123 / 143
7激甘ネジ
それは過去という名の⑥
しおりを挟む「千幸は可愛いよ」
「……ん、ありがとう。翔さんがそう言ってくれることは嬉しいです」
なんだか、少し肩の力が抜けた。小野寺がいいというなら、彼に甘えてみてもいいのではないか。さわさわと触れられる熱に煽られて、相手ばかりに動いてもらっているのも悔しい。
困らされているようで、甘えさせられている。
そわそわ、ふわふわ、気持ちが膨れ上がり、目の前の相手ともっとくっついていたい。
回していた手に今度は千幸からきゅっと力を入れる。
胸が甘やかに和ぐ中、深呼吸を繰り返し改めて告げる。
「仕事の都合がついたら一緒に来てもらえますか? 翔さんを家族にちゃんと紹介したいです」
重なる身体から、小野寺の胸がトクンっと跳ねたのがわかった。
一瞬、固まった小野寺だったが千幸の顎をくいっとあげると流れるままに柔らかな感触が唇に落ちる。
重なりちゅうっと吸われ、軽く唇を触れ合わせながら榛色の瞳が自分を射貫く。
「絶対、休みを合わせるから。それに恋人として千幸を元彼がいるところにのこのこ一人で行かせるわけにはいかない」
甘やかな空気の中に冗談交じりの言葉は、半分くらいは本気なのだろうと見つめてくるまっすぐな視線が物語っていた。
「……気持ちはもうないですよ? 幼馴染みでもあるので元気でいてくれたらと思う人ではあるのですけど、姉が結婚したことで縁ができたのでちょっと気は遣いますが、それ以上でも以下でもないです」
「ああ。わかっている。だけど、ちゃんと千幸には俺がいることをアピールしたい。むしろ、俺のほうがその状況を大々的に利用できることがお得だな」
「お得って」
「俺は千幸が好きだ。手に入れた以上手放す気はないから」
「……はい。私もこれからも一緒にいたいです」
千幸が気にしていたことを踏まえて、同じような言葉で告げてくれる。
嫉妬と同時に懐の深さを見せられて、なんだかキュンが止まらない。包まれながら、ずっとそこを押されているようで心地よすぎて離れたくなくなる。
きっとその日を迎え終わるまで元彼のことを全く気にならないということはないだろう。
だからこそ、小野寺がいいんだと態度で示したいと思った。
嫉妬させてしまったお詫びと、何より伝えたい気持ち。
少し躊躇って、小野寺のシャツをくいっと掴み軽く頭を肩に乗せてみる。自分から起こすアクションは慣れなさすぎてぎこちない。やっぱり恥ずかしかった。
「千幸。すごく可愛い顔してる」
「……そうですか?」
「ああ。食べてって言わてるみたいだ」
そんな風に小野寺には映っているのか。思わず否定しそうになって、考え直す。
「なら、…食べて?」
柄にもないことを言っている自覚はある。
だけど、今はものすごく小野寺と離れたくなかった。この温もりを味わいたい。もっと求めてほしかった。求めたかった。
ちらりと視線を向けると、真っ赤になった小野寺の顔。
──えっ?
ナゼ、アナタガ ソンナ カオ?
「ちょっ、翔さんから言い出したことなのに。いつもしれっとしてるのに」
照れられると余計に照れくさい。
照れくさいの通り越して、身体中が熱い。なんだこれ。
「くそっ。なんでそんなに可愛いんだ。言っとくけど、元彼の話されて胸中穏やかじゃないからな。千幸に触れた相手の話されて、捻り潰したいって思ってるくらい嫉妬にかられてるから。ああ~。今までのすべてを忘れされるくらい上書きしたい。上書きしよう! お許し出たからいただきます。というか、今さらなしとか無理」
ずいぶんと素直な心情を吐露される。
もう、無理だった。熱くて熱くて、言葉もでなくて、そんなに求めてくれることが嬉しくて、すべてを預けたくなった。
「言いませんよ」
もっと喜ばせる言葉とか、素直に感情に出せればいいのに、結局そう返すだけの自分。
歯がゆく思いながらも、さっきので精一杯でわかってと視線だけで訴える。
ゴクリと喉を鳴らした小野寺に、肩を押されて視界がぐるっと回ると白い天井が映った。
ポスンッと押し倒され、首筋に吸い付かれて、千幸は仰け反った。
優しく、でももどかしげに衣服を脱がされ、身体はそれらを手伝うように腰を上げる。
千幸が一糸まとわぬ姿になると、熱い吐息を吐き出した小野寺がTシャツを頭抜きで脱ぎ去る。
整った筋肉美の身体が表れそれにうっとりする前に、隙間なく抱きしめられた。
しばらく互いに鼓動の音を分け合うようにそうしていたが、続いて小野寺に両手首を捕らわれじっと裸を見られる。
「おいしそう」
「……っ」
欲にけぶる瞳。
欲しいんだと隠さないそれに、観察するように見られるだけで熱がこもり身体中が赤くなっている気がした。
手首を掴んでいた手が、今度は腰に添えられつつつっと上へと上がり、ふっくらしたそれを揉み込み、ついっと先端を弾く。
「…しょ、うさん」
ゆったりと確かめるように触れていた小野寺だったが、視線が合うと獣じみた目つきにかえ、かぷりとそこを吸って舐めてきた。
「俺のだ」
所有を告げる言葉とともに、きつく吸って痕を付けられる。
その行為がどうしようもなくかわいく見えた。
だけど、そんなことは一瞬で、すぐさま獣であることを思い知らされる。
「翔さん……」
「千幸っ」
呼ぶ声がどうしても熱くなる。
それに返ってくる声もどこか必死で、その声だけにじわりとまたお腹の奥が熱くなった。
どこまでも深く繋がりたいとばかりに、深くうたがれ、揺すられ、それでいて優しい手つきに翻弄される。
抱かれるたびに、触れるたびに、知るたびに、小野寺の気持ちに引きずられるように愛おしいが増していく。
離れがたいと繋がれる指が、一本一本絡み合う。訪れる波ごとに、互いに力が込められる。
自分の中に押し入って、艶を増しながら耐えるように目を細める相手が愛おしくて、その手をぎゅっと握ったまま、千幸は近づいてきた顔にキスを求めた。
15
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる