12 / 54
第十一話 無音の世界②
しおりを挟む
今日の朝、遥はいつもにも増してダルさを感じていた。
Subとしての自覚症状が出たのは今年の春だ。自覚症状が出る時期が通常よりも速かったため風邪だと思っていた。しかし、余りに長引くので受診するとSub性の欲求不満よる体調不良と診断された。投薬することで改善させていたが、今朝は違った。
薬を飲んでも体調が改善しない。
「遥、体調悪いでしょ」
家を出るとき遥斗に止められた。
「大丈夫」
今日はリレー選手の決め日であったから、絶対に休みたくなかった。Subの薬で治らないため風邪だと安易に考えていた。
「大丈夫じゃないでしょ」
遥斗が玄関の前に立ち、道をふさいだ。
「遅れるだけど」
睨みつけた。大抵は遥が不機嫌な顔をすると遥斗は引いた。しかし、この日は違った。
「ダメだって、今日は家でゆっくりしなさい」
いつにもなく遥斗の口調は強かった。
いつも言うことを聞いてくれる遥斗の強い口調に腹が立った。「嫌だ」と大きな声を上げて遥斗の横を通ろうした時、腕を掴まれてた。
「何すんだよ」怒鳴りながら手を引いたが抜けない。「離せよ」
声を張り上げ腕を掴んでいる遥斗の手にかみついた。
「――ッ」
遥斗は顔を歪めたが腕を離す気配は一切なかった。だから、更に力を込めた。すると歯が食い込み血の味がすて驚いて遥斗の手から口を話した。
遥斗の手の肉がえぐれていた。
「今日は休みなさい」
出血している手を気にする事なく遥斗が笑顔を向けてきた。遥は少し考えると、遥斗の顔を見て眉を下げた。
「……痛い」
大袈裟に痛がると遥斗は動揺した。
「え?」
「手、痛いよ。そんなに強く掴んだら」
悲鳴のような声を上げると遥斗は目を大きくして手を離した。そのすきに、玄関を出て学校まで走った。後ろで遥斗の声が聞こえたが無視した。
一日体調が良くはなかったがそれに誰も気づかなかった。リレー選手に選ばれたし放課後のサッカーは圧勝であった。
だから、油断していた。
病室で自分を抱きしめる遥斗を見上げた。
「……俺の手より兄の手の方がひどいだろ」小さな声で言うと遥は自分を支えている遥斗の手を見ようとしたがよく見えなかった。手に白いものが巻いてある気がした。
「大丈夫」手のひらあった遥斗の唇が動いた。「もう、僕の話をちゃんと聞くんだよ」
遥は強く頷くと遥斗に抱きついた。すると、彼の心臓の音が身体に響いた。
『Good Boy(いいこ)』
遥斗の唇が動いた。
聞こえないはずなのに、頭の中で彼の声がした。それが嬉しくて嬉しくて涙が出た。
遥斗の言うことを聞かず酷い目あったのに、彼は助けてくれた。更に一度も責めず暖かく迎えてくれた。
遥は遥斗の側を離れたくないと思った。
Subとしての自覚症状が出たのは今年の春だ。自覚症状が出る時期が通常よりも速かったため風邪だと思っていた。しかし、余りに長引くので受診するとSub性の欲求不満よる体調不良と診断された。投薬することで改善させていたが、今朝は違った。
薬を飲んでも体調が改善しない。
「遥、体調悪いでしょ」
家を出るとき遥斗に止められた。
「大丈夫」
今日はリレー選手の決め日であったから、絶対に休みたくなかった。Subの薬で治らないため風邪だと安易に考えていた。
「大丈夫じゃないでしょ」
遥斗が玄関の前に立ち、道をふさいだ。
「遅れるだけど」
睨みつけた。大抵は遥が不機嫌な顔をすると遥斗は引いた。しかし、この日は違った。
「ダメだって、今日は家でゆっくりしなさい」
いつにもなく遥斗の口調は強かった。
いつも言うことを聞いてくれる遥斗の強い口調に腹が立った。「嫌だ」と大きな声を上げて遥斗の横を通ろうした時、腕を掴まれてた。
「何すんだよ」怒鳴りながら手を引いたが抜けない。「離せよ」
声を張り上げ腕を掴んでいる遥斗の手にかみついた。
「――ッ」
遥斗は顔を歪めたが腕を離す気配は一切なかった。だから、更に力を込めた。すると歯が食い込み血の味がすて驚いて遥斗の手から口を話した。
遥斗の手の肉がえぐれていた。
「今日は休みなさい」
出血している手を気にする事なく遥斗が笑顔を向けてきた。遥は少し考えると、遥斗の顔を見て眉を下げた。
「……痛い」
大袈裟に痛がると遥斗は動揺した。
「え?」
「手、痛いよ。そんなに強く掴んだら」
悲鳴のような声を上げると遥斗は目を大きくして手を離した。そのすきに、玄関を出て学校まで走った。後ろで遥斗の声が聞こえたが無視した。
一日体調が良くはなかったがそれに誰も気づかなかった。リレー選手に選ばれたし放課後のサッカーは圧勝であった。
だから、油断していた。
病室で自分を抱きしめる遥斗を見上げた。
「……俺の手より兄の手の方がひどいだろ」小さな声で言うと遥は自分を支えている遥斗の手を見ようとしたがよく見えなかった。手に白いものが巻いてある気がした。
「大丈夫」手のひらあった遥斗の唇が動いた。「もう、僕の話をちゃんと聞くんだよ」
遥は強く頷くと遥斗に抱きついた。すると、彼の心臓の音が身体に響いた。
『Good Boy(いいこ)』
遥斗の唇が動いた。
聞こえないはずなのに、頭の中で彼の声がした。それが嬉しくて嬉しくて涙が出た。
遥斗の言うことを聞かず酷い目あったのに、彼は助けてくれた。更に一度も責めず暖かく迎えてくれた。
遥は遥斗の側を離れたくないと思った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる