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第五章 始動
5.6 聖獣会議②
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「まずはいつも通り。近況報告しながら情報交換といきましょうか」
頼まれたわけでもないのだが、進めるのはマシューの役割だ。まぁ、適任だ。
酒臭い鳥がくちばしを開く。
ニーロは、一番最初に神使ロキと契約し、ショルゼアに降り立った勇者、水森英人の聖獣だ。
もともと小さい体の上に、光の屈折を利用して自身に隠遁魔法を掛けているため、周囲の人間に気づかれることがない。
その深緑の瞳はありとあらゆる智を貪欲に吸収する癖があり、麦酒を与えるとそのより性能が高まるようだ。なんだその都合のいい仕様は。
「おいらの主は、ナヴィア王国の宰相の支援を受けて王宮勤めだ。元々知識を広めることに従事していた人間だからか与えられた仕事は卒なくこなしているし、ショルゼアでの生活も馴染んだみたいだ。何処からかヴィクトス帝国のマトゥーク魔法学院の情報を仕入れて、教師でもしながら星の救世主を待つつもりでいるし、ナヴィア国王だって許可したんだぜ」
ニーロが得意気に主の近況を語る。
ドヤァと言わんばかりの、勝ち誇った態度……なぜ俺をチラ見する。
俺の主だって街のギルド所長から「Gランクモドキ」の称号をもらっているんだぞ。
顔を背け小刻みに震えるマシュー。あからさまに失笑しないのはよいことだ。
「長老に報告はしたのか?」
俺はニーロに確認を取る。ニーロの主は一度シャットダウンを起こした。
最初の勇者だから致し方無いと言えばそうなのだが。
「事後だけど報告はしたさ。国王がね! おいらは基本戦闘は得意じゃないからさ、アルビオンに襲われたら主に頑張ってもらうしかないんだよね。そうすっといつもエクストラタイムがぎりぎりなんだなー、主に護衛付けて貰えって言っても、理論とか実験の機会を失うとか言い出してなー。ハァ」
エクストラタイムギリギリ?
「英人の疲労度Lv7状態が頻繁にあったということか?」
ニーロお前……聖獣の仕事をホントにやってるのか?
それを聞いた乳白色の狼人ミルクが、前のめりになってダークグレイの瞳を輝かせている。
マロンと同じ色の瞳だが、色はマロンより薄く透明感がある。
「ならさっさと俺たちと合流しようぜ! 戦力的には過剰すぎるくらいでな、調節しないと主の歌を聞けないまま戦闘が終わってしまうのがつまらん」
ミルクは、二番目に神使ロキと契約し、ショルゼアに降り立った勇者、風間リサの聖獣だ。今の俺やサクラ様と同じぐらいの大きさの聖獣だ。それが直立二足歩行するのだからデカいな。
乳白色のモフモフとした毛並みでわかりにくいが、体格がかなりがっしりした狼人で、戦闘マニアだ。飽き性で気分次第でコロコロ武器を変える癖がある。盾は趣味じゃないと持ち歩かない。スキルでカバーするから要らんだろうがな。青鱗蛇を一緒にやった人族の斧娘と気が合うのではないだろうか。
「まさかとは思うが、リサの歌が聞きたいがためにわざと戦闘を長引かせたりはしてないだろうな?」
俺がミルクを疑いの目で見つめると、おもむろに武器の手入れを始めた。おい、会議中だぞ。
わなわなと震えておられるサクラ様。
良かったな、ニーロとミルクは居残りが決まったようだ。
「そろそろ勇者達は仲間同士で行動させた方が良い。勇者たちは人間の街で動く機会が増えるし、そろそろ聖獣のサポートも限定されてくる頃だ。ニーロは除外して、兄さんとミルクは影の中にいることが増えて来ただろう?」
収集が付かなくなるところをマシューが纏める。
俺とミルクが頷く。
いかん俺も報告を行わないとな。タイミングを逃すところだった。
