罪なき人の成り上がり

今崎セイ

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62話 最悪の再会

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ラクレスは剣を高らかに掲げ、ロッド・ゲルマンの首めがけて剣を振り下ろした。

「行くぞっ!!!!!!」

しかしラクレスの頭の中にはあることが浮かんでいた。

(なんで.....俺はさっきこいつを助けようとしたんだろう..........)

ラクレスはそう思いながらも、振り下ろす剣を止めようとはしなかった。

(これで、トークの仇を討てる..........)

ラクレスはそう思い込みながら、剣を振り下ろした。

すると、

「やめろっーーーーーーーー!!!!!!」

「やめてっーーーーーーーー!!!!!!」

オルロ・リットンとオッド・リーシャの声がラクレスの耳に届いた。

それでもラクレスはその声には耳を傾けない。

しかし、

「ラクレスッやめてっーーーーーーーー!!!!!!」

ラクレスは、自分の名前が呼ばれると剣を止め、声がした方向を振り向いた。

そしてすぐに口を開く。

「なんで俺の名前を知っている?」

ラクレスはすぐさまそう言い、その声の主、すなわち仮面の騎士を警戒した。

「なんでって.........そんなの..........とにかくもうやめてっ..........こんなの違うって..........」

「.............お前、何者だ?俺をしっているような口ぶりだけど、どこかであった事があるのか?」

ラクレスは警戒心を強めながら聞き返した。

「.........知ってるも何も.........私だよ.............まさか....生きていたなんて.....私死んだと思ってたから....」

「....死んだと思ってた.............?」

ラクレスは思考を巡らしていた。

その間、

「どうした?仮面の騎士。」

オルロ・リットンが仮面の騎士を心配した。

そして、「まさか、あいつの洗脳?そんな能力を持っていたなんてね..........」

と、オッド・リーシャまでもそんな口を開いた。

「ラクレス..........まさか....私のこと忘れた?」

仮面の騎士が仮面を取って、笑顔を見せた。

「っ!?まさか..........リーネ..........?」

ラクレスの頭が混乱した。

(待てっ..........本当にリーネか?やっぱり、あいつは生きてたんだ..............ってことは、ビアンカさんを殺したのはリーネ?.........どういうことだよ..............)

「ラクレスどうしたの?」

目の焦点があっていないラクレスを心配したリーネがラクレスに近づいた。

「.........ビアンカさんの仇がリーネ?」

「どうしちゃったのよ急に.........」

リーネはブツブツと呟いているラクレスの顔を見た。

すると、

「うっ!!!!!!」

ラクレスが突然リーネの首を絞めた。

「大丈夫かっ!!!!!!」

それを見たオルロ・リットンがすぐさまリーネを救出しようとラクレスに近づいた。

「おいっ、お前も来いっ!!!!!!ゲルマンっ」

「.........あっ、あぁ」

オルロ・リットンはロッド・ゲルマンを呼んで、ラクレスに攻撃を仕掛けた。

しかし、ラクレスはリーネへの首絞めを緩めることなく立ち上がり剣を抜いた。

「お前っ、何する気だっ?」

オルロ・リットンがリーネに剣を向けているラクレスを見て口を開いた。

そして、オルロ・リットンは剣を持っているラクレスの手を蹴り上げた。

手を蹴られたラクレスは、剣を放すと同時にリーネも放してしまった。

すると、ロッド・ゲルマンが何も持たなくなったラクレスに魔法を放った。

「火魔法迦楼羅炎カルラエン

ラクレスはロッド・ゲルマンの魔法を避けることなく、そのまま当たった。

しかし、

「何者だ?こいつは..........」

倒れずにそのまま突っ立っているラクレスをロッド・ゲルマンは不気味に思った。

「隊長駄目ッ!!!!!!私が何とかする。」

リーネはそう言うと、ラクレスに近づいた。

「ラクレス、大丈夫。落ち着いて。」

しかし、リーネの声はラクレスには届かない。

ラクレスは亜空間から錆びた魔剣ハデスを取り出すと、リーネに一瞬で近付いた。

「えっ!!!!!!」

リーネはラクレスの動きに反応できずに、そのまま腕を斬られてしまった。

「きゃっ!!!!!!」

「仮面の騎士っ!!!!!!」

腕を切られた仮面の騎士を見て、オルロ・リットンが近づいてきた。

「大丈夫..........大丈夫です団長。」

リーネはそういうと、ラクレスに抱きついた。

「大丈夫。大丈夫だから..........」

周囲にいたオルロ・リットン、ロッド・ゲルマン、オッド・リーシャはいつでも攻撃を仕掛ける準備をしていた。

しかし、

「..........落ち着いたか?」

「そうみたいだな..........」

ロッド・ゲルマンがオルロ・リットンの言葉に反応すると、そのまま座り込んだ。

「それにしても、あいつ何者だ?仮面とは知り合いらしいけど..............」

「そうだな..............確かめてみる必要がありそうだ..............」

「はっは、仕事が増えたな?」

「.........そのようだな。」

「団長、隊長、誰か救護の人をを呼んでくださいっ!!!!!!」

「で、でもよ、そいつは敵だろ?」

「いいから早くっ!!!!!!」

「あ、あぁ、分かった。そんなことより、お前も早く血を止めろ。さっき斬られたところからの出血が止まってないぞ?」

ロッド・ゲルマンはそういうと、オッド・リーシャに頼み救護の人を呼んだ。

「よしっ、俺はここの後始末をする。お前らは先に戻って休んでろ。」

オルロ・リットンがそう言うと、その場にいた者たちがその場を離れた。

そして、その騒動は一応の落ち着きを見せたのであった。
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