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プロローグ
怪盗の素顔
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トーストと、コーンスープと、コーヒーで、軽くブランチを取ったあと。ベッドで裸で寝転びながら、だらだらと2人は戯れていた。
刑事は、怪盗の太ももや、尻を優しく撫でる。
「スカートの中を触るの好きですよね、刑事」
ウィッグの髪を耳にかけながら、怪盗は言う。
「お前が、いつも女装なんてしているからだろ」
ベロンとスカートをめくり上げる。下着をつけていない下腹部が露わになった。
「お好みの服装や髪型があれば、変装してあげますよ」
怪盗は、刑事の手を取り、股間のすぐ近くで太ももで 挟む。
「俺は別に、特別、女装っ子が好きなわけじゃ・・・」
言いかけて、ふと気付く。
彼が女装するのは、素顔を隠すためかもしれない。ゴム製のマスクを被るより、化粧だけの方が直に触れられるからだ。
「うーん・・・」
怪盗は、口に手を当て考えると、
「では、たまには変装無しで致しましょうか」
と口にした。
ベッドから降りながら怪盗は言う。
「準備が出来るまで、覗かないでくださいね」
刑事に、ネクタイで目隠しをする。始めは驚いた刑事も、結び終わる頃には大人しくしていた。
「もう、いいですよ」
声をかけられ、刑事は目隠しされたネクタイをずらす。
目の前には、シルクハットと目元のマスクを取った、怪盗の仕事をする時の格好をした彼が立っていた。
白い肌に、少しつり目がちな黒い瞳。整ってはいるが、どこにでもいるような、一見目立たないような顔立ちの青年だった。明日、街ですれ違っても、きっと見逃してしまう。
けれど、なぜか懐かしいような・・・
怪盗は、少し悲しい目をして微笑む。
「あまりジロジロ見ないでくださいよ」
マントの裾で、口元を隠しながら言う。
「怪盗の正体は、謎だからこそ魅力的なんです」
刑事は、腰掛けていたベッドから立ちあがり、怪盗の手首を掴む。
「今のお前も、十分、魅力的だよ」
顔を隠した手を外させ、軽くキスを落とす。
一気に顔を真っ赤にした怪盗は
「恥ずかしいこと言わないでくださいよ」
と睨みながらも、刑事の両頬を手のひらで包み、キスのお返しをした。
半裸の状態で、ベランダへのガラス扉に押し付けられながら、怪盗は小さな声で喘いでいた。
ガラスと刑事に挟まれ、圧迫された陰茎がギュッ、キュッ、と音を立てる。その箇所は、体温で曇っていく。
「け、刑事っ。さすがに外から丸見えなのでは」
少し振り返りながら、怪盗は言う。
「ここは4階だし、隣は自然公園だから、誰も見やしねぇよ」
後ろから突きながら、刑事は言う。
「ただ、声は、ご近所に聞こえるから我慢しろよ」
「そん、な・・・・・・んっ!」
怪盗は、ピューッと音もなく精液を放つ。ガラスには、ナメクジが這ったような、透明に近い、細い線が付着した。
「あーあ。後で掃除だな」
刑事は怪盗の腰を、ぐいと引き寄せる。シャツの裾をくぐりながら、濡れた彼の性器を弄る。
「あ・・・」
縮んでいく途中を触られ、怪盗の吐く息に声が漏れる。
「いつも、先に逃げられてばかりだ」
ピストンの動きを加速させながら、刑事は、ようやく絶頂を迎えた。
夕方。日が沈み、窓から入る光が弱くなっていく。
ソファでキスをしていた2人の動きが止まる。
「・・・帰るのか?」
唇を離して、刑事は呟く。吐息が怪盗の顔にかかる。
「えぇ。次の仕事の準備がありますから」
名残惜しそうに、恋人繋ぎをした指に力を込めると、最後のキスを味わう。
しばらく見つめ合ったあと、黙って離れると、怪盗は、マントを付けたスーツから、普通の服に着替え始めた。
黒っぽい色のジーンズに、グレーのピーコートを羽織り、タータンチェックのマフラーを巻いた怪盗は、どこにでも男子大学生のようだった。
「次に会うときは、また敵同士ですね」
荷物を詰めたリュックを背負い、ハイカットのスニーカーを履きながら、玄関のドアノブを回す。
「こんな関係だからって、手加減しないからな」
玄関まで見送りに来た刑事は、腕組みをして言う。
「それは、楽しみです。では」
ドアが閉まり、オートロックがカチリと掛かる。
誰もいなくなった玄関を見つめ、どこか寂しいような切ないような感覚が、刑事の胸を襲った。
