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第六章 本心
132、三度目の正直 5(桜 side) ※
しおりを挟む発情間近のまどろんだ良太を一人で部屋に残すのは不安だったが、まだ少し時間はあるだろう。早ければ今夜にくるか? 急がなければ!
午前中、生徒会役員を集めた。生徒会の権限で何かあるときは授業を免除される。
俺の大事な番の発情期だ、一大事である。
俺がこれから良太に付きっきりで何もできなくなるのだから、他の人間にすべて委ねなくては。
大体は副会長の忍に任せればいいが、他にも色々頼まなければいけない。本来ならそこまでしなくてもいいはずだが、発情期中はマンションにこもることにしたから、流石にメールひとつで片付ける真似はできない。
良太がもし今朝発情していたら、仕事は全てパスしていたが、まだ少し時間があるから生徒会役員を集めた。
そして会議の後、運転手の伊藤に午後一番に来るように伝えた。秘書にも連絡済みで、マンションにはすでに物資は蓄えてある。警備を増やし、万全の状態で良太との発情期を過ごす手立ては整った。
良太はいい子にしているかな。
部屋の鍵を開けたら、すぐに良太のフェロモンの匂いで充満しているのを感じた。
くっ、やばい、もう発情は始まったのか。俺も用意がなかったから急に当てられそうだ。
「良太! どこにいる」
ソファにも居ない、ベッドルームにも居ない。でもおかしい、ここから匂いが強くなっている。
俺は恐る恐るクローゼットを開けて愕然とした。
「ああ、良太……!」
良太は寝ていた。
しかし寝ていたから驚いたのではない。良太の寝ている下には大量の俺の服が引き詰められている。そして昨夜、俺が着ていたパジャマと下着を良太が抱えていた。
これは、オメガの巣作りだ。
聞いたことがあるくらいで、実際この目に見るまでは信じられなかったが、良太がこれを一生懸命に作ったのだ。俺は愛されていると確信した。婚約者騒動から良太の俺への感情が変わったのは感じていたが、でもまだ自信がなかった。
良太はまだ俺に隠している事がある。
間違いなく桐生関係だ。葛藤しながらも俺を好きだって伝えてきていた。結局まだ本当のことは打ち明けられてない、俺を好きになったからって簡単に言える内容ではないのだろう。桐生の仕事関係か?
でも、本能では俺をこんなに求めている。
オメガがみんな巣作りをするわけではない。子供が欲しい時、そして番を心から求めている時、そういう特別な時にするらしい。俺の周りでもまだ巣作りをしたという話は聞いたことがない。
俺を想い、俺の匂いのするものを掻き集めた。そしてその芸術的な配置も個々の特性があると言う巣作り。良太らしく、とてもきっちりした配置だった。
良太!
可愛い顔で満足した表情が見受けられる。寝ているから起こすのは可哀想だけど、俺のモノはすでにビンビンだった。もう一秒も我慢できそうにない。マンションに連れてくのは無理そうだ。
急いで伊藤に電話をして、今回は学園で過ごすと事情を伝えた。
「うん……せんぱい?」
俺の声に目が覚めたのか、パチっと開いた目で俺を捉えて微笑んでいる良太がいた。天使!?
「良太、巣作りありがとう、とても嬉しいよ。なんて言葉で表現したらいいかわからない! 初めてなのにすごく上手だ。さすが俺の番だよ。愛している、さぁこっちにおいで? すぐに良太を味わいたい、いいかな?」
良太はまだほんのりと理性があるようで、真っ赤な顔をして周りを見渡した。
「あっ、俺、何してんだ……ごめんなさい、勝手に汚して 、無意識にしてた」
良太は素になると、自分のことを俺という。そうか、もう発情しているから本来の良太になっているんだな。いつか発情期以外でも普通に俺って言って欲しいな。
「これはね、オメガの本能で巣作りというんだよ。本当によくできている、とてもセンスがあるよ、ありがとう」
「え、そうなの……。俺、怒られない? 気持ち悪く無い?」
「ああ、俺を思ってやってくれたのがとても伝わる。本当にありがとう。ねえ、もう抱いてもいいかな? 俺も良太の発情に当てられて、もう限界みたいだよ」
そしたらブワっとフェロモンが出てきた。
「先輩、俺、待ってたの……。先輩に抱いて欲しくて、匂いを早く嗅ぎたくて、いっぱい先輩のもの集めたの……おれ上手にできた? 早く、先輩のそれ、挿れて?」
言いながら良太は自分の尻を出して、あろう事か、すでに濡れているそこを手で押し開き、蜜の垂れる場所をさらけ出してきた!
「……ごくり」
思わずその光景に喉がなった。
「もう! はやく 早く先輩に触らせて? キスして?」
俺を煽る良太に我慢できず、下履きを脱ぎそのままキスをして唾液を飲ませた。俺の体液を摂取して少し満足した良太は満足そうに微笑んだ、そしてもっと、もっと、と俺の剛直を握ってきた。
「うっ 待て、良太、解さないと。そんなに煽らないで? 優しくしたいんだ。発情期のやり直しをしたいのに、また獣のように貪ってしまいそうだ」
「さっきから沢山先輩のこと考えていて、後ろはグチュグチュだから、だからもうそのままきて? 俺のこと、むさぼってよぉ」
俺はその言葉に我を失い、そのままいきり勃ったそれを迷いなく挿れた。
「あああぁぁっ! あん すき 先輩すきっ うっ あああ」
良太がいきなり潮を吹いた。
可愛くて愛しくて、そして一生懸命に締め付けてくるそれもたまらなく健気でどうしようもない。俺もすぐさま達して、良太の中に大量の精液を流し込んだ。
良太がもう聞き取れる言葉を発することはなかった、ひたすら喘いでいる。でも俺を抱きしめる手の力は抜けずに必死に食らいついてきているのが、また愛おしい。
俺の精力が止まることなく、一度も抜かずに何度も何度も繰り返し抱き続けた。
「良太、良太、愛してる」
俺は馬鹿の一つ覚えのように、その言葉しか出なかった。いや、夢中すぎて言葉も何もなくひたすらに良太に突き刺していた。愛しているという言葉は届いてないだろう。
良太は完全に発情して我を失っている。俺も気が付いたら深夜になっていて、ようやく自我を取り戻した。
これじゃ初めての発情期と同じだな。
良太の声がかすれているのは、途中の喘ぎ声から確認はしていた。それすらもエロくてたまらなかったが。
一旦ひいた発情の時間にできることをしなければ。いつまでも良太をこの胸に抱きしめて、寝ていている今も、挿れ続けていたい。そんな非常なコトをしても発情中なら許される。だが良太の体を考えると、水分をとらせてゼリー飲料を流し込んで、そして湯船に浸からせて筋肉を弛緩させなければならない。
挿れ続けたい、そんな思いをかき消して、俺は苦渋の決断をしてベッドを降りた。
もうここで過ごすしか無くなったな。自分のテリトリーに囲って抱き続けたかったが、仕方ない。ここからが今まで努力して培ったスパダリの本領発揮だ。
俺は余すことなく、良太の一週間のお世話を楽しんだ。
そして六日後には発情から覚めた良太が俺の目を見て、キョトンとしていた。
きっとまた記憶が繋がらないのだろう、そんな可愛い番に発情期が終わったことを伝えたが、本人はまだ俺としたかったらしく、まだ発情しているなどと言い可愛らしく誘ってきた。
良太の発情期三度目で、初めて二人とも満足のいく一週間を過ごすことができた。そして今までにないくらい充実した日々であった。
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