「すでに知らせたとおり俺の主は、“星の救世主”火口優花だ。ヴィクトス帝国のパーライトの森に降り立ち、現在はGランク冒険者をやっている。ただ、人間どもがその実力を測りかねている様だ。帝国の皇帝が、勝手に“救世主”と定めた“忌み子”の聖騎士にも先日接触した。だが、未だ皇帝と長老には謁見できていない。“琥珀の女王”と契約を結んだせいか邪竜側の妨害にあってな。その聖騎士が近いうち護衛につくだろうがな」
俺の報告に、サクラ様以外の聖獣が反応する。
ミルクが呆れたように言う。武を司る聖獣だけあって、思うところがあるのだろう。
「その聖騎士、帝国と教会で随分大事に囲ってた”元救世主”だよな? それに“星の救世主”を護衛させるって、当の本人もよく引き受けもんだな」
ニーロがミルクに続く。
「おいらの記憶によると忌み子の左目には“逆鱗”がある。右目が機能しているうちは良いけど、結構危険な状態だぞ」
「琥珀の女王の件もあるし、兄さんの負担が多いのも何となくわかったよ」
マシューとは最近会ったためか、他の聖獣よりより詳しい状況を理解したようだ。
「最後は僕が報告するよ。僕の主、露木恵吾が火口優花と回路を繋ぎ、接触を済ませた。二人の逢引を見てたヤツがいるけどね」
マシューが俺をチラリと見る。
そうだ。俺が、後からの侵入者にバレないように強めのプロテクトを掛けた。
だが予期しない接触だったため、顔と言語を伏せるだけになってしまったが。
「兄さん、その件については何も問題ないよ」
露木恵吾を起点とするこのシステムは、我々の作戦の要。
邪竜側に漏れる事があれば一大事。だが、杞憂だったようだ。
そして我々にとって予想外の収穫もあった。
流石は“星の救世主”。優花の“対”の存在であり、優花を導く者。
「そうか」
俺たちの発言を聞き、思考を巡らせていたサクラ様に、マシューが訊ねる。
「サクラ様、邪竜の動きってどうなっています?」
「聖湖の身柱になった長老レグラスの継続的な浄化で、“器”の力がかなり削がれた。それに気が付いた教祖ゴルガノスが新しい“器”として生体実験を繰り返しているわ」
サクラ様の表情が珍しく険しい。
しかし――――。やはり邪竜の”器”作り、か。
優花を狙うのは……。その器の候補でもあるのか?
「結果、成れ果てになった魔獣やら人間やらを優花に向けて放ったばかりよ。邪竜の影やらアルビオンの使徒やらが現れるし、本格的にロックオンされちゃったわね。ちょっとバレるのが早かったけど、得られるものもあったから、まぁ……不問よ」
”不問”か。
マロンとの契約で、こちらの行動が読まれているのは確かだ。しかし、裏を返せばこちらからも相手の出方を予測できる。
「やっぱ英人が襲われなくなったのは、優花が来たからなんだなーー」
「リサを狙うヤツも落ち着いたしな。」
ニーロがホッとしたような表情をする。そしてミルクがため息をつく。
なんだその反応は。聖獣としてどうなんだ。嘆かわしい。
「あと――――。聖竜ラルディアス様が封印されている場所がわかったわ。ラルディアス様はリグレア島の地下におられる。決戦に向けて力を貯めておられるため、今は眠られているのよ」
サクラ様は「”琥珀の女王”からの情報よ」とつけ加える。
マロンは邪竜の「無意識」にアクセスし、邪竜から聖竜ラルディアス様の封印場所の情報を得てくれた。それは、邪竜の魔法障壁に自分の魔力を融和させるという、繊細で根気のいる作業。聖竜アルヴィナスから生まれたマロンだからできたことだ。
しかし、魔力の融和に「残り香」があったのだろう。
邪竜“影”に気づかれ、邪竜と優花を接触させてしまった――――。
マロンはやはり自分の存在は優花にとって毒であると、落ち込んでいた。
「やっぱし奴等の本拠地はヴィクトスかー」
とニーロ以外の聖獣が納得する。
「おいらは。なんとなくそんな気がしてたー」とニーロが続ける。
なるほどな。確証がないから黙ってたということか。
