生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

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龍の国と死者の番

厚い厚い歓迎 1

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「改めまして、身の回りの雑事を任されました、モルガレグでございます」
凛とした声を耳にしながら僕はちょっとバテている。



具体的には歩きすぎてつかれた……つか……れた。



「……よろしくお願いします、ラグーンです」
ながい廊下を歩いてこれまたながいながい階段に苦戦して、しばらく使わなかった筋肉が悲鳴をあげている。

……良い運動になったと思いたい。


「お噂はかねがね、人の国でさぞ苦労された事でしょう」
「いえ、そんな事はないです」
「流石至高の方の弟君、お強いのですね」
「ど、どうも? 」
洋風なホテルみたいな綺麗なお部屋の椅子に腰を落ちつけて、姿勢よく立つモルガレグさんを見る。

「ただいま正式な部屋を用意しておりますのでご不便をおかけしますがこちらでお休みいただければと」
「ありがとうございます」
にこりと笑い、警察の人がするような敬礼のポーズをして言うと、少し悲しげに眉を下げた。

「殿下をお迎えする部屋としては粗末な部屋となってしまい誠に申し訳ありません、陛下の命を遂行出来なかった責任は全てこの私にありますので処罰は部下ではなくどうか私に」
「いやいやいや、そんな大げさな……」
目に優しいし派手すぎないこのお部屋で満足するよ僕。

「いえ、贅を凝らし、美を凝らしリラックスできる空間にお連れするよう命を受けたにも関わらず、このような質素で狭い部屋に至高の陛下の大切な方をお連れしたとなれば当然の事、いかなる罰も受ける所存でございます」
「あー……うーん? 」
質素とは程遠いゴージャス、不満の無いお部屋、広さは……学校の教室位ね多分。

判断とかははっきりできないけどとっても広いよここ。

「いえ、僕はここでも十分ですし、わざわざ用意してもらうなんてそんな、申し訳ないです」
真面目でなんかお堅そうなこの人。
名前は、モルガレグさん。

良い人なのは分かるけど、ちょっと苦手かもしれない。

「勿体なきお言葉……せめてもの気持ちとして我が城の宝を用意しますのでお好きなものを」
「いやいやいや、い、いらないですよ!? 」
「雅な宝石や調度品であれば心安らぐかと思いますので、殿下の城が出来上がるまではそちらでどうか」
「いやいやいや……だ、大丈夫ですし?  城とかも、僕には勿体ないですから、ね? 」
「いいえいけません!! 尊きお方の弟君であらせられる殿下であれば城のひとつふたつ持つのは当然の事」
「え? 」
「本来なら悠々自適に過ごして頂く城を献上する所を用意が間に合わない等という失態……恥ずべき事でございます……! ですのでせめて我が城にて思うように過ごして頂ければと……やはり、ご不満でしょうか? 」
「ああ……いや、ええと、え? ここ、貴方のお城なんです、ん? そもそもなぜ僕はここに案内されたのでしょう」
「我が城であれば問題ないかと結論をつけお連れした次第でございます! 」
「ああ、なるほど……とりあえず処罰とか、宝とかそういうのは、保留で」
「……畏まりました、ご不明な点、要望等ありましたら是非お呼びくださいませ」
「わかりました、色々とありがとうございます」
うん、に、苦手なタイプの人だ、このひと!

真面目な人は好感持てるけどそれはそれ、ちょっと苦手かも……あと話のスケールがでかいからちょっと追い付けないしで考える事が多すぎる。

疲れることがも丸分かりでちょっと面倒になってきたしこういうときは、うん、ぼーっとしよう、うん、うん? 

「ん? 」
紅茶の爽やかな香り、お菓子の甘い匂いに混じってなんとなく鼻をくすぐる食べ物とは違う臭い。

ちょっと気になる、後で覚えてたらモルガレグさんに聞いてみよう。



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