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六章 変化
あらら
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暖かな夏風の吹き抜ける城の中、拝啓王様……天国でいかがお過ごしですか?
私は今、とても健やかに過ごしております。
「聞いてるのかラグーン……」
「あ、はい」
「その返事は聞いてなかったんだな……」
呆れたようにため息をつくアイデンさん。
対して僕は……正座してます、説教、長いです。
かれこれ、一時間弱、くどくどくど、何処からそんなに内容が浮かんでくるのか……あぁ、眠い……。
「全く……話を戻すがあまり謙虚すぎたり静かすぎたりするのはいかがなものと思うが、君の場合はもう少し静かなときと騒がしいときのバランスを取ってくれ……」
「えぇ……」
腕を組んで言ったアイデンさん、そして良くわかんない僕は首をかしげる。
「返事は? 」
「はーい」
「………まあいぃ、おいナパス」
「なに……」
諦めたようにため息をついたアイデンさんは、
今度は僕の隣で正座している青髪エルフを睨む。
「とりあえず、暫く城で研究禁止」
「は、はぁ? はぁあああ!? 」
「むやみやたらと揉め事を起こすお前が悪い……ふう、以上だ、解散」
あ、説教、終わった?
※※※
時刻はただいま午前十一時~。
足が痺れて生まれたての鹿になっている僕を見てアイデンさんがにこにこしてらっしゃるのを睨みながらただいま城門をでた僕はその前にあった下り坂を降りているのだけ、ど。
「全く……何でもうこんな時間になっているんだ………」
にこにこから一転、日が高くなった空を見て顔を覆って嘆いてる人が一名……。
「半分以上はアイデンさんのお説教で時間食ってたようなぁ………」
と言いかけてアイデンさんにじろりと睨まれて口をつぐむ、そしてあははと笑い誤魔化せばため息をつくアイデンさん。
「………仕方がない、もう少し降りていけばレストラン街に出る、そこで食事にしよう」
「はーい」
そう返事をして僕は影の翼で浮かび上がり、回りを見る。
石の堀の向こうに大きい大きい屋敷、そして敷き詰められたタイルののむこうにも似たような屋敷。
「でっかい屋敷しかないねここ」
「そうだなぁ、城を出て直ぐは地方から集まった貴族達の別荘が並んでいる、見ていて飽きるな」
「え、…………なにそれ全部別荘? 勿体ない………」
「だろう? 資金の無駄だ」
「ねー」
つまらなそうに言ったアイデンさん。
そして更に歩いていくと坂道が終わり大きなアーチがあった。
中央に噴水、花壇やベンチと寛げる広場が見える。
「そこの先がレストラン街だ」
ほほう。
広場の周りはいくつもの道に分かれて、その先におおきな建物がたくさん見える。
たくさん道があってたくさん店があり、その分きっも路地裏とかもいっぱいある。
迷いますわ。
「迷いそうだねここ」
「俺について来てくれればいい、迷ってもラグーンなら空高く飛べばいいだろ? 」
あ、そうか飛べば全て解決する……まてよ?
「なら大丈夫だ……あっ、でも」
「ん? 」
「僕の読んだ小説だと空に飛び上がった瞬間鳥にぶつかって真っ逆さまとか」
「あり得ないと思うが? 」
「落ちた先が裏路地で奴隷商に捕まって売り飛ばされるとか」
「ないからな? 一体どんな本を読んでるんだ……」
「えっとね、この」
苦笑しているアイデンさんに僕はごそごそとポケットの中(影)を漁る。
よし、みっけた。
「【奴隷体験記】って奴」
「とんでもないものを読んでるな」
「おもしろいよ~」
「読む分にはだろ、実際にそんな目にあったらどうするんだよ」
「え?、そんなの即効性の猛毒塗ったナイフで奴隷商に永遠の眠りを提供あそばせるよ」
「言葉を濁しても物騒だな………」
眷属の腕輪とか首輪とかなら魔王以前に、ゾンビには効かないから、まぁぶちのめす。
朗らかに笑ったアイデンさんが広場の先に進もうと足を進めた所でふいにピタリと止まった。
「………ん? 」
寄っていくアイデンさんの眉間の皺と共に後ろからガラガラと鳴り響く車輪の音…………。
「事実は小説より奇なりというのはこう言うことか………? 」
何事と思い、瞬間、体にアイデンさんの腕が回る。
「へ、えぇ?! 」
「口を閉じていろ」
呆気に取られる間もなく僕を抱き寄せたアイデンさんは突然もの凄いスピードで走り始める。
「いきなりどしたのーー?! 」
「黙っていてくれ、舌を噛むぞ! 」
「噛んだことおるから大丈夫!! 」
「よくない! 」
周りの街並みがぐんぐんと過ぎていく中、息も切らさず走るアイデンさんに、とても不機嫌な顔を露にして目打ちを打つ。
「ラグーン、いいか?、よーく耳を澄ましてみろ、よーくだ」
「え、みみ? 」
ピコピコと耳をすまし、目を瞑る。
聞こえてくるのはアイデンさんの走る靴の音、そして風を切る音に周りの建物から調理する音………最後に微かに聞こえる、声……ん? 段々おっきくなって…………。
「あーいでぇーんさまぁ~!! おまちになってえぇえ~!!? 」
え?
