97 / 157
第五章 始動
5.7 赦しと癒し
しおりを挟む
「そうなの。マロンは邪竜と存在が繋がっているの」
この事実。この衝撃。
嘘、だよね? なにかの間違いだよね? ってマロンに聞き返したい。
けど、乙女の勘がそれを止める。これが真実だと。
マロンのダークグレイの瞳をいま私はどんな目で見つめているんだろう。
私の視線をマロンは逸らすことなく真っ直ぐに受け止めている。
「どうして……」
今まで黙って……。
いや、ちがう。今聞くのはそんなことじゃない。
『優花、真実を語る時はタイミングも必要なの。今は、そう。時期じゃないの』
マロンのこの言葉は、私と、マロン自身に向けた言葉だったんだ。
もしもマロンと契約前にマロンからこの真実を聞かされていたら、私はカナタと会う目的のためだけにマロンを使おうとしただろう。それじゃ、密猟者とおんなじだ。
「どうして、聖竜アルヴィナスは、邪竜に……なっちゃったの?」
「ソレは言えないの。邪竜のプロテクトが掛かってて……。言うと、マロンの存在が曖昧になっちゃうの。そしたら優花にも影響が……。だから言えない、の。ごめんなの……」
そう、なんだ。
マロンは聖竜だったアルヴィナスから生まれた。当然、邪竜アルヴィナスにとても近い。
だから邪教集団はアンバースクウィレルの力を欲したのかもしれない。
いや……。もしくは、絶滅。過去を払拭するために。
「マロンは、「女王」なのよね? ほかのアンバースクウィレルと何が違うの?」
「琥珀の女王は、聖竜アルヴィナス様の“眼”を継承する特別種なの。この“眼”は聖竜だった頃のアルヴィナス様の意思を宿す“眼”。マロンの魔力で優花の時間を凝縮できるのは、この“眼”の力があるから、なの」
ダークグレイの目は、聖竜の”眼”
そして、聖竜アルヴィナスの意思は「愛する存在を、命を賭して守り抜く」。
それを琥珀の女王として受け継ぐマロン。
マロンは、これまで私をまさに「守り抜いて」くれた。
なのにマロンは、私にとって――――
――毒――?
ありえない。
マロンが一度でも私を裏切るようなことがあった?
ない。これからも、あるわけがない。
そう、断言できるほど、マロンはいつも私の味方でいてくれた。
そして、だからこそ、マロンは今こんなに辛いんだ。
ねぇ。そんな目を、しないで、マロン。
今度は私がマロンを信じて守る番、だよね。
「マロンはいつも私の側にいてくれてた。フニオと一緒に私を助けてくれた。初めて会った時から、マロンはずっと変わらずに私を想っていてくれて、本当にありがとう。私はマロンのその想いを信じる」
マロンの瞳がやわらかく輝く。
「だから、さ。毒、だなんて言わないで。これからも、私の側にいてほしい」
「もちろん……なの。マロンは、ずっとずっと優花と一緒なの」
マロンのダークグレイの瞳から涙が流れた。
パーラ湖の水面のように綺麗な涙。
気付いてあげられなくてごめんね。マロンはその秘密をずっと独りで抱えてた。
この瞬間でさえもマロンは私を想って行動してる。
私はそんなマロンの想いに応えたい。
ありがとうだけじゃ足りない。私もマロンを守りたい。
私はマロンに地球には“約束”を意味する“ゆびきり”っていうものがあることを話した。
マロンは目をキラキラさせながら聞いてくれた。
私の小指と小さなマロンの両手で、“約束”を意味する“ゆびきりモドキ”だ。
“私とマロンはずっと一緒。いつか寿命がきて本当のお別れが来るその時まで”
笑顔で行われたこの約束を、私はきっと忘れないだろう。
この事実。この衝撃。
嘘、だよね? なにかの間違いだよね? ってマロンに聞き返したい。
けど、乙女の勘がそれを止める。これが真実だと。
マロンのダークグレイの瞳をいま私はどんな目で見つめているんだろう。
私の視線をマロンは逸らすことなく真っ直ぐに受け止めている。
「どうして……」
今まで黙って……。
いや、ちがう。今聞くのはそんなことじゃない。
『優花、真実を語る時はタイミングも必要なの。今は、そう。時期じゃないの』
マロンのこの言葉は、私と、マロン自身に向けた言葉だったんだ。
もしもマロンと契約前にマロンからこの真実を聞かされていたら、私はカナタと会う目的のためだけにマロンを使おうとしただろう。それじゃ、密猟者とおんなじだ。
「どうして、聖竜アルヴィナスは、邪竜に……なっちゃったの?」
「ソレは言えないの。邪竜のプロテクトが掛かってて……。言うと、マロンの存在が曖昧になっちゃうの。そしたら優花にも影響が……。だから言えない、の。ごめんなの……」
そう、なんだ。
マロンは聖竜だったアルヴィナスから生まれた。当然、邪竜アルヴィナスにとても近い。
だから邪教集団はアンバースクウィレルの力を欲したのかもしれない。
いや……。もしくは、絶滅。過去を払拭するために。
「マロンは、「女王」なのよね? ほかのアンバースクウィレルと何が違うの?」
「琥珀の女王は、聖竜アルヴィナス様の“眼”を継承する特別種なの。この“眼”は聖竜だった頃のアルヴィナス様の意思を宿す“眼”。マロンの魔力で優花の時間を凝縮できるのは、この“眼”の力があるから、なの」
ダークグレイの目は、聖竜の”眼”
そして、聖竜アルヴィナスの意思は「愛する存在を、命を賭して守り抜く」。
それを琥珀の女王として受け継ぐマロン。
マロンは、これまで私をまさに「守り抜いて」くれた。
なのにマロンは、私にとって――――
――毒――?
ありえない。
マロンが一度でも私を裏切るようなことがあった?
ない。これからも、あるわけがない。
そう、断言できるほど、マロンはいつも私の味方でいてくれた。
そして、だからこそ、マロンは今こんなに辛いんだ。
ねぇ。そんな目を、しないで、マロン。
今度は私がマロンを信じて守る番、だよね。
「マロンはいつも私の側にいてくれてた。フニオと一緒に私を助けてくれた。初めて会った時から、マロンはずっと変わらずに私を想っていてくれて、本当にありがとう。私はマロンのその想いを信じる」
マロンの瞳がやわらかく輝く。
「だから、さ。毒、だなんて言わないで。これからも、私の側にいてほしい」
「もちろん……なの。マロンは、ずっとずっと優花と一緒なの」
マロンのダークグレイの瞳から涙が流れた。
パーラ湖の水面のように綺麗な涙。
気付いてあげられなくてごめんね。マロンはその秘密をずっと独りで抱えてた。
この瞬間でさえもマロンは私を想って行動してる。
私はそんなマロンの想いに応えたい。
ありがとうだけじゃ足りない。私もマロンを守りたい。
私はマロンに地球には“約束”を意味する“ゆびきり”っていうものがあることを話した。
マロンは目をキラキラさせながら聞いてくれた。
私の小指と小さなマロンの両手で、“約束”を意味する“ゆびきりモドキ”だ。
“私とマロンはずっと一緒。いつか寿命がきて本当のお別れが来るその時まで”
笑顔で行われたこの約束を、私はきっと忘れないだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
19
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる