運命を知っているオメガ

riiko

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番外編

8、番になったその後7

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「なぁ、俺、思い出したんだよ」
「ん、なにを?」

 激しい交わりの後、二人くっついてゴロゴロしていた。俺は最後にイった時、まさかの、まさかの、司とつがいになった日のことを思い出した。

 そのきっかけが、ケツの孔を舐められたという行為だったのが悲しすぎるがな! あいつはつがいになる時の前戯で俺のケツを舐め舐めしたんだったんだよぉ!

 それを喜んで許していた俺。

 あの時、俺は初めて司に全てを許した。とにかくすげぇ気持ちが良くて、司が愛しくて、なんでも司のやりたいようにして欲しくて。

 ああああぁぁぁぁ!

 でも、俺は酷い男だ。あの後、その時交わした言葉を忘れて司を責め立てたんだからな。つがい契約は俺の意思だった。司は今回じゃなくてもいいって言ってくれたのに、俺が噛んでってねだった。

 思い出した以上は、司を傷つけたことは謝らなければ。

「ごめんな、司。俺、発情期中の記憶なくしていたじゃん、それで司に辛くあたった」
「う、うん?」

 あれ? 司が身構えた。別れ話でもするくらいな重い雰囲気、でもないよね?

「さっきの行為で、あの時のこと思い出したんだ」
「ええっ、ごめん! 俺ぶっ飛んで、前にダメって言われたのに、またやっちゃってごめん、正樹のしたいことしか、これからはしないから……」
「バ――カ、そんな話じゃないから。というかお前にされて嫌なことなんて無い。そんな弱気になるなよ」

 司がホッとした。良かった、俺、司に色々文句言いすぎているもんな、これからはそこも気をつけよう。

「俺は、司が好きでもう離れたくなくて、あの発情期には俺から噛んでってお願いした。なんでこんな大切なこと忘れていたんだろ。きっと本格的に発情期を全部、司と……好きな人と過ごせて、ぶっ飛んだんだろうな、ほんとごめん」
「ま、さきっ」
「泣くなよ、もう。俺はいつもお前を傷つけてばかりだな。これからは気をつける、俺は望んでお前のつがいになった。あ、あ、愛してるからな!」
「おれ、俺も、俺も愛してる。嬉しい、あの時の素敵な記憶は俺の中だけで大事にしておくつもりだったけど、正樹とも共有できるなんて! 正樹、思い出してくれてありがとう」

 全てぶちまければいいのに、俺に合わせてくれたんだ。無理に記憶のない時のことを言わないで、俺を支えてくれて、俺はこいつの優しさに守られている。

 日に日にこいつが愛おしい気持ちが膨らむ。俺、このまま年とれるのかな? つがいになってもどんどん好きになって、たまにどうしようもなくなる。

 やはり俺の死因はキュン死に違いないな。その時がくるまで、俺、お前から離れないからな! 覚悟しろよ、俺のアルファ様!

「正樹、一生離さない、愛してる」
「俺もだよ…‥バカ」

 司は笑って俺にキスをした。


 ***

正樹が発情期に忘れていた記憶は、『運命を知らないアルファ』45話、46話、47話に記載されております。気になる方はそちらをご参照くださいませ。
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