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龍の国と死者の番

厚い厚い歓迎 2

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何をするか、どうするかと一人悶々と考えて、飽きて疲れたらぼーっとすればいいやと思っていました。

おもって、たんだけどなあ。

焦ったり気が動転している時こそゆるりとしなければと言い聞かせて心に余裕を持って構えて。

あと見知らぬ人と触れあうというどう転んでもストレスになる事を乗り越えるのだ。

威厳をもって、偉そうな感じでふんぞり返って悠々自適に過ごす……みたいな事をしたかったなあ。



「失礼いたします! お茶の時間ですので良ければいかがでしょうか!!」
「ひえ」
ホールケーキの乗った大きなワゴンを押してにこやかにやってきたモルガレグさんに思わず悲鳴が漏れちゃった。

静かに過ごしたい僕の願望とは裏腹に、広いお部屋に響く大きな声。



「茶葉の好みをお聞きする時間が無かったので数種類お持ちしました、どうぞお好きなものをお取りください! ポットはこちらにございますがおかわりをご希望の場合は是非私をお呼び頂けると嬉しいです」

テーブルに並べられたいくつものカップと、色々なお菓子の乗った山盛りの大皿。

「いかがでしょう!?」
「あ、はい」
ジメジメと薄暗さが心地よいと一人黄昏がれていた数分前の自分。

窓の外を見てこう、囚われたお姫様気分に酔っていたというのは口が裂けても言えない。

人と話すのは嫌いではないけど、ハイテンションなのはなんか違う気がする。


「こちら! 我が城自慢の甘さを控えめに柔らかく仕上げたワッフルでございます、こちらのミントのような香りのものが合うと評判ですので良ければ一口」
「ありがとうございます」
「勿体なきお言葉でございます、ささっ、冷めないうちに飲んで頂けると嬉しいです」
口元だけ笑顔のモルガレグさんのとても拒否しづらい圧に絶賛負けている、特に嫌ではないのが嫌、不満ではないけどちょっとイヤっていう複雑な感情を抱えながらワッフルを一口、美味しい。

朝から食べてばかりな気がする、気のせいだきっと、間違いない。

「お口に合いますでしょうか」
「ええ、とても美味しいです、ありがとうございます」
慣れない人相手に人見知り発動してるけど、優しくしてくれるなら喜んで受け入れようと思う。

「喜んで頂けてなによりでございます、では私は扉の外で待機しておりますので何かございましたらこちらのベルを鳴らしてくださいませ」
「あ、はいありがとうございます……」
「ごゆっくり! 」
優しさの圧に押されていつの間にやらモルガレグさんが扉の向こうに行ってしまった。


「……ふう」
疲れちゃった。



テーブルには山盛りのお菓子と、ほかほかのお茶。

手持ち無沙汰になったらティータイムでも楽しんでくださいってことだね。

うん、素敵だ、お言葉に甘えてのんびりとやらせて……今日はちょっと色々と食べ過ぎている気がする、きっと気のせいだね、うん。

重たいものばかりだし胃もたれとか…… うん、胃薬飲んどこ。











    
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