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しおりを挟むカイル様は無言になったかと思ったら、すごい速さで紙に何か書き始めた。
何を書いてるのかな?
好奇心で何を書いてるのか覗き込むと、魔法陣と計算式と簡単な腕時計の設計図が描かれている。
魔法陣と計算式ならまだ理解できるけど、腕時計の設計図まで描けるの?
この計算式は何かな?
「こんなものか?電流は実験してみないと分からないが、これぐらいなら怪我をしたりしないだろ」
「新しい目覚まし時計は作れそうなんですか?」
「作れるぞ。知り合いの職人に手伝ってもらう。これが完成したら俺も欲しいからな。お前にも報酬として作ってやる」
「えっ!?カイル様が作るんですか!?」
「本体は職人に頼むけど、魔法陣を刻んだりするのは俺でも出来る。自分で作ったほうがあんぜんだからな」
自分で作ったほうが安全?
誰かが作ったものだと危険な可能性があるってこと?
「他の人が作ったものは信用できないってことですか?」
「俺の命を狙ってるものは、一人や二人の話ではないからな。侯爵家の長男として命を狙われる可能性もあるけど、上級魔術師として命を狙われる可能性がある」
作ろうとしてる物が電流を流すものだから、わざと出力を上げたら命の危険もある。
命が狙われてる可能性があるなら、警戒してもおかしくはないかな?
「カイル様は誰に命を狙われてるのか分かってるんですか?」
「魔術師として狙ってくる相手は特定出来てないな。逆恨みが多すぎて把握出来ない。若い俺が上級魔術師になったことに嫉妬してって理由もあるし、任務とかで逆恨みもあるな」
任務での逆恨みは理解できる。
お父様が私達の情報を隠してるのも同じ理由だからね。
災害地などに救助に行くと、ほぼ確実に全員を助けることが出来ない。
現地に着いた時には亡くなってる者がいる。
そうなると遺族から恨まれることがある。
他にも犯罪者を捕縛したりした場合とかに、逆恨みする人が出てくるみたいなんだよね。
犯罪者の家族や恋人とかから恨まれる事がある。
理不尽だと思う。
そんな人達が居なかったら、私もデニス兄様もお父様達を自慢できるし、堂々とお父様達が私の親だと言える。
「侯爵令息として狙ってくる人は分かってるんですか?」
「分からないものも居るけど、よく刺客を送ってくるものならわかってる」
「今現在で狙われてるんですか!?」
「継母が俺を邪魔に感じてるんだよ。俺の弟と妹は継母の子供なんだが、前妻の子供である俺は邪魔らしい。俺が居ると弟が家を継げないと思ってるみたいだな」
そっか………、今のネヴィル侯爵夫人は後妻だったけ?
ネヴィル侯爵とネヴィル侯爵夫人が結婚したのが、私が小さい頃だったからあまり記憶になかった。
貴族にはよくある揉め事かな?
本人からしたら最悪だろうけど、他人からしたらまたかって感じね。
「家族から命を狙われるのは辛いですね」
「そうでもないな。俺は小さい頃から師匠と暮らして居たから、継母とは家族って感じはしないんだよな。弟と妹は魔術師として関わる機会があるけど、あの人は貴族ではあるけど一般人だからな」
「師匠さんと暮らしてたって、家では命が狙われてるから避難してたってことですか?」
「うーん、2割ぐらいはそれが理由だけど、1番の理由は魔力が多過ぎて暴走しそうだから、師匠のところに預けられてたんだよ。俺の師匠は祖父の弟だから任せやすかったんだろ」
魔力が多いせいか。
私も魔力が多いから小さい頃は、お父様に魔力を封印されていた記憶がある。
今でも魔力のコントロールは苦手だけど、暴走しないようにするぐらいはコントロール出来るから、封印は解かれているけどね。
命の危険があったらコントロール出来る自信はないけど
「カイル様の父親は妻が子供の命を狙ってるのに、何も対策はしなかったんですか?」
「あの人は貴族は弱肉強食って思考の人だから、もしも俺が死んでも弱かったからだって考えるだけだ。俺は跡取りには興味がないんだけどな。弟が継ぎたいなら俺は辞退しても構わない」
上級魔術師だから生活に困ることはないもんね。
のんびり任務をこなしてても伯爵家と同じぐらいは稼げる。
もっと頑張れば侯爵家と同じぐらいは稼げるから、侯爵家の当主に執着はしないかも
それに侯爵家の当主になったら、色々としがらみで自由に過ごせない。
上級魔術師として自由がある生活を1度体験してたら、どちらを選ぶかなんて分かりきってる。
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