改めて後ろを見ればガラガラともの凄い速さでこちらに迫る馬車、その窓からひょこっと顔を出し長い髪を大変になり、もの凄いスマイルでこちらに手を振っている女子……あれは。
えーと、えーっと。
誰あれ
私は今、とても健やかに過ごしております。
「聞いてるのかラグーン……」
「あ、はい」
「その返事は聞いてなかったんだな……」
呆れたようにため息をつくアイデンさん。
対して僕は……正座してます、説教、長いです。
かれこれ、一時間弱、くどくどくど、何処からそんなに内容が浮かんでくるのか……あぁ、眠い……。
「全く……話を戻すがあまり謙虚すぎたり静かすぎたりするのはいかがなものと思うが、君の場合はもう少し静かなときと騒がしいときのバランスを取ってくれ……」
「えぇ……」
腕を組んで言ったアイデンさん、そして良くわかんない僕は首をかしげる。
「返事は? 」
「はーい」
「………まあいぃ、おいナパス」
「なに……」
諦めたようにため息をついたアイデンさんは、
今度は僕の隣で正座している青髪エルフを睨む。
「とりあえず、暫く城で研究禁止」
「は、はぁ? はぁあああ!? 」
「むやみやたらと揉め事を起こすお前が悪い……ふう、以上だ、解散」
あ、説教、終わった?
※※※
時刻はただいま午前十一時~。
足が痺れて生まれたての鹿になっている僕を見てアイデンさんがにこにこしてらっしゃるのを睨みながらただいま城門をでた僕はその前にあった下り坂を降りているのだけ、ど。
「全く……何でもうこんな時間になっているんだ………」
にこにこから一転、日が高くなった空を見て顔を覆って嘆いてる人が一名……。
「半分以上はアイデンさんのお説教で時間食ってたようなぁ………」
と言いかけてアイデンさんにじろりと睨まれて口をつぐむ、そしてあははと笑い誤魔化せばため息をつくアイデンさん。
「………仕方がない、もう少し降りていけばレストラン街に出る、そこで食事にしよう」
「はーい」
そう返事をして僕は影の翼で浮かび上がり、回りを見る。
石の堀の向こうに大きい大きい屋敷、そして敷き詰められたタイルののむこうにも似たような屋敷。
「でっかい屋敷しかないねここ」
「そうだなぁ、城を出て直ぐは地方から集まった貴族達の別荘が並んでいる、見ていて飽きるな」
「え、…………なにそれ全部別荘? 勿体ない………」
「だろう? 資金の無駄だ」
「ねー」
つまらなそうに言ったアイデンさん。
そして更に歩いていくと坂道が終わり大きなアーチがあった。
中央に噴水、花壇やベンチと寛げる広場が見える。
「そこの先がレストラン街だ」
ほほう。
広場の周りはいくつもの道に分かれて、その先におおきな建物がたくさん見える。
たくさん道があってたくさん店があり、その分きっも路地裏とかもいっぱいある。
迷いますわ。
「迷いそうだねここ」
「俺について来てくれればいい、迷ってもラグーンなら空高く飛べばいいだろ? 」
あ、そうか飛べば全て解決する……まてよ?
「なら大丈夫だ……あっ、でも」
「ん? 」
「僕の読んだ小説だと空に飛び上がった瞬間鳥にぶつかって真っ逆さまとか」
「あり得ないと思うが? 」
「落ちた先が裏路地で奴隷商に捕まって売り飛ばされるとか」
「ないからな? 一体どんな本を読んでるんだ……」
「えっとね、この」
苦笑しているアイデンさんに僕はごそごそとポケットの中(影)を漁る。
よし、みっけた。
「【奴隷体験記】って奴」
「とんでもないものを読んでるな」
「おもしろいよ~」
「読む分にはだろ、実際にそんな目にあったらどうするんだよ」
「え?、そんなの即効性の猛毒塗ったナイフで奴隷商に永遠の眠りを提供あそばせるよ」
「言葉を濁しても物騒だな………」
眷属の腕輪とか首輪とかなら魔王以前に、ゾンビには効かないから、まぁぶちのめす。
朗らかに笑ったアイデンさんが広場の先に進もうと足を進めた所でふいにピタリと止まった。
「………ん? 」
寄っていくアイデンさんの眉間の皺と共に後ろからガラガラと鳴り響く車輪の音…………。
「事実は小説より奇なりというのはこう言うことか………? 」
何事と思い、瞬間、体にアイデンさんの腕が回る。
「へ、えぇ?! 」
「口を閉じていろ」
呆気に取られる間もなく僕を抱き寄せたアイデンさんは突然もの凄いスピードで走り始める。
「いきなりどしたのーー?! 」
「黙っていてくれ、舌を噛むぞ! 」
「噛んだことおるから大丈夫!! 」
「よくない! 」
周りの街並みがぐんぐんと過ぎていく中、息も切らさず走るアイデンさんに、とても不機嫌な顔を露にして目打ちを打つ。
「ラグーン、いいか?、よーく耳を澄ましてみろ、よーくだ」
「え、みみ? 」
ピコピコと耳をすまし、目を瞑る。
聞こえてくるのはアイデンさんの走る靴の音、そして風を切る音に周りの建物から調理する音………最後に微かに聞こえる、声……ん? 段々おっきくなって…………。
「あーいでぇーんさまぁ~!! おまちになってえぇえ~!!? 」
え?
改めて後ろを見ればガラガラともの凄い速さでこちらに迫る馬車、その窓からひょこっと顔を出し長い髪を大変になり、もの凄いスマイルでこちらに手を振っている女子……あれは。
えーと、えーっと。
誰あれ
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