「邪竜がショルゼアに降臨する日が近づいてきてる。計画通り次のステージに移行するわよ!」
「承知しました」
「了解」
「がってんだ―!」
「おうよ!」
次のステージ。
優花、英人、リサをヴィクトス帝国内に集わせること。
三人の連携に慣れさせること。人間の権力者の協力を得る事、だ。
聖魔獣サクラの宣言によって、聖獣会議は終了となった。
「ニーロ、ミルク。ちょっといいかしら――――?」
「やっぱしー!」
「うへぇ!」
ニコニコ顔のサクラ様が、逃げようとするニーロとミルクに狐火での猛攻撃。
――――相変わらず騒がしい。
「兄さん」
ん? 帰り際になんだ弟よ。
「アイツらはあんな調子だけどさ。僕ら三聖獣は、兄さんのサポートのために居る。これからやって来る邪竜は、三千年前よりずっと強いはずだ。それでも勝つ為にはみんなで団結するしかない。兄さんはなんでも一人で頑張ろうとするけど、僕たちが頑張る機会もくれないとさ、バランス取れないからね? そこんとこヨロシクね!」
「そうだぞーフニオ! まずはおいらが動く! 英人をヴィクトスに向かわせるぞー」
優花にとって同じエクストラの仲間が出来る事は大きな成長となるだろう。
俺にしても願ってもないことだ。
サクラ様の尻尾にぺちぺち叩かれて「ぐへぇ」と呟くニーロに俺は頷く。
「おれはニーロの様子を見て動くぜ。マシューもそうだろ?」
サクラ様の狐火をひょいひょい交わしながら二本の曲刀を持って剣舞を踊るミルク。
なかなか様になっている。その身のこなしにサクラ様も感心してるようだ。
「あ~~僕はあんまりあてにしないで?」
少年の姿で舌を出してウィンクするマシュー。
なんだその仕草は。一体どこで覚えてくるんだか――――
だが、こういうのも悪くない。
「たまには頼らせてもらうぞ。ヨロシクな」
そう言って俺はぺこりと頭を下げ、一早くこの場を後にした。
後からニーロから聞かされることになるが。
サクラ様が「明日はショルゼアに得体のしれないものが降るわよ!」と予言し大騒ぎしていたそうだ。そんなことは俺の知るところではない。
頼まれたわけでもないのだが、進めるのはマシューの役割だ。まぁ、適任だ。
酒臭い鳥がくちばしを開く。
ニーロは、一番最初に神使ロキと契約し、ショルゼアに降り立った勇者、水森英人の聖獣だ。
もともと小さい体の上に、光の屈折を利用して自身に隠遁魔法を掛けているため、周囲の人間に気づかれることがない。
その深緑の瞳はありとあらゆる智を貪欲に吸収する癖があり、麦酒を与えるとそのより性能が高まるようだ。なんだその都合のいい仕様は。
「おいらの主は、ナヴィア王国の宰相の支援を受けて王宮勤めだ。元々知識を広めることに従事していた人間だからか与えられた仕事は卒なくこなしているし、ショルゼアでの生活も馴染んだみたいだ。何処からかヴィクトス帝国のマトゥーク魔法学院の情報を仕入れて、教師でもしながら星の救世主を待つつもりでいるし、ナヴィア国王だって許可したんだぜ」
ニーロが得意気に主の近況を語る。
ドヤァと言わんばかりの、勝ち誇った態度……なぜ俺をチラ見する。
俺の主だって街のギルド所長から「Gランクモドキ」の称号をもらっているんだぞ。
顔を背け小刻みに震えるマシュー。あからさまに失笑しないのはよいことだ。
「長老に報告はしたのか?」
俺はニーロに確認を取る。ニーロの主は一度シャットダウンを起こした。
最初の勇者だから致し方無いと言えばそうなのだが。
「事後だけど報告はしたさ。国王がね! おいらは基本戦闘は得意じゃないからさ、アルビオンに襲われたら主に頑張ってもらうしかないんだよね。そうすっといつもエクストラタイムがぎりぎりなんだなー、主に護衛付けて貰えって言っても、理論とか実験の機会を失うとか言い出してなー。ハァ」
エクストラタイムギリギリ?
「英人の疲労度Lv7状態が頻繁にあったということか?」
ニーロお前……聖獣の仕事をホントにやってるのか?
