【R18】僕だけの大切な弟。誰にもわたすつもりはない。〜DomSubユニバース〜

第十二話 後悔と反省①

テストの時以外は授業中自由話している人間が多い。何度も注意されているが、一人が話始めると自然とそれが拡散されていった。
「ひな子」
隣に座っていた甲斐が声を掛けてきた。ひな子は鉛筆の手をとめて横目で彼女を見た。
「最近起きているねー。何を書いているの？」
「勉強」一言いうとひな子はまた鉛筆を動かし始めた。
真面目に勉強するひな子に甲斐は「ふーん」とつまらなそうな顔をすると黒板を見た。その時、甲斐とは逆隣にいた男子がひな子の書いている物を奪った。
「授業中になにしてんだよ」
「神田」ひな子が睨みつけたが、彼はニヤニヤと笑いながらひな子から奪ったノートを見始めた。
「なにこれー」神田はノートを見てバカ笑いした。「小4の算数じゃねぇか。俺ら6年だよ？わかっている？あ、そうか新宮はいつも寝ていたもんな。今更おせーよ」
彼の言っていることは事実だ。学校の授業はほぼ寝ていたため現在の授業についていけてない。無知だったから、あの女に勝てなかった。授業を聞いてコマンドについて理解してればあんなことにはならなかった。
神田は間違っていない。
バカにされ悔しく思ったが、勉強不足の点の非難は甘んじて受けなくてはならないと耐えた。
「なんだよー。何も言わねぇのかよ」へらへらと神田は嫌な笑いを浮かべている。彼はクラスの注目を浴びて有頂天になっていた。「そういや、いつも宿題やってもらってる星、学校きねぇんだろ。だから、自力でやんなきゃなんねんねぇだろ。大変だな」
星と名前が彼の口が出た瞬間に、ひな子は彼が学校に来ていないことを思い出した。自分の勉強に夢中になりすぎて星の存在を忘れていた。
「だからさ、今度を俺が教えてやるよ。俺さ中学受験予定してるから、これ……」
彼の言葉は耳に入って来なかった。
あの事件で落ち込んでいる星に連絡を取らなくてはならないと思ったが、自宅の電話番号が分からなかった。普段は直接家に行くことが多いため必要なかった。
悩んでいると耳元で神田が繰り返し罵倒してきた。それがうるさくて「黙れ」と言ったが彼は聞く耳がないようであった。
「うるせぇ」と思った瞬間に手が出てしまった。そして、神田が足元に倒れ拳が痛かった。
「なんだ、てめぇ」神田はすぐに起き上がった。「ちょっと顔がいいからって」
神田の足が向かってきた。蹴られることは分かっていたが防ぐことができずに腹に食らった。
腹を抑え、神田をにらみつけた。あまりの痛さに立っているのが辛かった。
ひな子は自分と身長が変わらない神田に負けそうになっている自分に腹が立った。
――こんな奴に負けてるからあの女に勝てなかった。
「……もっと、強ければ」
「はぁ？」
神田はひな子を更に殴り掛かろうしたが教師に両脇をつかまれ抑えられた。「離せ」と神田は怒鳴りながら暴れたが、ひな子の瞳には神田の姿は映らなかった。
「……」
涙が溢れてその場にひな子は座り込んだ。
彼女が泣いたことにより、動揺した神田は暴れるのをやめた。周囲は女子の腹を蹴り泣かせて神田に対して冷たい視線を送った。