話にロカは真剣に答えてくれるし頭の回転は俺よりいい。世界の歴史や、仕組み、時事問題までお手のもの。

闘うのも好きだと耳にしたことがある。なんでも幼少期から父親に鍛えられているとかいないとか。


まぁ、そんな家庭環境に身を置いているからか他の貴族より裏表はなく。寧ろあけすけな物言いは好ましい。


「ロカ、実は俺一度死にかけたんだ」

「へぇ。…なるほど、誰にやられたんだ」

「兄の手の者だ」


「あぁ、それで“魔物に殺された”か。不思議だったんだ、見もしないでいきなりアンタが死んだとかいうし。まぁ、1番ビビったのはアンタが俺に身分を明かして終いには“匿ってくれ”と言った事だけど。

まさか俺、アンタに目ぇ付けられてた?」



吃驚するくらいあっさりと話しは進み、俺の言葉を否定しないところを見ると大方ロカも気付いていたのかもしれない。

俺が死んだと言いふらしている輩が手を下した、と。



だが死んだ、と言われている俺の体には傷1つ付いていなくて、

ロカにとって不思議だったのだろう。


「で、お前を治した奴は誰なんだ…?」

「分からない」

「…は?」



「分からないんだ。意識が戻った時、誰も居なかったから」



手がかりはあの声と、
致命傷の怪我を治した能力の高さだ。

1番考えられるのはネクロマンサーが俺を蘇生した可能性だが、…いや、もしくは。


「この国にネクロマンサー、治癒師は何人いる?」
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