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「それは報告しなくても罪には問われないんですか?希少スキルを手にした者で、自分の身を守れない者なら内緒にしてることは多いと思うのですが」

お父様は内緒にすることで私が不利にならないか心配しているみたいね

「罪には問われませんよ。罪に問うことが出来ないが正しいですね。全国民が10歳で受けた鑑定結果は国で記録されますが、その後覚醒したスキルを記録する義務はありません」

「その事で国に不利益はないんですか?鑑定後に覚醒したスキルを記録しないのは問題なのでは?」

何が問題なのかしら?

スキルを内緒にするだけよね?

「確かに新しく覚醒したスキルで犯罪を行われるケースもこれまでもありました。ですが国王が鑑定後に覚醒したスキルを公表する必要はないと判断されました。勿論、1度罪を犯したり、罪を犯した可能性がある者には再鑑定して、結果を記録するようにはなってます」

へ~、確かに国に知られてないスキルで安全に犯罪行為を行えるなら、犯罪に走る人も少数だろうけど居るわよね

でもそう言う人って馬鹿なのかしら?

国には覚醒した事をバレてないだけで、今後覚醒されるスキルは知られてるのよね?

私の空間みたいに予備欄として記録されてるだろうし

「では娘は何も問題を起こさないなら、新しいスキルが覚醒しても周りに知られることは無いって事ですか?」

「そうなりますね。勿論、エミリーさんのスキルが使っても目立たないものならって前提ですけど、使った時に周りにバレる程の規模なら流石に内緒にしててもバレますから、バレても危険ではないなら報告の義務はありません。流石に周りに被害があるようなものなら報告してもらいますが」

周りの安全の為に当たりませよね

「司祭様、私みたいに今は覚醒してないスキルが後から覚醒して報告する人はどれぐらいいますか?」

「そうですね~、結構な人数が居ますね。エミリーさんは光属性が認定されてましたけど、光属性は大体が鑑定後に覚醒することが多いです、光属性はエミリーさんも知ってるでしょうけど、人によって使える規模が全く違いますから力が強いものは、報告して自分の有用性を主張して、貴族に雇ってもらうものが多いですからね。他のスキルでも同じことが言えますね。まぁ、凄いスキルを持ってる事が一概に全て良いとは言えませんけど」

何故?

凄いスキルを持ってることが今後に役立つことが多いし、庶民なら就職に有利になったりするよね?

持ってるものによってはエリート街道まっしぐらでしょ?

「司祭様の言う通りだな。仕事場には困らないだろうけど、力の強いスキルを持ってるって事は悪い人間も引き寄せることになる」

「何故ですか?」

「分からないか?凄いスキルを持ってるのが公爵家や侯爵家の者なら、手にした者の安全を固める為の金銭やコネがあるけど、もしも手にした者が庶民や低位貴族なら安全に守れる保証はない。スキルを犯罪に利用するために、何の抵抗も出来ない子供や女性を攫うかもしれない。そうならないように身の安全を保証できないものは、自分のためにスキルが覚醒したことを内緒にするだろうな」

「なら覚醒した時点で高位貴族に頼ればいいだけじゃないですか?スキルの所有者は安全を手にして、高位貴族は優秀な人材を手にすることが出来ますよね?」

「それは難しいな。同じ貴族でも低位貴族と高位貴族は関わりがほぼない。貴族でそれなら庶民はもっと関わりがない。会って話す機会が無いものに助けを求めることは出来ないだろ。それに庶民にとって、どの貴族を頼ればいいか分からないから、貴族に助けを求めるのかなり難しいだろうな。それでも保護されてる庶民は何かしらの理由でバレたものや、一か八かで貴族に助けを求めたものだと思う。それか後先考えずに飛び込んだんだろうな」

そっか…………、

庶民にとって貴族は別世界の住人だものね。

貴族には色々な性格な人がいるから、庶民相手なら安月給で働かせようとしたりする人もいるかもしれない

普通ならそこから離れて他の職場を探せばいい話だけど、そういう人は狡賢くて最初に逃げられないように契約書を書かせたりして、逃げられないようにする人もいる

貴族と関わりのない庶民には、どの貴族が良心的な貴族なのか全く分からないわよね。

唯一、判断できるのは自分の領にいる貴族ぐらいよね

それなら安全の為に秘密にするわね

逆に貴族は自慢するかもしれないわね。

他の貴族より優位にたてるかもしれないし、女性なら結婚相手に困らないわよね

魔法は遺伝しないって言われてるけど、嫁いだ本人は40年ぐらいは嫁ぎ先の役に立てるものね

「ですのでエミリーさんが空間魔法を使えるようになった時に報告するかしないかは、エミリーさん達に任せますよ。私どもは出来たら魔法の内容を教えて貰えたらありがたいですけどね」

「えっと…………、魔法の内容を知ってから考えます」

「そうですね。その時を心待ちにしております」

司祭様はそう言って次の家に向かう為に我が家を出て行った
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