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しおりを挟むカイル様から学園にいた頃の話を聞いたことないけど、やっぱり色々と面倒だったのかな?
デニス兄様がカイル様と仲良かったのも、カイル様を紹介してくれるってなって初めて知ったから、カイル様がどんな風に生活してたのか聞いたことないんだよね。
それにデニス兄様が学園に通ってた時に、高位貴族の人と親しくしてるってのも知らなかった。
デニス兄様って、私のことを根掘り葉掘り聞いてくるけど、自分のことはあまり話さないんだよね。
私が聞いたら話してくれるけど、自分のことを語ったりしない。
男の人って自慢話する人が多い印象があるから、カイル様みたいに家柄が良くて、本人も魔術師として凄い人だから、そんな人が友人だったら自慢しそうなのに?
「カイル様は学園に通ってた時に、ネヴィル家の長男って知られて、苦労したこととかあるんですか?」
「………興味ない奴らが群がってきて、ウザくて捻り潰したくなったぐらいか?」
………何でもない顔をしてるけど、かなり過激な発言してるよね?
「そんなに酷かったんですか?」
「女も男もウザかったな。女は俺と結婚する為に寄ってくるし、男は色々な思考の者が居たみたいだけど、全員が媚びてきて面倒くさかった」
想像できるかも。
女の人は侯爵家に嫁ぎたいから必死だろうけど、男の人は男の人で面倒いだろうな。
カイル様に群がる女性が目的の人も居るだろうし、カイル様と仲良くすることで、ネヴィル侯爵家との縁を結びたいって考えだろうね。
カイル様は多分だけど、ネヴィル侯爵家とはあまり縁が薄い気がするから、そんな人が寄ってきたらウザいって感想しか持たないかも。
カイル様がネヴィル侯爵家と距離を取ってるって知ったら、媚びてた人は離れて行きそうだし、虚しさだけが残りそう。
人嫌いになってもおかしくないよね。
「カイル様は人嫌いになったのは、学園に通うようになってからですか?」
「誰からそれを聞いたんだ?デニスか?」
「デニス兄様から聞きました。魔術師の秘書がどんな仕事をするのか想像できなかったので、カイル様の秘書を提案された時に仕事内容を聞いたんですよ」
「その質問で何で俺が人間嫌いの話になるんだ?」
確かに繋がりが見えないよね。
「デニス兄様がカイル様は人嫌いだから、カイル様の代わりに依頼人に説明したり、事情を聞いたりするのが私の仕事だと思うって言われたんです。それと書類仕事を手伝えば良いって」
それなら私でも出来るっておもって、デニス兄様の提案に飛びついたんだよね。
憧れの塔に入ることも出来るし。
「それで俺が人間嫌いだって聞いたのか。………そうか。これからはお前に依頼人との交渉を任せれば良いのか。秘書に書類などを任せるつもりではあったけど、依頼人を任せることは思いつかなかったな」
最後にカイル様はボソッと『面倒なことが減る』って嬉しそうに呟く。
そんなに依頼人との会話が辛かったんだ。
カイル様は見た目は良いから、依頼人って立場を利用してベタベタしてくる人も居たかもしれないんだよね。
依頼人相手では強く突っぱねることも出来ないしね。
「これからは私に任せてください!!あっ、でも説明とかする時は近くには絶対に居てくださいね。私では分からない内容が出てくるかもしれないので」
「それぐらいなら構わない。相手に気を遣って言葉遣いとか気を付けるのがストレスだったんだ。たまに苛ついて罵りそうになるからな」
依頼人相手に罵るのはヤバいわね。
どんなにカイル様が素晴らしい魔術師だとして、評判を落としたら色々と不味いよね。
「それより昼ご飯食べに行くぞ。話は食べながらでも出来るだろ。ピークの時間も過ぎたから、食堂も空いてるはずだ」
カイル様に言われて、自分がお腹空いてることに気が付いた。
「そういえばお腹空きましたね」
呑気にそう言うと、カイル様から呆れた視線が飛んでくる。
何か人として駄目な印象を持たれた気がする。
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