それを聞いた乳白色の狼人ミルクが、前のめりになってダークグレイの瞳を輝かせている。
マロンと同じ色の瞳だが、色はマロンより薄く透明感がある。
「ならさっさと俺たちと合流しようぜ! 戦力的には過剰すぎるくらいでな、調節しないと主の歌を聞けないまま戦闘が終わってしまうのがつまらん」
ミルクは、二番目に神使ロキと契約し、ショルゼアに降り立った勇者、風間リサの聖獣だ。今の俺やサクラ様と同じぐらいの大きさの聖獣だ。それが直立二足歩行するのだからデカいな。
乳白色のモフモフとした毛並みでわかりにくいが、体格がかなりがっしりした狼人で、戦闘マニアだ。飽き性で気分次第でコロコロ武器を変える癖がある。盾は趣味じゃないと持ち歩かない。スキルでカバーするから要らんだろうがな。青鱗蛇を一緒にやった人族の斧娘と気が合うのではないだろうか。
「まさかとは思うが、リサの歌が聞きたいがためにわざと戦闘を長引かせたりはしてないだろうな?」
俺がミルクを疑いの目で見つめると、おもむろに武器の手入れを始めた。おい、会議中だぞ。
わなわなと震えておられるサクラ様。
良かったな、ニーロとミルクは居残りが決まったようだ。
「そろそろ勇者達は仲間同士で行動させた方が良い。勇者たちは人間の街で動く機会が増えるし、そろそろ聖獣のサポートも限定されてくる頃だ。ニーロは除外して、兄さんとミルクは影の中にいることが増えて来ただろう?」
収集が付かなくなるところをマシューが纏める。
俺とミルクが頷く。
いかん俺も報告を行わないとな。タイミングを逃すところだった。
「すでに知らせたとおり俺の主は、“星の救世主”火口優花だ。ヴィクトス帝国のパーライトの森に降り立ち、現在はGランク冒険者をやっている。ただ、人間どもがその実力を測りかねている様だ。帝国の皇帝が、勝手に“救世主”と定めた“忌み子”の聖騎士にも先日接触した。だが、未だ皇帝と長老には謁見できていない。“琥珀の女王”と契約を結んだせいか邪竜側の妨害にあってな。その聖騎士が近いうち護衛につくだろうがな」
俺の報告に、サクラ様以外の聖獣が反応する。
ミルクが呆れたように言う。武を司る聖獣だけあって、思うところがあるのだろう。
「その聖騎士、帝国と教会で随分大事に囲ってた”元救世主”だよな? それに“星の救世主”を護衛させるって、当の本人もよく引き受けもんだな」
ニーロがミルクに続く。
「おいらの記憶によると忌み子の左目には“逆鱗”がある。右目が機能しているうちは良いけど、結構危険な状態だぞ」
「琥珀の女王の件もあるし、兄さんの負担が多いのも何となくわかったよ」
マシューとは最近会ったためか、他の聖獣よりより詳しい状況を理解したようだ。
「最後は僕が報告するよ。僕の主、露木恵吾が火口優花と回路を繋ぎ、接触を済ませた。二人の逢引を見てたヤツがいるけどね」
マシューが俺をチラリと見る。
そうだ。俺が、後からの侵入者にバレないように強めのプロテクトを掛けた。
だが予期しない接触だったため、顔と言語を伏せるだけになってしまったが。
「兄さん、その件については何も問題ないよ」
露木恵吾を起点とするこのシステムは、我々の作戦の要。
邪竜側に漏れる事があれば一大事。だが、杞憂だったようだ。
そして我々にとって予想外の収穫もあった。
流石は“星の救世主”。優花の“対”の存在であり、優花を導く者。
「そうか」
俺たちの発言を聞き、思考を巡らせていたサクラ様に、マシューが訊ねる。
「サクラ様、邪竜の動きってどうなっています?」
「聖湖の身柱になった長老レグラスの継続的な浄化で、“器”の力がかなり削がれた。それに気が付いた教祖ゴルガノスが新しい“器”として生体実験を繰り返しているわ」
サクラ様の表情が珍しく険しい。
しかし――――。やはり邪竜の”器”作り、か。
優花を狙うのは……。その器の候補でもあるのか?
