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5.お仕置き①
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まずは兄から頼まれたカノンから教育しようと思っていたら、早速目の前でやらかしてきた。
マッシュ男爵令嬢と二人きりになった途端キスしようとするなんて、青春だな。
まさにお年頃。
俺にもそんな初々しい頃があった。
相手はメイナードだったし、場所は城だったけど。
でもカノンは俺とは違ってちゃんとした婚約者がいるし、ここで浮気は許されない。
だから生徒指導と称して止めに入った。
男らしく彼女を守ると宣言し、マッシュ男爵令嬢を逃がしにかかるカノン。
まあ相手さえ間違っていなければある意味正しい行動ではある。
そう。あくまでも相手さえ間違っていなければの話だ。
しかも言うに事欠いて自分がルールとまで言い切った。
本当に笑い死ぬかと思った。
勘弁してほしい。
「さて、じゃあ始めるとしようか」
「……は?」
訝し気にしてくるカノンにニッコリ笑って俺は短くこう言った。
「お仕置きです」
そして俺は光の屈折を利用した結界をその場で展開し、外からここが見えないようにした上で使役魔法で小瓶に入れてきたミニスライムに指示を出した。
「行け。ミニラム」
「キュピー!」
そんな可愛い声を出しながら俺のペットスライムがカノンへと飛び掛かる。
「なっ?!」
突然飛び掛かってきたスライムに慌てて懐剣を抜こうとするが、そんなスピードで俺のペットスライムを傷つけることなんてできっこない。
「ひっ?!」
「まずはレベル1。悪いことをしたら前立腺をツンツンするくらいで許してやるから、しっかり反省するように」
まあ取り敢えず前の方だけでいいだろう。
そう思いながら後ろではなく尿道側からスライムを潜り込ませる。
「やっ…!ひぁあっ!」
「いいか?ここ。ここを虐められたくなかったらちゃんといい子にしてるんだ。わかったな?」
「あ…あぅ…」
蒼白になりながら固まるカノンに笑顔で言って、俺はあっさりと踵を返した。
取り敢えず今はこれでいいだろう。
これくらいで反省してくれるなら簡単だし、反省しないならお仕置きがどんどんエスカレートしていくだけの話だ。
「さて。他の生徒達もきっちり指導していかないとな」
そして鼻歌交じりに俺は結界を解除し、その場から歩き出した。
***
【Side.カノン】
俺は正直何が起こったのか全く分からなかった。
いきなり無詠唱で魔法の展開が行われ、警戒した瞬間周囲に結界が張り巡らされたのだ。
驚きもする。
だってこんなに早い魔法展開を俺は見たことがなかったんだから。
一体この教師はどれだけの手練れなのだろう?
しかもその後がまた異常だった。
懐から取り出した手のひらサイズの小瓶の中からスライムらしきものを取り出して俺に嗾けてきたのだから。
攻撃されたと判断して懐剣で対応しようとしたのにそのスライムもまた異様にすばしっこくて、気づけばスルスルと俺の服の中に入り込み、唐突にあり得ない場所へと入り込んできた。
「ひっ?!」
「まずはレベル1。悪いことをしたら前立腺をツンツンするくらいで許してやるから、しっかり反省するように」
目の前の教師、アノスがそう言うと同時に俺の中に潜り込んだスライムがうようよと身をよじらせる。
その初めての感触に恐怖して俺は思わず身を震わせた。
「やっ…!ひぁあっ!」
「いいか?ここ。ここを虐められたくなかったらちゃんといい子にしてるんだ。わかったな?」
しかも触れられたことのない奥の場所をツンツンとスライムがつついてきたからたまらない。
こんな……しびれるような感覚を味わったことなんてこれまでの人生で一度もなかったのだから。
「あ…あぅ…」
どこかもどかしいようなゾクゾクするような感覚に戸惑いが広がっていく。
兎に角ここで逆らってはいけない。
自分の身に何が起こるかわからぬ不安に苛まれて、その場でただただ固まっているうちに、気づけばアノスの姿はその場から消えていた。
ついでに結界もいつの間にかなくなっている。
取り残された俺はフルフルと震えながら、半泣きで声を絞り出した。
「うぅ…怖くて動けないぃ…」
そうは言っても動かないことにはどうしようもない。
だからおっかなびっくりゆっくりゆっくり歩を進めていたら、友人であり第二騎士団長の息子、ウォーレンと遭遇した。
その姿に安堵の息を吐く。
「ウォーレン!良いところへ!すまないが、新任教師から攻撃を受けてまともに歩けないんだ。助けてくれないか?」
「な?!あの野郎!俺の大事な(友人兼主人である)カノン王子になんて事を!」
そう言うや否やウォーレンはサッと俺を抱き上げて『すぐにワーナーの所に連れて行くから落ちないようにしっかり掴まっていてくれ!』と言い、そのままダッシュで廊下を突っ走り始めた。
流石普段鍛えているだけのことはある。
こういう時は本当に頼りになるな。
俺はホッとしながらウォーレンの逞しい腕の中で肩の力を抜き、そのまま振り落とされないようしっかりと首に腕を回して掴まった。
けれどその姿を見た生徒達がザワザワとし、おかしな噂をしていたなんて俺は全く知る由もなかったのだった。
