運命を知っているオメガ

riiko

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番外編 2

大人の時間 1 ※

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「正樹、色々ありがとう」
「西条、子どもたちが世話になったな」

 北海道に来ていた俺たち家族の元ににきた櫻井夫妻。到着して早々、二人の悩みを互いに聞いた俺と司は二人の子どもを預かり北海道旅行を満喫していた。その間、櫻井夫妻はずっと籠りっぱなしで愛をはぐくんでいた。

 そのことをもちろん知っていた俺は二人で挨拶に来た瞬間……照れてしまった。そしてその俺の様子を見た司がニヤニヤしてたので、そっと腹を肘でついた。

 ヒートで離れることに慣れている空は両親を笑顔で迎えたが、やはり少し寂しかったのか終始海斗さんにくっついていた。三日間空を独占したはずなのに、その姿を双子が悔しそうに見ていた。そしたら櫻井が俺の可愛い息子たちをからかっている。

「まだまだお前らじゃ空は無理だな」
「ルイのくせにぃー」
「ルイだって、カイに負けてるじゃんー!」

 双子はその言葉にむかついたらしく、二人でタックルしていた。

 そんな賑やかな時間を過ごして、歓談をしていた。すると櫻井夫妻の何とも言えない雰囲気が垣間見えてしまったよぉぉぉ。海斗さんの妖艶な感じ、櫻井が海斗さんを見つめる姿、二人が直前まで体を合わせていたのを知っているからか、俺っちドキドキしてしまう。

 海斗さんの夫を誘う勇気を見習い、「俺も男だ!」と心を入れ替えて司の耳もとで囁く。

「つ、つかさ」
「ん? どした? 正樹」
「うん、あのな。俺、今夜お前に抱かれたい……」

 そこで固まる司を見てちょっと焦る。あれ? 俺、なんか間違えたかな。

 ストレート過ぎた? 伝えることが大事だと思ったばかりなので、素直に伝えただけなのだが、間違えてないよな?  

 俺から誘った記憶があまりないので、誘い方がだめだったのだろうかと落ち込んだ。海斗さんみたいに妖艶に誘う能力は持ち合わせていないので、どうしたものかと思っていたら、なぜか隣から司の濃厚なフェロモンが鼻腔に入り込んできた。

「え、な、なんでいきなり」
「あ、ごめん。正樹がストレート過ぎる誘いをするから、俺」
「えええ、や、やめろよ、マジで。抑えろ、子どもと友達がここにはいるんだよ!」

 司がフェロモン全開にしてきた。双子はリビングにいるのが飽きたのか、部屋中を走り回って、今違うところにいるらしい。空は蘭と太陽と遊んでいる。ので、ギリセイフ?

 司のフェロモンはもうつがいの俺にしか分からないにしても、俺が興奮しちゃうだろォぉぉ。抱かれると言ったけれど、こんな時間にこんなところで抱かれるつもりは毛頭ない。しかし、司の香りが俺の官能を誘う。

「はっ、あ、つ、つかさっ」
「ごめん。正樹の色気だけでラット来たわ」

 まじかよ……まさかのラットぉぉぉ―!?

「おまえ、いつからそんな能力身に着けたんだよ!」
「知らないよ。正樹の初めてのヒートの時みたいにドキドキしてきた」
「あん、あ、ま、まてぃ!」

 司に抱きつかれていることに気付いた海斗さんが近づいてきた。

「ありゃりゃ、司、これ完璧だめじゃない?」
「ふへ? 海斗さん」

 海斗さんが司を見て、そう言った。すると司が顔を上げずに、首元でふーふ―言いながら言葉を発する。

「ああ、カイ。俺はもう正樹に溺れる数分後しか見えない。後は頼む」

 司が身を任せてくるので非常に重い。しかし司のフェロモンに俺の男根が実はビンビンなので、司を剥がすことは自身の恥に繋がると知って、司を抱き留めながら海斗さんを見上げた。

「か、海斗さぁーん。どうしよう。俺もダメみたい」
「正樹愛されてるね。ヒートの前にラット起こさせるなんて。産後からまだだって言ってたよね。きっとこの後ヒートセックスだよね? よし! 子どもたちは僕に任せて。このままうちのヴィラに連れてくね! あとはスマホで連絡くれたらいいからねぇ」
「え、え、え。でもこれから明たちが」
「ああ、そっか。今日から二家族合流か。そっちも任せてね!」
「あ、はい。すいません」

 司が俺の匂いを嗅いで、ふーふーって耐えている。その姿に俺だって司がほしくて仕方なかった。海斗さんが櫻井に話すと、目が合う。にやって笑った櫻井が、「後は任せろ~」と言って、急いで子どもたちを連れて行く。ドアの締まる音とともに司の香りがこの部屋全体に広がっていった。

