黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第三部 アストラス編~竜の血脈~

24.※温泉にて

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※今日はロックウェルにはやっぱり鬼畜な面がある~なお話なので苦手な方は後半スルーをお願いします。

────────────────

温泉に行くと、クレイがちょうど寛いでいるところだった。

【クレイ…。ロックウェルが来なくて寂しい?】
【クレイはロックウェルが本当に大好きなのね】

何故か子供達にそんな風に揶揄われているようだ。

「う…そ、それはあんまり言わないでほしい」
【どうして?】
「いや。恥ずかしいし…」
【…?恥ずかしくないよ?だって僕達だけじゃなく他の皆だって、クレイが幸せそうで良かったって思いながら見守ってるし】
「…………」
【私がさっき生まれた時に感じたのも、クレイはロックウェルが大好きって言う強い気持ちだったのよ?違うの?】
【あ、僕も!最高に愛してるって、幸せいっぱいだったよね?】
「うわぁあああっ!気のせいだ!言うな!恥ずかしい!」

そんな裏のない無垢な言葉の数々にクレイは真っ赤になって耳を塞いでいた。
本当にそんな気持ちで抱かれてくれていたのなら嬉しい限りだと、思わず笑みがこぼれ落ちた。

「クレイ。待たせてすまなかったな」
「ロ、ロックウェル?!」

慌てた様子でこちらを向いてくるクレイを見て、これは聞いていないことにしたほうがいいなと判断する。
また恥ずかしがって逃げられたら、ドルトからの伝言が伝えられなくなってしまうからだ。

「そんなに慌てて、どうかしたのか?」
「えぇっ?!い、いや!何でもない!」
「そうか。さて…と。私も子供と戯れるべきか、可愛いお前を抱きしめるべきか…」

そう言いながらそっと掛け湯をしながらクレイを見遣ると、意外にも子供達が笑顔でそんなこと決まっていると言ってきた。

【ロックウェル、クレイを抱っこしてあげて!】
【いっぱい愛してあげて!】
「ちょ、いや、おかしいだろう?!」

家族旅行だぞとクレイは言うが、子供達はニコニコとあっさり言い放つ。

【…おかしくないよ?】
【私達、クレイとロックウェルの魔力で生まれたから二人の魔力が大好物なんだもの】

『ねー?』と仲良く微笑み合うそんな二人に、そう言うことかとクレイが肩を落として納得する。
どうやらまだ小さい二人は、自分達の根源となった魔力溜まりの側で英気を養う必要があるらしい。
この場合は当然自分達の側だし、イチャイチャしているほうが魔力が高まって好都合ということのようだった。

【僕達、コート達と一緒にいるから】
【良い子にしてる】

そうしてあっさりと離脱した二人に気を良くして遠慮なくクレイへと近づいた。

「そう言うことなら喜んで」
「ちょっと待て!これは流石に想定外…ッ、あっ…!」

逃げようとするクレイをすかさず捕まえて、そのまま膝の上へと乗せてやる。

「ロ、ックウェル……」
「大丈夫だ。さっきしたばかりだし、ここで襲ったりはしない」

一緒に温泉に浸かろうなと耳元で囁き耳朶を甘噛みすると、クレイが甘い吐息を吐いた。

「ん…や……」

さっきの熱が戻ってくるからやめろと言ってくるが、逃げる気は無いようで大人しく身を預けてくる。
これまでなら確実にもっと強く抵抗していただろうに、やはりどこか心境の変化は出ているようだった。
そのままこちらを向かせて唇を塞ぎ舌を絡ませにかかると、自然と応えながらうっとりとこちらを見つめ、誘うように手を首へと絡めてくる。
その仕草はどこか悩ましげで、こちらを煽っているようにしか見えなかった。
だからクリクリと胸の尖りを捏ね、時折ピンと弾きながら嬲ってやる。

「ひぁっ!」
「クレイ。腰が揺れてるぞ?」
「ん…だって……」
「約束通り抱いたりしない」

ただ感じていろと言ってそのまま弱いところを責め立て、じっくり快楽を引き出して行く。
前を握って先端をクリクリと可愛がり、足の指先へと口づけを落とし指の間を舌でチロチロと虐めてやるとビクビクと身を震わせた。
このむず痒い刺激が堪らなく欲情を誘うのだと自分はもう知っている。

