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六章 変化

微少女襲来

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「お待ちになってアイデンさまぁ!! アイデン様がお出掛けするとお聞きになってわたくし、お供致しますわぁあ~~!! 」




道行く人は血相を変えて建物の中に逃げ、その場所を猛スピードで走る馬車が通りすぎ空には土ぼこりが舞う。



※※※





さぁ、始まりした、第一回大おいかけっこ大会!、怒濤の勢いで迫ってくる馬車ですが解説のアイデンさん、そもそもあれは誰だ。


「アイデンさんアイデンさん、あの人誰」

「誰ってこの前の令嬢だろう……!? 何度も言ってるが舌を噛むぞ! 」

前を向きながら怒るという器用な事をしているアイデンさんに僕はにやりと笑う。


「僕ただアイデンさんに運ばれてるだけだし、暇」

「暇とか言うなばかたれ!! 」

えー?。


「アイデンさん喋りながら走ってるのに良く息切れないねぇ」 

アイデンさんの足みれば動きが見れないくらい早く動いてる上に僕への負担が無いよう配慮もされている。


にも関わらずアイデンさんは僕と軽口が叩ける位余裕なご様子、持久走強いだろうなこの人。


「鍛えてるからな! だから今の雰囲気をぶち壊さないでくれ!! 」

おっと。


「何事も華が必要でしょう? 」

そうじゃないとつまらん、と言えばアイデンさんは更に何かを言おうと口を開くが、その前に後ろの方から、甲高い声が耳に入った。


「おぉ待ちになってえぇ!!アイデンさまぁあ!! 社交界の華、ティアラ・センブレルが参りましたぁ~!!」

華?


「社交界のラフレシアじゃね?」

「ぶ、ふふっ……! ラフレシア……! 」

「ぬわんですってえ!!?? 」

「何故聞こえるし」

今吹いてるアイデンさんは当たり前として僕ボソッて言ったぞ?、何故聞こえるのだ。


「く、くく、ここで笑う要素を放り込むんじゃない……!! 」

ありゃ、アイデンさんいい笑顔、いいことだ。


「しゃーないでしょ、あ、アイデンさん前壁」

ふと前を見れば行き止まりと取れる高い壁が道を終わらせていた。


「さぁ、追い詰めましたわ!」

「おっと」

え? アイデンさんそのまま進んでるよ?。



え、ちょちょ、壁に突っ込む気!?。


「ちょ!? 」


余裕から一転あからさまに焦る僕はアイデンさんの頭をポカポカ叩いていると、アイデンさんはニヤリと笑う。


「痛い痛い痛い、頭を叩くな、……よっ」

壁が目前に迫ったとき軽い掛け声と共に地を蹴ったアイデンさんは飛、壁に片足をトスっと当て更に高い位置へ飛び上がった。


「え〝」

目を白黒させている中僕ごと空高く飛び上がり眼下には急停止させた馬車から悔しそうにこちらを見ている社交界の華。


まま落下すると思いきや、ぱちんとアイデンさんは指を鳴らすとその場に立っているかのように静止する。


「ふぅ、中々疲れるな」

「疲れて無さそうだけどねー」

「そうでもないぞ?」

にかっと笑うアイデンさんにあ、そうと返した僕はごそごそとアイデンさんの腕から抜け出そうと動く。


「こらこら、落ちるからやめなさい」、

「翼あるから大丈夫だよ」

「あぁ、そうか」

今思いだしたように僕の真っ黒な翼を見たアイデンさんはそっ、と脇に手をいれ、目の前に僕を持ってくる。


しかしその手は何故かプルプル震えてる上に顔は僕を不安げに見ている。


「いいか? 降ろすぞ? 落ちるんじゃあないぞ? 」


「落ちないよ……よいしょ」

ぺっと大きな手をひっぺがして僕は翼を羽ばたかせる。

少し下に落ちかけてアイデンさんを焦られたがちゃんと飛べている。


うん、おっけ。


安堵の息を漏らしアイデンさんは眉にしわを寄せて考え出す。

「さて、お昼は何処で食べるか………ここら一帯は余計な者のせいで駄目になったし……」

「なら下町の方に降りていけばいいんじゃない? 」

食堂とかさ、屋台とかさ。


いか焼き、あ、ないかな?

「下町………まぁ、いいが治安がここほど良くないからなぁ……」

「そうなの?」

腕を組んでアイデンさんは難しそうな顔をする。


「警備隊が目を光らせてはいるが窃盗や詐欺が押さえきれていないのが現状だ」

「へー、でもそれなら僕には護衛のアリムさんがいる…………アリムさんは?」

「………さあ」

周りをキョロキョロ探すが路地裏や通路にはいない。


「まーすたーー! 」

おう、下から声が。


聞こえた方を見れば屋根の上で手を降ってる真っ黒な甲冑、もといアリムさん日光に反射して光ってら。


「私まだ飛べないんです~!!」

ごめんなさーい。


アイデンさんもアリムさんの姿を確認するとラフレシアのいる方をチラリと見て笑みを浮かべる。


「それではアリム殿を拾ったらいくか」

「はーい」






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