「結果、成れ果てになった魔獣やら人間やらを優花に向けて放ったばかりよ。邪竜の影やらアルビオンの使徒やらが現れるし、本格的にロックオンされちゃったわね。ちょっとバレるのが早かったけど、得られるものもあったから、まぁ……不問よ」
”不問”か。
マロンとの契約で、こちらの行動が読まれているのは確かだ。しかし、裏を返せばこちらからも相手の出方を予測できる。
「やっぱ英人が襲われなくなったのは、優花が来たからなんだなーー」
「リサを狙うヤツも落ち着いたしな。」
ニーロがホッとしたような表情をする。そしてミルクがため息をつく。
なんだその反応は。聖獣としてどうなんだ。嘆かわしい。
「あと――――。聖竜ラルディアス様が封印されている場所がわかったわ。ラルディアス様はリグレア島の地下におられる。決戦に向けて力を貯めておられるため、今は眠られているのよ」
サクラ様は「”琥珀の女王”からの情報よ」とつけ加える。
マロンは邪竜の「無意識」にアクセスし、邪竜から聖竜ラルディアス様の封印場所の情報を得てくれた。それは、邪竜の魔法障壁に自分の魔力を融和させるという、繊細で根気のいる作業。聖竜アルヴィナスから生まれたマロンだからできたことだ。
しかし、魔力の融和に「残り香」があったのだろう。
邪竜“影”に気づかれ、邪竜と優花を接触させてしまった――――。
マロンはやはり自分の存在は優花にとって毒であると、落ち込んでいた。
「やっぱし奴等の本拠地はヴィクトスかー」
とニーロ以外の聖獣が納得する。
「おいらは。なんとなくそんな気がしてたー」とニーロが続ける。
なるほどな。確証がないから黙ってたということか。
「邪竜がショルゼアに降臨する日が近づいてきてる。計画通り次のステージに移行するわよ!」
「承知しました」
「了解」
「がってんだ―!」
「おうよ!」
次のステージ。
優花、英人、リサをヴィクトス帝国内に集わせること。
三人の連携に慣れさせること。人間の権力者の協力を得る事、だ。
聖魔獣サクラの宣言によって、聖獣会議は終了となった。
「ニーロ、ミルク。ちょっといいかしら――――?」
「やっぱしー!」
「うへぇ!」
ニコニコ顔のサクラ様が、逃げようとするニーロとミルクに狐火での猛攻撃。
――――相変わらず騒がしい。
「兄さん」
ん? 帰り際になんだ弟よ。
「アイツらはあんな調子だけどさ。僕ら三聖獣は、兄さんのサポートのために居る。これからやって来る邪竜は、三千年前よりずっと強いはずだ。それでも勝つ為にはみんなで団結するしかない。兄さんはなんでも一人で頑張ろうとするけど、僕たちが頑張る機会もくれないとさ、バランス取れないからね? そこんとこヨロシクね!」
「そうだぞーフニオ! まずはおいらが動く! 英人をヴィクトスに向かわせるぞー」
優花にとって同じエクストラの仲間が出来る事は大きな成長となるだろう。
俺にしても願ってもないことだ。
サクラ様の尻尾にぺちぺち叩かれて「ぐへぇ」と呟くニーロに俺は頷く。
「おれはニーロの様子を見て動くぜ。マシューもそうだろ?」
サクラ様の狐火をひょいひょい交わしながら二本の曲刀を持って剣舞を踊るミルク。
なかなか様になっている。その身のこなしにサクラ様も感心してるようだ。
「あ~~僕はあんまりあてにしないで?」
少年の姿で舌を出してウィンクするマシュー。
なんだその仕草は。一体どこで覚えてくるんだか――――
だが、こういうのも悪くない。
「たまには頼らせてもらうぞ。ヨロシクな」
そう言って俺はぺこりと頭を下げ、一早くこの場を後にした。
後からニーロから聞かされることになるが。
サクラ様が「明日はショルゼアに得体のしれないものが降るわよ!」と予言し大騒ぎしていたそうだ。そんなことは俺の知るところではない。
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