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しおりを挟む跡取りとして執着してないのに、相手からの一方的な敵意で命を狙われるなんて、理不尽にも程があるよね。
貴族ってこう言うドロドロしてるのが面倒臭いんだよね。
我が家は一応は子爵家だけど、そういうドロドロしたのは無縁の家ではある。
領地があるわけではないし、我が家は五代前の当主が上級魔術師として、王都を襲撃したドラゴンを討伐して、その褒美で子爵になり、今でも魔術師として評価されている。
特にお父様がオーナーになってるお店は評価されてるんだよね。
今まで魔物の素材を扱うお店がなかったわけではないけど、お父様のお店みたいに注文が出来たりしなかった。
他のお店は冒険者から買い取ることが多くて、どんな商品を並べられるかは冒険者次第になる。
たまに冒険ギルドに注文もするみたいだけど、依頼を受けてもらえないと手に入らない。
だけどお父様はお客さんの要望があったら、自分で取りに行ったり、他の魔術師が任務のついでに確保しに行ってくれるから、欲しいものが手に入りやすい。
魔術師としても臨時収入になるから、進んで手伝って貰えるんだよね。
研究を中心的にやってる魔術師には、魔導具などを代理販売をしてるから、その点でも商品が豊富で人気がある。
今までは国として必要な魔導具ばかりが優先されてきたから、日用品で使える魔導具の数は少なかった。
開発してもあまり評価されなかったみたいなんだよね。
だから自分だけの為に作ってた人も居たみたいだけど、今では人気の商品だから進んで開発してる人もいる。
お父様のお店は一店舗しかないのに、毎年かなりの売上になっており、領地持ちの侯爵家と同じぐらいの収入がある。
もしかしたらそれ以上かもしれない。
そのせいで他の貴族から妬まれたりするけど、今までは家のことは内緒にしてから問題なかった。
私は家を継がないし、政略結婚をしないから今まで通りかもしれないけど、デニス兄様は家を継ぐから公表する必要がある。
完全にドロドロした世界に足を突っ込むことになるんだよね。
デニス兄様と私は兄妹って知ってる人も居るから、察しの良い人は私のことも知ることになるんだよね。
社交に出るつもりはないけど、もしもデニス兄様が困ってたら、助けるつもりはあるけど、貴族特有の空気感って苦手なんだよね。
「どうした?もしかして俺の話で重たい空気にしてしまったか?俺は気にしてないから、お前も気にするな」
私が黙り込んだから勘違いさせたみたい。
いや………、あながち勘違いでもないかな?
カイル様の話が切っ掛けで、憂鬱なことを思い出してしまったのだから。
「カイル様の話を聞いてビックリしたのは間違いないですけど、貴族は色々と面倒臭いって考えてたんです」
「だろうな。俺も師匠と暮らしてた時は煩わしいことから避けられてたけど、学園に入学してからはネヴィル家として嫌でも目立ってたからな」
「そうなんですか?でも学園ではわざわざ家名を名乗る必要はないですから、言わなかったらバレなかったんじゃないですか?」
家名を名乗らないで良いってルールがあるから、我が家のことを知られないですんだから、私も助かってたもの。
「俺はこの見た目だからネヴィル家の長男として有名だったんだよ」
あぁ~、カイル様は黒髪で黒目だから確かに目立つかも。
何の疑問に思ってなかったけど、黒髪と黒目って凄く珍しい。
他の国は分からないけど、この国では黒髪も黒目も珍しい。
片方だけなら百人に1人ぐらいは居るけど、両方揃ってるのはカイル様以外に見たことがないし、聞いたこともない。
ネヴィル家の長男が黒髪と黒目で生まれたって知られてたら、誤魔化すことは出来ないよね。
私は情報に疎いのか全然知らなかったけど、ネヴィル家の長男が黒髪で黒目で生まれたなら有名のはずだよね。
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