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第49話 時間が足りない
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学校に行くと、いつも通り和也が仲の良い男子と話していた。
昨日休みであった事を憲貞に伝えたら酷く心配してわざわざ塾で声を掛けていた。
それが羨ましいなんて思っていた。すると和也は貴也の体調を心配をして貴也と同じ時間勉強する約束をした。
よく考えれば、和也に何度か彼に助けられている。
他人の功績を妬み、自分では何の努力もしないで上手く行かないのを親のせいにしているガキだと思っていたが、ここにきて考えを改めた。
他所は見直したが、所詮は小学校を出たら切れてしまう仲だと思った。
そんな奴は相変わらず、男子に囲まれてふざけているが以前のように絡んで来なくなった。あのグループは和也が中心であるため奴が行動しない事には動かない。
午前中の授業で睡眠をとり、給食を食べると長めの休み時間になった。
「江本君」
塾のテキストのコピーを出そうとすると数名の女子に声を掛けられた。
「なに?」
「お話しようと思ってね」
「そうそう」
休み時間毎に来る彼女たちが不思議だった。毎回、たわいもない話を貴也の前で話している。それに頷くと嬉しそうに笑っている。
今はそんな余裕はない。
「わざわざ来てもらったのにごめんね。俺トイレいくから」
「そーなの、わかった」
「うん、待ってるね」
嬉しそうに笑う彼女たちに手をふるとテキストのコピーを持って屋上の前の踊場に座った。
静かで、時間を忘れて集中できた。
暫くすると、「おい、ここにいたのか」と声を掛けられた。驚き見上げると仁王立ちした和也がいた。彼は体操着を着ていた。
「何してんだよ。いねぇーけら体育委員の俺が探しに行く事になったじゃねぇーか」
「もう、そんな時間経ったんだね」
特に焦ることなくあたりを見回した。
屋上の踊り場には時計はない。
「呑気な事、言ってじゃねぇーよ」
イライラと声を荒げたが、ハッと何を思い出したように口を閉じてじっと貴也をみた。
「ちゃんと飯食って寝てるみてぇだしな。だから勉強する時間をここで作ったのか。そう言うと約束だしな」
「あー、叶は守ってんの?」
「当たり前だろ。塾で見せる」
和也は鼻を鳴らして威張った。口だけではなく実行している彼を貴也は嬉しく思った。
「で? どーすんだよ? もう授業終わるぞ」
「あー、残されて説教はやだなぁ。謝りに行くかな」
「そうか」
そう言うと和也は階段を降りて行った。彼が見えなくなると、貴也はテキストのコピーをまとめた。そして、立ち上がろうとするとバタバタという足音がした。その音はどんどん近づいてきた。
「江本」
大声が聞こえたと思ったら、担任の小谷野が現れた。
「どこ行ってたんだ。心配したぞ」
「ここにいました」
「そうか」
小谷野は貴也の顔を見ると安心したような顔をした。
「お騒がせして、申し訳ありません。休み時間に静かな場所で勉強していたら夢中なり時間を忘れてしまいました」
「そうか。勉強する事は素晴らしい。しかし、心配してしまうので誰かに居場所を言ってからにしてくれ」
そう言うと、小谷野は先に下りるように階段下を指さした。貴也はそれに従い、テキストのコピーを脇に抱えると階段を降りて教室に向かった。
昨日休みであった事を憲貞に伝えたら酷く心配してわざわざ塾で声を掛けていた。
それが羨ましいなんて思っていた。すると和也は貴也の体調を心配をして貴也と同じ時間勉強する約束をした。
よく考えれば、和也に何度か彼に助けられている。
他人の功績を妬み、自分では何の努力もしないで上手く行かないのを親のせいにしているガキだと思っていたが、ここにきて考えを改めた。
他所は見直したが、所詮は小学校を出たら切れてしまう仲だと思った。
そんな奴は相変わらず、男子に囲まれてふざけているが以前のように絡んで来なくなった。あのグループは和也が中心であるため奴が行動しない事には動かない。
午前中の授業で睡眠をとり、給食を食べると長めの休み時間になった。
「江本君」
塾のテキストのコピーを出そうとすると数名の女子に声を掛けられた。
「なに?」
「お話しようと思ってね」
「そうそう」
休み時間毎に来る彼女たちが不思議だった。毎回、たわいもない話を貴也の前で話している。それに頷くと嬉しそうに笑っている。
今はそんな余裕はない。
「わざわざ来てもらったのにごめんね。俺トイレいくから」
「そーなの、わかった」
「うん、待ってるね」
嬉しそうに笑う彼女たちに手をふるとテキストのコピーを持って屋上の前の踊場に座った。
静かで、時間を忘れて集中できた。
暫くすると、「おい、ここにいたのか」と声を掛けられた。驚き見上げると仁王立ちした和也がいた。彼は体操着を着ていた。
「何してんだよ。いねぇーけら体育委員の俺が探しに行く事になったじゃねぇーか」
「もう、そんな時間経ったんだね」
特に焦ることなくあたりを見回した。
屋上の踊り場には時計はない。
「呑気な事、言ってじゃねぇーよ」
イライラと声を荒げたが、ハッと何を思い出したように口を閉じてじっと貴也をみた。
「ちゃんと飯食って寝てるみてぇだしな。だから勉強する時間をここで作ったのか。そう言うと約束だしな」
「あー、叶は守ってんの?」
「当たり前だろ。塾で見せる」
和也は鼻を鳴らして威張った。口だけではなく実行している彼を貴也は嬉しく思った。
「で? どーすんだよ? もう授業終わるぞ」
「あー、残されて説教はやだなぁ。謝りに行くかな」
「そうか」
そう言うと和也は階段を降りて行った。彼が見えなくなると、貴也はテキストのコピーをまとめた。そして、立ち上がろうとするとバタバタという足音がした。その音はどんどん近づいてきた。
「江本」
大声が聞こえたと思ったら、担任の小谷野が現れた。
「どこ行ってたんだ。心配したぞ」
「ここにいました」
「そうか」
小谷野は貴也の顔を見ると安心したような顔をした。
「お騒がせして、申し訳ありません。休み時間に静かな場所で勉強していたら夢中なり時間を忘れてしまいました」
「そうか。勉強する事は素晴らしい。しかし、心配してしまうので誰かに居場所を言ってからにしてくれ」
そう言うと、小谷野は先に下りるように階段下を指さした。貴也はそれに従い、テキストのコピーを脇に抱えると階段を降りて教室に向かった。
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