「ず、狡い…!」
「こうして欲しかったから、私に教えてくれたんだろう?」

これはクレイが先程自分が攻める時にしてきた行為をそのまま返してやったに過ぎないのだから、文句を言われる筋合いはない。

「ひう…ッ!やぁあっ!」

いつの間にか横抱きのような体勢でクレイを可愛がり、その表情を堪能していると、クレイが欲情に濡れた眼差しでこちらを見つめてきた。

「ロックウェル……!」

もう欲しくて我慢できないと目で訴えられるが、今は抱く気はないと笑ってやる。

「うぅ…そんな……酷い…」

意地悪だと言われても、クレイが可愛いからもう少し焦らしてやりたくなったのだ。

「く…そ……」

けれどここでクレイが反撃とばかりに攻めに転じる。
本当に遠慮がなくなったようで、嬉しくなった。

「んん…もう全力で誘うからな」
「望むところだな」

それから指定された場所に腰掛けると、口淫を施し自身をこれでもかと猛々しく立ち上がらせ、そのままどこまでも淫猥に喉奥まで引き込まれた。

(本当に上手いな、クレイは)

あまりの気持ち良さに喉奥を犯すように腰を揺らしても、苦しそうにしながらも時折舌を使いながら嬲ったり吸ったりしてくるから堪らないのだ。
引き込まれた喉奥の気持ち良さもさることながら、ダラダラと口の端から零れ落ちる唾液とこちらに向けられる嗜虐心を煽る表情に激しく唆られる。

「く……ッ!」

けれどもうイくと思った絶妙なタイミングで解放されてしまい、その喪失感に欲情がこれでもかと煽られてしまった。

「は…ぁ…勝手にイくなよ?俺の中に挿れるんだから」

そうして濡れ髪を掻き上げる仕草にゾクゾクする。
今からこの憎たらしいほど色香を振りまく黒魔道士を犯すのかと思うと、どこまでも嗜虐的な気持ちが膨れ上がり今すぐ押し倒したい気持ちになった。

「クレイ。そんなに凶悪に私を煽るなんて、とことん酷く犯されたいらしいな?」
「素直に襲ってこないお前が悪い」

二人で楽し気に軽口をたたき合い、唇をゆっくりと近づかせそっと触れ合うかというそのタイミングで、その場に闖入者が飛び込んできた。

「クレイ!私も温泉!ッじゃなくて、フローリアの件で話が…ってわ、悪かった!」

二人じゃないって聞いたのにとシュバルツが蒼白になって固まっているが、最早遅い。

「……シュバルツ。このタイミングで邪魔をするとは良い度胸だな」
「………本当にあり得ないな。嫌がらせか」

二人から睨まれてシュバルツが真っ赤になりながら手で目を塞ぐが、先程までの折角の濃密な雰囲気が台無しだった。

「興醒めだ!全く……」

そしてクレイはちょっと待っていろと言って、収まるに収まらないこちらの熱を静めにかかってくれた。

「うっ…クレイッ!」

口淫の続きでイかせてくれるようだが、クレイの中に挿れられると思っていただけに残念で仕方がない。
それを敏感に感じ取っているからか、クレイはニッと不敵に笑って『こっちでしっかり満足させてやる』とこれでもかと喉と舌を駆使してこちらを攻め始めた。
もちろん手で揉み揉みと精巣を愛でるのも忘れないから、本気で最高に気持ちが良かった。

「うっ…凄くいい…ッ!」

その言葉を口にすると共にジュブジュブと淫らな音を立ててこちらの熱を煽り、クレイはラストスパートをかけてきた。
ここまで来たら当然耐えきれるものではない。

「ふぅ…ッ!」

ドプッと熱を弾けさせた自身から飛び出した白濁を、クレイが全て飲み込み荒く息を吐く。

「ん…ロックウェル……美味しい」
「お前の美味しさには負ける」

そうして自身の性液など気にも留めず口づけてやると、うっとりしながらこの続きはまた後でと言われた。




「それで?一体何の用だ?」

さっさと要件を言えと言ったクレイに、真っ赤になったシュバルツが慌てふためく。

「悪かった…!ライアード王子のところにカルトリアに異変があるって情報が入って、情勢次第ではハインツ王子の婚約白紙もあると言われたから、その場合フローリアの意思を確認しておいた方がいいと思って…」

