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4-04.淫キャの誓い
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「もう一回お願いします!」
と、彼女は満面の笑みで言った。
(……バカな)
俺は大淫魔と戦った時と比べて弱体化している。
それでも「単体で国ひとつ滅ぼせる四天王」と渡り合えるだけの力は残っている。
本気で攻めた。
それが……ただの快楽にしかなっていない、だと?
驚愕が恐怖に変わり、膝から力が抜ける。
しかし崩れ落ちるすんでのところで歯を食い縛り、虚勢を顔に貼り付けた。
「ふっ、我が挨拶を気に入って頂けたようで何よりだ」
「……挨拶♡ ……あれで♡」
彼女は両手で頬を挟み、悶えた。
その様子に恐怖を覚えながら、俺は言う。
「さて、話をしようか」
「……お話?」
平静を保ちながら高速で思考する。
探れ。考えろ。こいつは、あまりにも危険過ぎる。
「快楽とは錯覚のようなものだ。故に、お互いを知れば、より気持ちよくなれる」
「そそそっ、そんなっ、恐れ多いです。私なんてそんな、いつでもどこでも使える都合の良い自動浄化機能付き便女くらいに思って頂ければ十分です!」
それは、とてつもない早口だった。
「……え、えへ、えへ」
おどおどした態度で俺の様子をうかがっている。
おかしい。まるで普通の陰キャだ。害を感じない。
しかし俺の直感は叫び続けている。
いっそ叫び疲れて喘いでいるくらいだ。
──今すぐに消滅させろ。
この直感に従うべきか。
……いや、恐ろしいからこそ知るべきだ。
「俺は月影翔馬。貴様の名は?」
「……近藤、睦姫、です」
「良い名前だな」
「えへ、えへへ、妊娠とか防げそうな名前ですよね」
あえて言わなかったことを……。
「実際、その、サキュバスなので……意図的にコントロールできますよ!」
ふむ、こちらではサキュバスというのか。
向こうならば上級淫魔──あるいは固有の名称を付けているところだが……。
「睦姫と呼ぶ」
「あひゅっ!」
「どうした、不満か?」
「ひぇっ、とんでもなれしゅ! あの、その、男の人に名前で呼ばれたの初めてで、えへ、えへへ、えっへへへ……」
やはり普通の陰キャにしか見えん。
演技か? ……いや、俺には分かる。これは間違いなく素だ。
「うっ、くぅ、ふぇ……」
今度は急に泣き出した。
この情緒の乱れっぷりも陰キャの特徴だ。
「わらひっ、うらひぇす……パパ以外の男性、ちょっと触るだけで干乾びちゃってぇ……怖くてぇ……でもパパ臭くてぇ……生理的に無理でぇ……このまま一生お腹ぺこぺこサキュバスなのかなってぇ……」
……ふむ。
「私に触っても倒れなかったパパ以外の男性、初めてです。つ……えっと、あの、つ、つき、月影くん! ……は、どうして平気、ですか?」
……ふむ。
「……ぇ、ぇへへ。名前呼んじゃった」
俺は大きく息を吸う。
それから自分の頬を全力で殴った。
「つきかぎゃぁ!?」
彼女は悲鳴を上げた。
「と、突然なにゃ!?」
「すまない、驚かせたな」
同級生ハーレムを実現するには、多くの個性を受け入れる器が必要だ。しかし俺は相手が淫魔……サキュバスであるというだけで、無様を晒してしまった。
自分が恥ずかしい。
故に、制裁を与えた。
「睦姫は、男性に触れたいのか?」
「うぇっ!?」
「もしも普通に生きられるとしたら、どうする?」
あえて、直接的な表現で言い直した。
彼女は瞳に驚きの色を宿した後、緊張感を閉じ込めるようにして唇を結んだ。
「なんでもします」
そして力強い返事をした。
ふむ、どうやら俺の予想は正しかったようだ。
彼女は言った。
ちょっと触れると干乾びる。
一生お腹ぺこぺこサキュバス。
この二言があれば十分だ。
彼女は男性を干乾びさせることを望んでいない。しかし、サキュバスとしての性質がそれを許さない。……さぞ、恐ろしかったことだろう。少し触れるだけで、殺してしまうかもしれない。まともな倫理観があれば人混みを避ける。休日、遊びに出かけるとか、電車に乗るとか、そういう当たり前のことができない。
思春期の女子は目立つことを嫌う。
皆と一緒であることを望む性質がある。
しかし彼女は、それができない。
絵に描いたような陰キャになってしまった理由の一端が、恐らくそこにある。
途端に愛らしく思えた。
おどおどした態度、抑揚のおかしい喋り方、上擦った声。
それらは全て、強さの証明だ。
もしも彼女がサキュバスとしての衝動に身を委ねていたら、きっと今とは正反対の性格になっていた。
「喜べ、近藤睦月。俺はサキュバスに詳しい」
故に、敬意を示す。
「約束しよう。貴様の望み、この俺が叶えてやる」
と、彼女は満面の笑みで言った。
(……バカな)
俺は大淫魔と戦った時と比べて弱体化している。
それでも「単体で国ひとつ滅ぼせる四天王」と渡り合えるだけの力は残っている。
本気で攻めた。
それが……ただの快楽にしかなっていない、だと?