薄暗い部屋で、コンピュータの画面を見つめる少年は、不適に笑みを浮かべた。
「待ってろよ、怪盗ナイトウォーカー」
彼は、画面に映っている怪盗の唇を、指でなぞった。
刑事は、怪盗の太ももや、尻を優しく撫でる。
「スカートの中を触るの好きですよね、刑事」
ウィッグの髪を耳にかけながら、怪盗は言う。
「お前が、いつも女装なんてしているからだろ」
ベロンとスカートをめくり上げる。下着をつけていない下腹部が露わになった。
「お好みの服装や髪型があれば、変装してあげますよ」
怪盗は、刑事の手を取り、股間のすぐ近くで太ももで 挟む。
「俺は別に、特別、女装っ子が好きなわけじゃ・・・」
言いかけて、ふと気付く。
彼が女装するのは、素顔を隠すためかもしれない。ゴム製のマスクを被るより、化粧だけの方が直に触れられるからだ。
「うーん・・・」
怪盗は、口に手を当て考えると、
「では、たまには変装無しで致しましょうか」
と口にした。
ベッドから降りながら怪盗は言う。
「準備が出来るまで、覗かないでくださいね」
刑事に、ネクタイで目隠しをする。始めは驚いた刑事も、結び終わる頃には大人しくしていた。
「もう、いいですよ」
声をかけられ、刑事は目隠しされたネクタイをずらす。
目の前には、シルクハットと目元のマスクを取った、怪盗の仕事をする時の格好をした彼が立っていた。
白い肌に、少しつり目がちな黒い瞳。整ってはいるが、どこにでもいるような、一見目立たないような顔立ちの青年だった。明日、街ですれ違っても、きっと見逃してしまう。
けれど、なぜか懐かしいような・・・
怪盗は、少し悲しい目をして微笑む。
「あまりジロジロ見ないでくださいよ」
マントの裾で、口元を隠しながら言う。
「怪盗の正体は、謎だからこそ魅力的なんです」
刑事は、腰掛けていたベッドから立ちあがり、怪盗の手首を掴む。
「今のお前も、十分、魅力的だよ」
顔を隠した手を外させ、軽くキスを落とす。
一気に顔を真っ赤にした怪盗は
「恥ずかしいこと言わないでくださいよ」
と睨みながらも、刑事の両頬を手のひらで包み、キスのお返しをした。
半裸の状態で、ベランダへのガラス扉に押し付けられながら、怪盗は小さな声で喘いでいた。
ガラスと刑事に挟まれ、圧迫された陰茎がギュッ、キュッ、と音を立てる。その箇所は、体温で曇っていく。
「け、刑事っ。さすがに外から丸見えなのでは」
少し振り返りながら、怪盗は言う。
「ここは4階だし、隣は自然公園だから、誰も見やしねぇよ」
後ろから突きながら、刑事は言う。
「ただ、声は、ご近所に聞こえるから我慢しろよ」
「そん、な・・・・・・んっ!」
怪盗は、ピューッと音もなく精液を放つ。ガラスには、ナメクジが這ったような、透明に近い、細い線が付着した。
「あーあ。後で掃除だな」
刑事は怪盗の腰を、ぐいと引き寄せる。シャツの裾をくぐりながら、濡れた彼の性器を弄る。
「あ・・・」
縮んでいく途中を触られ、怪盗の吐く息に声が漏れる。
「いつも、先に逃げられてばかりだ」
ピストンの動きを加速させながら、刑事は、ようやく絶頂を迎えた。
夕方。日が沈み、窓から入る光が弱くなっていく。
ソファでキスをしていた2人の動きが止まる。
「・・・帰るのか?」
唇を離して、刑事は呟く。吐息が怪盗の顔にかかる。
「えぇ。次の仕事の準備がありますから」
名残惜しそうに、恋人繋ぎをした指に力を込めると、最後のキスを味わう。
しばらく見つめ合ったあと、黙って離れると、怪盗は、マントを付けたスーツから、普通の服に着替え始めた。
黒っぽい色のジーンズに、グレーのピーコートを羽織り、タータンチェックのマフラーを巻いた怪盗は、どこにでも男子大学生のようだった。
「次に会うときは、また敵同士ですね」
荷物を詰めたリュックを背負い、ハイカットのスニーカーを履きながら、玄関のドアノブを回す。
「こんな関係だからって、手加減しないからな」
玄関まで見送りに来た刑事は、腕組みをして言う。
「それは、楽しみです。では」
ドアが閉まり、オートロックがカチリと掛かる。
誰もいなくなった玄関を見つめ、どこか寂しいような切ないような感覚が、刑事の胸を襲った。
薄暗い部屋で、コンピュータの画面を見つめる少年は、不適に笑みを浮かべた。
「待ってろよ、怪盗ナイトウォーカー」
彼は、画面に映っている怪盗の唇を、指でなぞった。
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