そうしてソワソワしていたらたまたまロイドの眷属から今日はレイン家一同でソレーユの温泉に来ていると聞いたので、ここまで足を運んだのだと言う。
ソレーユはカルトリアとは少し離れているから積極的に知ろうとしない限り情報は入ってこないだろうに、こうしてしっかりと情報を得たということはそれだけロイドがクレイを気に掛けていたということに他ならない。

(まあ半分くらいはフローリア姫のことを気にするシュバルツ殿を思ってのことかもしれないが…)

「別に明日でも良かっただろう?」

そんなことを考えているうちに、クレイが身も蓋もない言葉でズバッと両断した。
特に急ぎの案件でもないし普通に考えれば翌日に回す話なのに、わざわざここへと来るからには他に目的があるのだろうと胡乱な目を向ける。

「どうせお前もフローリアと同じで温泉好きなんだろう。絶対そうだ!」

そうやって『わかりやすい』とクレイが言い切ると、シュバルツはぐうの音も出ないとうな垂れてしまった。
どうやら図星のようだ。

「だってこっちに来てから殆ど温泉に行けてないんだ!行きたいのにッ!」

シュバルツはトルテッティにいる時は新魔法を試しにあちこち出掛け、そのついでにフローリアと一緒に温泉巡りをする事も多々あったのだとか。
それもあって今回チャンスだと思ってやって来たらしい。
邪魔して悪かったと改めて謝られてはこれ以上言うのも可哀想だろう。
これにはクレイも同感だったようで、渋々ながらも温泉を勧めてやっていた。

「全く…。もういいから浸かっていけ」

そう言ってシュバルツへと促し、クレイは自分の隣へと腰掛けそっと寄り添って来た。

「はぁ…フローリアと言いシュバルツと言い、今日は散々だ」

どうやら珍しく精神的に少々疲れているらしい。

「仕方がないな。回復してやろうか?」

そう言って回復魔法をダシにチュッチュッと何度も口づけると、もっとと言いながら甘えてくれた。
人前でこうして甘えてくれるのは珍しいので正直嬉しくて仕方がなかった。
そんな自分たちを横目にシュバルツが気を遣いながらそっと温泉へと浸かる。

「その分だとトラウマ状態からは抜け出せたみたいだな」

その言葉にそう言えば報告をしていなかったと思い至る。
どうやら一応気にかけてくれていたらしい。
次から次へと目まぐるしく厄介事が起こるので、つい後回しになってしまって申し訳なかったなと反省しきりだ。

「なんだか益々仲良くなってるし…」

そんな中、シュバルツの口からポツリとそんな言葉が零れ落ちて首を傾げてしまう。
シュバルツ達こそ今まさに燃え上がっている時期だろうに、何か問題でもあったのだろうか?
そう思っていると、目下のところ逃げている最中とのことだった。

「ロックウェルがロイドを煽るから、あんなッ……!」

そうして真っ赤になって口籠ってしまったのを受けて大体何があったのかを察してしまう。

「…?何かあったのか?」

だから不思議そうに尋ねているクレイにシレッと『襲われただけだろう』とだけ返したのだが、それだけでピンときたようで『可哀想だろう?!』と怒られた。

「ロックウェル!ロイドの手解きを受けていてもシュバルツはまだまだお子様なんだぞ?酷いじゃないか!」
「いや、この場合悪いのはロイドだろう?」

主導権を握っているのはロイドの方なのだろうし、相手に合わせて調整するのだってロイドの役目だ。
その結果逃げられたと言うなら、本人が悪い。
けれどそうしてのんびりクレイを抱き寄せながら口にしていると、噂のロイドが不服げにやってきてしまった。

「随分な言い草だな?」
「ロイド!」
「クレイ。邪魔して悪かったな。そこのシュバルツはすぐに回収させてもらう」

けれどクレイは別にいいから一緒に入っていけとサラッと誘ってしまう。
どうやら温泉を楽しみにきたシュバルツに配慮してのことのようだ。
それを受けてロイドは短く息を吐くと、その言葉に甘えることにしたようだった。