****************
※一応補足。この時のカノンはアノスの目の色が変わったところは逆光で見えていませんでした。
マッシュ男爵令嬢と二人きりになった途端キスしようとするなんて、青春だな。
まさにお年頃。
俺にもそんな初々しい頃があった。
相手はメイナードだったし、場所は城だったけど。
でもカノンは俺とは違ってちゃんとした婚約者がいるし、ここで浮気は許されない。
だから生徒指導と称して止めに入った。
男らしく彼女を守ると宣言し、マッシュ男爵令嬢を逃がしにかかるカノン。
まあ相手さえ間違っていなければある意味正しい行動ではある。
そう。あくまでも相手さえ間違っていなければの話だ。
しかも言うに事欠いて自分がルールとまで言い切った。
本当に笑い死ぬかと思った。
勘弁してほしい。
「さて、じゃあ始めるとしようか」
「……は?」
訝し気にしてくるカノンにニッコリ笑って俺は短くこう言った。
「お仕置きです」
そして俺は光の屈折を利用した結界をその場で展開し、外からここが見えないようにした上で使役魔法で小瓶に入れてきたミニスライムに指示を出した。
「行け。ミニラム」
「キュピー!」
そんな可愛い声を出しながら俺のペットスライムがカノンへと飛び掛かる。
「なっ?!」
突然飛び掛かってきたスライムに慌てて懐剣を抜こうとするが、そんなスピードで俺のペットスライムを傷つけることなんてできっこない。
「ひっ?!」
「まずはレベル1。悪いことをしたら前立腺をツンツンするくらいで許してやるから、しっかり反省するように」
まあ取り敢えず前の方だけでいいだろう。
そう思いながら後ろではなく尿道側からスライムを潜り込ませる。
「やっ…!ひぁあっ!」
「いいか?ここ。ここを虐められたくなかったらちゃんといい子にしてるんだ。わかったな?」
「あ…あぅ…」
蒼白になりながら固まるカノンに笑顔で言って、俺はあっさりと踵を返した。
取り敢えず今はこれでいいだろう。
これくらいで反省してくれるなら簡単だし、反省しないならお仕置きがどんどんエスカレートしていくだけの話だ。
「さて。他の生徒達もきっちり指導していかないとな」
そして鼻歌交じりに俺は結界を解除し、その場から歩き出した。
***
【Side.カノン】
俺は正直何が起こったのか全く分からなかった。
いきなり無詠唱で魔法の展開が行われ、警戒した瞬間周囲に結界が張り巡らされたのだ。
驚きもする。
だってこんなに早い魔法展開を俺は見たことがなかったんだから。
一体この教師はどれだけの手練れなのだろう?
しかもその後がまた異常だった。
懐から取り出した手のひらサイズの小瓶の中からスライムらしきものを取り出して俺に嗾けてきたのだから。
攻撃されたと判断して懐剣で対応しようとしたのにそのスライムもまた異様にすばしっこくて、気づけばスルスルと俺の服の中に入り込み、唐突にあり得ない場所へと入り込んできた。
「ひっ?!」
「まずはレベル1。悪いことをしたら前立腺をツンツンするくらいで許してやるから、しっかり反省するように」
目の前の教師、アノスがそう言うと同時に俺の中に潜り込んだスライムがうようよと身をよじらせる。
その初めての感触に恐怖して俺は思わず身を震わせた。
「やっ…!ひぁあっ!」
「いいか?ここ。ここを虐められたくなかったらちゃんといい子にしてるんだ。わかったな?」
しかも触れられたことのない奥の場所をツンツンとスライムがつついてきたからたまらない。
こんな……しびれるような感覚を味わったことなんてこれまでの人生で一度もなかったのだから。
「あ…あぅ…」
どこかもどかしいようなゾクゾクするような感覚に戸惑いが広がっていく。
兎に角ここで逆らってはいけない。
自分の身に何が起こるかわからぬ不安に苛まれて、その場でただただ固まっているうちに、気づけばアノスの姿はその場から消えていた。
ついでに結界もいつの間にかなくなっている。
取り残された俺はフルフルと震えながら、半泣きで声を絞り出した。
「うぅ…怖くて動けないぃ…」
そうは言っても動かないことにはどうしようもない。
だからおっかなびっくりゆっくりゆっくり歩を進めていたら、友人であり第二騎士団長の息子、ウォーレンと遭遇した。
その姿に安堵の息を吐く。
「ウォーレン!良いところへ!すまないが、新任教師から攻撃を受けてまともに歩けないんだ。助けてくれないか?」
「な?!あの野郎!俺の大事な(友人兼主人である)カノン王子になんて事を!」
そう言うや否やウォーレンはサッと俺を抱き上げて『すぐにワーナーの所に連れて行くから落ちないようにしっかり掴まっていてくれ!』と言い、そのままダッシュで廊下を突っ走り始めた。
流石普段鍛えているだけのことはある。
こういう時は本当に頼りになるな。
俺はホッとしながらウォーレンの逞しい腕の中で肩の力を抜き、そのまま振り落とされないようしっかりと首に腕を回して掴まった。
けれどその姿を見た生徒達がザワザワとし、おかしな噂をしていたなんて俺は全く知る由もなかったのだった。
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※一応補足。この時のカノンはアノスの目の色が変わったところは逆光で見えていませんでした。
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