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しおりを挟む「エミリー、シャルルの気持ちも分かってやれ、シャルルはエミリーの事を慕っているから、自ら危険な場所に行く事に納得できないんだ」
「わかってますわ。でも私たちの中の誰かが行かないといけないことですもの。お兄様と私では私の方が相応しいでしょ?お兄様は剣術はそれなりに強いですけど、魔法を主体に戦える私と比べたら、安全なのは私で間違いないはずです。シャルルはまだ分かりませんけど、一家に2人も魔法の才能がある者が生まれるほうが奇跡でしょ?」
私が言ってることは普通に考えたら当たり前の事だから、流石にお父様とお母様とお兄様は何の反論も出来ないみたいね。
2年後にはシャルルも魔力鑑定をするけど、私と同じかそれ以上の能力を手にするのは、司祭様が私の鑑定結果を見た時に驚いてたのを考えると、ほぼ不可能に近いんでしょうね。
年々、魔力量が多いものが生まれるのが減っていってるのはみんなが知っていること、そんな中で私みたいな豊富な魔力量を持ってる者が現れるのは奇跡に近い
巻き戻り前、魔力量を限界値まで増やしても今の魔力量に届いてもいなかったけど
一体私の身に何が起きてるのかしら?
本来なら持ってなかった属性に桁違いの魔力量
神様からのサービスなら貰いすぎよね
「はぁ~、お前が男だったら何の躊躇もなく送り出せるんだけどな。私は危険なあの場所で暮らしてきたから、誰よりも危険なことを理解している。私があそこに暮らしていた時にはスタンピードが起きたことは無いが、それでもとても危険だったのだからそんな場所にお前をやるのは、父親としてとても心配だ」
スタンピードね………
50年周期を考えると近いうちに絶対に起きるのよね
「お父様の心配は理解してますわ。近いうちにスタンピードが起きるのも理解しています。だけど私達兄弟の中で1番安全に生き残れそうなのは私だと思います。それに魔術師として優秀なミカエル伯父様とミレイユ伯母様も居ますから大丈夫ですわ。ローヴァン辺境伯領には優秀な冒険者も多く居ますから」
「それはそうだが……」
「父さん、どんなに反対してもエミリーの気持ちは変わらないよ。反対すればするほど意気地になるのは父さんだって知ってるだろ?」
お父様はため息をついて、私の説得は諦めたみたいだ
「エミリーはいつから俺達から離れてミカエル伯父さんの所に行こうと思ってたんだ?俺は全く気付かなかったんだが?お前は分かりやすい性格だと思ってたんだが、案外隠し事が上手かったんだ」
お兄様の質問に私はドキドキが止まらなかった
お兄様達からしたら昨日までの私とは別人みたいな考えをしてるだろうから、不思議に思ってもおかしくないわよね
「お兄様、私だって隠し事する事もありますわ。今までは家族と離れたくないから我慢してましたけど、私は王都みたい賑やか所より、辺境伯領みたいな静かなところでのんびり暮らしたいんです。家族と過ごす事より、自分の気持ちに正直になる事を選んだだけですわ」
「はぁ~、エミリーの気持ちは理解したけど、辺境伯領でのんびり出来るとは思えないぞ。あそこは危険な場所なんだから、いつでも気を張ってないといけないんだから、それに伯父さん達が許可するとはまだ決まった訳では無いしな」
「分かってますわ。でも私ほどの魔力量があったら、反対されることはないと思いますけど、それに私が王都を出たいのは、王都での人付き合いに疲れたんです。思ってもないことを言ったり、何がいいのか理解してないのに褒めたり、好きでもない人と関わってりするのに疲れたんです。辺境伯領では上辺だけの付き合いはしないでしょ?そんな事してたらお互いに命を預けあったり出来ないでしょうから」
「確かにあそこは王都と違って上辺だけの付き合いはしないな、本音で向き合って、気に入らないことがあったら、納得するまでぶつかり合う。命懸けの場所ではあるから、領民は貴族や庶民関係なく仲良い」
お父様の話を聞いて余計に辺境伯領に惹かれる
王都に住んでるからそれなりに私にも貴族のお友達はいる。
だけどパトリシアが私に絡むようになってから、仲良くしていた子はみんな私に手のひらを返したように態度を変えるようになった
今でもあれはトラウマなのよね。
仲良かった子達が次の日には私を敵視するようになった。
理由がわからないからどうすることも出来なかった
友達なのにあんなに一瞬で態度が変わるものなのかしら?
友達だと思ってたのは私だけ?
あの子達の顔を見るのも辛いから王都から早く離れたい
パトリシアが魅了の魔法を使ってるなら私もまだ救われるのに、パトリシアはちゃんと魔力鑑定をしてるからそれはありえないのよね。
魔力鑑定で魅了が使えるのが分かったら魔力封印されるからそれは絶対にありえない。
私みたいに今後使えるようになるって可能性もあるけど、そういう人物は鑑定でちゃんと分かるみたいだから、何の対策もされないなんて事あるわけないわよね。
魔法が使えるようになるのは鑑定の次の日みたいだから、鑑定してすぐに魔法で司祭様たちに従わせたって事も無いだろうし
「近い内にお義兄さんが会いに来るから、どうするかはその時に決めましょう。すぐに養子に入る必要もないのだから、お試しであちらに行って、辺境伯領で過ごしてから決めてもいいのよ」
「あっちに行くのを認めてくれるなら私はそれでも構わないわ」
話は一旦ここで終わり各自の部屋に戻って休むことになった
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