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カズマは木に登ると拘束していた魔物を見た。魔物の目は血走り、暴れているが身体に巻いてある布はほどけないようである。カズマは、短剣で魔物の首を落とすと、頭部と胴体を細切れにした。すると、魔物の体は黒くなり溶けるように消えた。
直ぐ様、下に降りるとオオカミ型の魔物は横たわっている。呼吸音がある事から死んでいるわけではない。
カズマは深呼吸をしてから短剣を手にして、魔物の首を落とした。緑色の血が吹き出し当たりに散った。胴体に刃をいれ開き内蔵を取り出すと皮をはいだ。
魔物の肉塊を持つと、その場を離れ近くの木に登った。肉塊を袋に詰め臭いが漏れないようにした。
目をつぶり、周囲の音に耳を傾けた。解体した魔物の血の臭いが流れてきた。それに他の魔物が気づき近づいているようであった。
少しすると、肉を貪る音がした。
カズマは仰向けになり、風で揺れる葉を見た。いつもなら食事をしている時間であるが腹が空かない。
疲れているはずであるのに眠れない。
葉の揺れる音。
魔物の動き。
風の音。
全てが大きく聞こえ、気になった。
少しでも眠らなくてはと思い、目を閉じたが身体の力が抜けない。イズクがいる時は、数秒で寝る事ができた。
勇者試験の内容が分からないため、彼の様子も想像できない。
「受からなかったらどうするんだろう……」
生活は変わらない。
魔物討伐依頼を受けるか、魔物の部位を売るかだ。
受かれば支援金が降りるため、金を気にしなくていいが魔王討伐をしなくてはならない。
「はぁ……」
イズクがやる気だから同行したが、カズマに彼ほどの熱意はない。
そんな事を考えているうちに、太陽が昇っていた。
「寝たのか……」
睡眠がとれたのかよく分からないが、身体の疲れは多少取れたようだ。
カズマは袋から昨日の解体した魔物の肉塊を出すと小さく切り口に入れた。
食べられなくはないが、獣臭い。
カズマは少し考えて、肉塊を小さくすると木の上の一番太陽の当たる場所に干した。
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