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4-03.やっちゃった
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淫魔を許すな。一匹見つけたら百匹居ると思え。根絶やせ。淫魔に精子を提供するくらいなら親友を女体化させて精神的BLに勤しむ方が有意義だ。
以上がドスケベ・アースにおける常識である。俺はそういう世界で三年間を過ごした。
最近は危機感の無い状況が続いているが、当時は常に張り詰めていた。
あの角を曲がったら淫魔の群れに襲われるかもしれない。この宿は淫魔の支配下にあり、眠れば命が尽きるかもしれない。そういう危機感が常にあった。
久々に淫魔と遭遇した。
だから……仕方なかったんだ。
「……仕方、なかったんだ」
俺は今、ベッドの端に座っている。
このベッドはスキルで生み出した。効果の影響範囲内に存在する生物の感度を二割から三割ほど増加させる効果がある。
「……」
振り返る。
淫魔のような角と翼、そして尻尾の生えた少女が、うつ伏せで寝ている。
少女は全裸である。
彼女の周囲を見れば、直前までの出来事が容易に想像できる。
ひとつひとつ説明しよう。
まずは千切れた触手。
そして千切れた触手。触手まみれである。
触手及びその周辺には、何やら液体が付着している。これらは全て、今はピクリとも動かない少女から生み出された。
「んぉ”っ”」
動いた。より正確には跳ねた。
とにかく、彼女が発生源である。
何が起きたか。
……いや、ナニは起きていない。
あくまで異世界の習慣が招いた突発的な行動である。俺に邪な気持ちは一切なく……、
やめよう。
こんな言い訳は淫キャらしくない。
「……やっちゃった」
つまりそういうことである。
「だが、これは……」
未だ定期的に痙攣している少女を見る。
「なぜ、消滅していない?」
俺は本気を出した。
実際、27回の連続絶頂を確認している。
並の淫魔ならば、その最中に消滅しているはずだ。しかし彼女は消えていない。
結果としては良かった。
同じ学校の生徒を消滅させずに済んだ。
だが疑問は残る。
これほどの淫力、まるで……、
「……ぁ、ぇ?」
俺は咄嗟に距離を取った。
バカな、目を覚ましただと……?
「……?」
寝ぼけた様子で周囲を見ている。
どうやら意識はハッキリしていない様子だ。
どうする?
今度こそ完全に消滅させるか?
落ち着け、まずは会話だ。
あれが異世界の淫魔と同じとは限らん。
俺の中で思考が加速する。
闘いの日々に身を置いていた時の感覚が蘇る。
やがて研ぎ澄まされた視界に映ったのは、涙だった。
(……何を泣いている?)
油断はしない。
全力で警戒する俺の前で、彼女の唇が微かに動いた。
(……詠唱か!?)
距離を取ったのは悪手だった。
この位置から詠唱を防ぐことは難しい。
「……わ、わら、わらひ、ましゃ、ひゃぁ~」
なんだ今の呪文は!?
何が起こる。いや、まさか既に発動している?
(……何も、起きない?)
訝しむ俺の前で、彼女は動きを見せた。
自らの肩を抱き、身を震わせる。
その表情には幸せが満ち溢れている。
(……どういうことだ?)
警戒を続ける。
彼女は首を左右に動かし、俺を見つけると、ハッとした様子で目を見開いた。
(……来るッ!?)
結界スキルの出力を高める。
今の俺には、僅かな空気の流れさえも届かない。
(……何か、喋っている?)
唇の動きを読む。
そして俺は、結界スキルを解いた。
「……もう一度、言ってみろ」
以上がドスケベ・アースにおける常識である。俺はそういう世界で三年間を過ごした。
最近は危機感の無い状況が続いているが、当時は常に張り詰めていた。
あの角を曲がったら淫魔の群れに襲われるかもしれない。この宿は淫魔の支配下にあり、眠れば命が尽きるかもしれない。そういう危機感が常にあった。
久々に淫魔と遭遇した。
だから……仕方なかったんだ。
「……仕方、なかったんだ」
俺は今、ベッドの端に座っている。
このベッドはスキルで生み出した。効果の影響範囲内に存在する生物の感度を二割から三割ほど増加させる効果がある。
「……」
振り返る。
淫魔のような角と翼、そして尻尾の生えた少女が、うつ伏せで寝ている。
少女は全裸である。
彼女の周囲を見れば、直前までの出来事が容易に想像できる。
ひとつひとつ説明しよう。
まずは千切れた触手。
そして千切れた触手。触手まみれである。
触手及びその周辺には、何やら液体が付着している。これらは全て、今はピクリとも動かない少女から生み出された。
「んぉ”っ”」
動いた。より正確には跳ねた。
とにかく、彼女が発生源である。
何が起きたか。
……いや、ナニは起きていない。
あくまで異世界の習慣が招いた突発的な行動である。俺に邪な気持ちは一切なく……、
やめよう。
こんな言い訳は淫キャらしくない。
「……やっちゃった」
つまりそういうことである。
「だが、これは……」
未だ定期的に痙攣している少女を見る。
「なぜ、消滅していない?」
俺は本気を出した。
実際、27回の連続絶頂を確認している。
並の淫魔ならば、その最中に消滅しているはずだ。しかし彼女は消えていない。
結果としては良かった。
同じ学校の生徒を消滅させずに済んだ。
だが疑問は残る。
これほどの淫力、まるで……、
「……ぁ、ぇ?」
俺は咄嗟に距離を取った。
バカな、目を覚ましただと……?
「……?」
寝ぼけた様子で周囲を見ている。
どうやら意識はハッキリしていない様子だ。
どうする?
今度こそ完全に消滅させるか?
落ち着け、まずは会話だ。
あれが異世界の淫魔と同じとは限らん。
俺の中で思考が加速する。
闘いの日々に身を置いていた時の感覚が蘇る。
やがて研ぎ澄まされた視界に映ったのは、涙だった。
(……何を泣いている?)
油断はしない。
全力で警戒する俺の前で、彼女の唇が微かに動いた。
(……詠唱か!?)
距離を取ったのは悪手だった。
この位置から詠唱を防ぐことは難しい。
「……わ、わら、わらひ、ましゃ、ひゃぁ~」
なんだ今の呪文は!?
何が起こる。いや、まさか既に発動している?
(……何も、起きない?)
訝しむ俺の前で、彼女は動きを見せた。
自らの肩を抱き、身を震わせる。
その表情には幸せが満ち溢れている。
(……どういうことだ?)
警戒を続ける。
彼女は首を左右に動かし、俺を見つけると、ハッとした様子で目を見開いた。
(……来るッ!?)
結界スキルの出力を高める。
今の俺には、僅かな空気の流れさえも届かない。
(……何か、喋っている?)
唇の動きを読む。
そして俺は、結界スキルを解いた。
「……もう一度、言ってみろ」
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