「司、二人きりになれたぞ」
「ああ、正樹っ、まさきっ!」

 司がキスをする。いきなり濃厚なやつ。それを受け取り、舌を出し、司の口内で熱い舌を絡めとった。

「司、好き」
「正樹っ、俺、俺も、愛してる」

 先ほどまで子どもや友達がいたリビングで、二人は舌を絡めあい、急いでお互いの服を脱がせていた。

 突然始める行為など、子どもができてからそうそうない。いつも計画的に子どもを寝かしつけてから行う。それすらも泣き声で中断されたりするので、やはり互いの両親のところに泊まらせて二人きりになって、さあやるぞとなった日に始める行為であり、計画的にしてきた。

 それが今、子どもが同じ部屋にいるにも関わらず急に始まった。理解ある友人のおかげで興奮してすぐに始められることに俺は感謝した。後でいじられるかもしれないが、それはもう仕方ない。それよりも今、司と本能から愛し合いたいと思った。

 俺を求めてラットを起こすくらい、司は本能から俺を欲しがってくれている。普段の本能関係ない交わりも好きだが、やはりオメガだ。こういった交わりが一番求めているものだった。

「つかさぁ、つかさ!」
「んん、正樹、ああ、正樹からいい香りがしてきた」
「ん、海斗さんの言う通り、俺、ヒートきそう」
「ああ、そうだな。ここなら安心だ。愛してる、正樹っ」
「お、おれも、愛してる」

 お互いに衣服を脱ぎ取った。俺の片足にはまだズボンが絡まっているがそれすらももうどうでもいい。とにかく繋がりたいと、オメガの秘部が蜜を出す。

「あん」
「ぐちょぐちょだ」

 司が後孔に手を入れる。ぬめりが誘い、するっと中にはいりこんだ。

「あ……あんん!」

 リビングの床で交わる俺たち。普段の司なら俺の体を気にして、硬い床でなどしない。そんな余裕ない司が久しぶりで、床の硬さなどなんとも思わなかった。司が早くほしい、それだけ。

 俺の手が司の欲望を触ると、凄く主張してきた。こいつが、これから俺の中を……

「正樹、まだほぐれ切ってない。そのいやらしい手つきはもうちょとまて」
「気にするなよ、俺はお前を可愛がりたいんだから。んんちゅっ、んん」
「んん、ま、ん、さき」

 俺は司の口をキスで塞ぐ。会話なんて要らない。俺たちに今必要なのは一つになること。理性なんて要らない。俺と司だけの世界。体が繋がればすべてが一つになる。それは俺たちには歴史があるからできること、何度も何度も一緒にヒートを過ごしてきた。会話もたくさんしてきた。だから、俺はもう司を信用しきっている。

「あ、んん。あ、そこっ」
「ああ、正樹の良いところ。はぁ、はぁ」

 興奮してるなら、早くれればいいのに、俺をまずは指で喜ばせようとする司が可愛い。俺も、もうダメだった。

「あ、ああああ!」

 体がびくびく痙攣した。あっけなく、ラット中の夫よりも早く俺は達してしまった。俺の胎の上には欲望の水が溜まっている。それを見て司が一言。

「正樹、れるぞ」
「は、ちょ、ちょっとま、ああああ!」

 ラットに入っているにも関わらず、ここまで丁寧に正樹を開いた司だから、ゆっくりと挿入はいってくるのかと思いきや、まるで覚えたての十代かのように、一気に差し込んできた。

「あ、うう、まさきっ」
「あ、あ、あ、ああ司っ、あん」

 容赦ないわ。すげぇ、くる。

 俺は満足していた。司の熱い塊が奥まで貫く。腹がぽごっと主張する。こんなの、凄く久しぶりな気がして、たまらない、そう思い、自身の腰を振った。

「あ、あ、ああ、司っ、い、イイ!」
「正樹っ、なにこれ、あ、フェロモン出てきた。すげ、気持ぃ」

 司も負けじと腰をゆする。その動作が、愛おしくてたまらない。

「あ、あ、あ、あああ」

 揺すられるたびに、声が漏れる。

 司はその声を聴いて嬉しそうに強く抱きしめて腰を振る。俺はどんな司を見てもいつだってきゅんきゅんしてしまう。たまらなく気持ちいい。愛おしくてたまらない。久々の深い交わりで、こんな感情を思い出した。普段の司が好きだし、交わっていなくても愛している。だが、やはり深く繋がるとより司が愛おしくなる。オメガの根本は、ここにあった。愛するアルファに抱かれて、体だけではなく心も満たされる。

 そう思ったからなのか、子宮がきゅんとしたのが自分でもわかったし、抱いている司にはダイレクトに響いたみたい。

「ま、待って正樹、それ、イクから」
「イッてよ、俺も、また、あ、あああ」

 司の熱い熱を胎で感じた。

 最高に幸せな瞬間だった。
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