驚愕が恐怖に変わり、膝から力が抜ける。
しかし崩れ落ちるすんでのところで歯を食い縛り、虚勢を顔に貼り付けた。
「ふっ、我が挨拶を気に入って頂けたようで何よりだ」
「……挨拶♡ ……あれで♡」
彼女は両手で頬を挟み、悶えた。
その様子に恐怖を覚えながら、俺は言う。
「さて、話をしようか」
「……お話?」
平静を保ちながら高速で思考する。
探れ。考えろ。こいつは、あまりにも危険過ぎる。
「快楽とは錯覚のようなものだ。故に、お互いを知れば、より気持ちよくなれる」
「そそそっ、そんなっ、恐れ多いです。私なんてそんな、いつでもどこでも使える都合の良い自動浄化機能付き便女くらいに思って頂ければ十分です!」
それは、とてつもない早口だった。
「……え、えへ、えへ」
おどおどした態度で俺の様子をうかがっている。
おかしい。まるで普通の陰キャだ。害を感じない。
しかし俺の直感は叫び続けている。
いっそ叫び疲れて喘いでいるくらいだ。
──今すぐに消滅させろ。
この直感に従うべきか。
……いや、恐ろしいからこそ知るべきだ。
「俺は月影翔馬。貴様の名は?」
「……近藤、睦姫、です」
「良い名前だな」
「えへ、えへへ、妊娠とか防げそうな名前ですよね」
あえて言わなかったことを……。
「実際、その、サキュバスなので……意図的にコントロールできますよ!」
ふむ、こちらではサキュバスというのか。
向こうならば上級淫魔──あるいは固有の名称を付けているところだが……。
「睦姫と呼ぶ」
「あひゅっ!」
「どうした、不満か?」
「ひぇっ、とんでもなれしゅ! あの、その、男の人に名前で呼ばれたの初めてで、えへ、えへへ、えっへへへ……」
やはり普通の陰キャにしか見えん。
演技か? ……いや、俺には分かる。これは間違いなく素だ。
「うっ、くぅ、ふぇ……」
今度は急に泣き出した。
この情緒の乱れっぷりも陰キャの特徴だ。
「わらひっ、うらひぇす……パパ以外の男性、ちょっと触るだけで干乾びちゃってぇ……怖くてぇ……でもパパ臭くてぇ……生理的に無理でぇ……このまま一生お腹ぺこぺこサキュバスなのかなってぇ……」
……ふむ。
「私に触っても倒れなかったパパ以外の男性、初めてです。つ……えっと、あの、つ、つき、月影くん! ……は、どうして平気、ですか?」
……ふむ。
「……ぇ、ぇへへ。名前呼んじゃった」
俺は大きく息を吸う。
それから自分の頬を全力で殴った。
「つきかぎゃぁ!?」
彼女は悲鳴を上げた。
「と、突然なにゃ!?」
「すまない、驚かせたな」
同級生ハーレムを実現するには、多くの個性を受け入れる器が必要だ。しかし俺は相手が淫魔……サキュバスであるというだけで、無様を晒してしまった。
自分が恥ずかしい。
故に、制裁を与えた。
「睦姫は、男性に触れたいのか?」
「うぇっ!?」
「もしも普通に生きられるとしたら、どうする?」
あえて、直接的な表現で言い直した。
彼女は瞳に驚きの色を宿した後、緊張感を閉じ込めるようにして唇を結んだ。
「なんでもします」
そして力強い返事をした。
ふむ、どうやら俺の予想は正しかったようだ。
彼女は言った。
ちょっと触れると干乾びる。
一生お腹ぺこぺこサキュバス。
この二言があれば十分だ。
彼女は男性を干乾びさせることを望んでいない。しかし、サキュバスとしての性質がそれを許さない。……さぞ、恐ろしかったことだろう。少し触れるだけで、殺してしまうかもしれない。まともな倫理観があれば人混みを避ける。休日、遊びに出かけるとか、電車に乗るとか、そういう当たり前のことができない。
思春期の女子は目立つことを嫌う。
皆と一緒であることを望む性質がある。
しかし彼女は、それができない。
絵に描いたような陰キャになってしまった理由の一端が、恐らくそこにある。
途端に愛らしく思えた。
おどおどした態度、抑揚のおかしい喋り方、上擦った声。
それらは全て、強さの証明だ。
もしも彼女がサキュバスとしての衝動に身を委ねていたら、きっと今とは正反対の性格になっていた。
「喜べ、近藤睦月。俺はサキュバスに詳しい」
故に、敬意を示す。
「約束しよう。貴様の望み、この俺が叶えてやる」
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