「……お前の裸はあの時以来だな」

そして繁々とクレイを見ながらそんな言葉を口にしてきたので、あのカードゲームの夜のことを言っているのだろうというのがわかって嫌な気持ちになった。
自分が嫉妬から設けた機会ではあったが、今思い返すと馬鹿なことをしたものだと苦々しく思ってしまう。
正直今更思い出してほしくはない一件だ。
けれどクレイは全く気にすることもなくサラリと答えを返した。

「そうだな。それより惜しかったな。もう少し早ければ俺がロックウェルのをするところを見せてやれたのに」
「どうせならシュバルツに学ばせたいな。気持ちいいのはいいが、やっぱりお前ほど上手くはないからな…」
「ハハッ!慣れだろう?俺だって最初から上手かったわけじゃないぞ?」
「嘘ばっかり」
「ふっ…『好きこそものの』と言うだろう?」
「妬けるな」

そうやっていつもの如くじゃれ合っているが、ふと…よく聞くとクレイは惚気ているだけだと気付いて思わず聞き間違いかと疑ってしまった。
ロイドの方も、シュバルツに教えてくれとさり気なく言っているだけのような気がしないでもない。

(…………?)

どうもクレイとの気持ちのすれ違いが解消されたせいか、これまでのように何でもかんでも嫉妬心が湧いてこなくなった自分に気がついた。
これは改めて自分でも驚きだ。
だからこそ何も言わずにどこか穏やかな気持ちで二人を眺めていたのだが、ロイドがそんな自分をチラッと見たのが印象的だった。
けれどそれは一瞬のことで、ロイドの目はすぐにシュバルツの方へと向けられる。

「シュバルツ、逃げるなよ?」

そしてバサバサと服を脱いで放り投げると、そのままザバザバと湯に入り固まるシュバルツを捕まえた。

「はぁ…本当にクレイと違って手間のかかるお子様だ」

そうやって呆れた口調で言ってはいるものの、ロイドの視線が以前とは違いどこか柔らかいことに気づいた。

「そう言ってやるな。大体ロックウェルに乗せられて襲うから逃げられたんじゃないのか?」
「仕方がないだろう?騎乗位は散々やったが、挿れられながら抱くと言うのは発想がなかったからな」
「まあお前らしいといえばお前らしいな」
「さすがクレイ。私のことを誰よりもわかってくれて嬉しい限りだ」
「お前はわかりやすいと前から言ってるだろう?」

そう仲良く話す姿に以前は激しく嫉妬の炎を燃やしたものだが、冷静に聞くとこれはよくある『黒魔道士の会話』だった。
絡む視線やどこか思わせぶりな雰囲気はあるものの、それは自分とクレイが先程までしていたものとは違い、仕事場でよく目にする黒魔道士達の『言葉遊び』でしかないように思えた。
けれどその意識はやはり自分が変わったからと言うことらしく、シュバルツは二人の会話に憤っていた。

「ロイド!お前の恋人は私だ!いつまでもクレイとばっかりイチャイチャするな!」

そう言って嫉妬するように口づける。
それはまるで少し前の自分のようにも見えて……。
愛されているはずなのに不安になる────そんな心境がこれでもかと伝わってきた。
それをこうして客観的に見られるようになった自分が不思議だ。
きっとファルに言ったら成長したなと笑われるのだろうなと、ふっと思わず柔らかな笑みが浮かぶ。

そんな自分を見て、ロイドが訝し気な目を向けてきた。

「本当に嫉妬しなくなってるな」
「そうだろう?」

クレイがそう言いながらロイドの前で自分にしなだれかかってくるのが新鮮で愛おしい。

「残念だな、クレイ。お前は嫉妬されるのもたまらなく好きだったのに」

どこか楽し気に揶揄うようにロイドが笑うが、クレイはそのままクスリと妖艶に笑った。

「いいんだ。今は新しい遊びみたいなもので楽しいから。遠慮なく来いって言ってもらえたしな」

そうして甘く誘うように耳朶を喰み、次いで耳殻をチロリと舐めてくる。
それはまるでこれは自分の物だとロイドに見せつけるかのようで、こちらの優越感を煽るには十分すぎる行為だった。
まさかクレイがロイドの前でこんな行動を起こしてくれるなんて、思ってもみなかった。

「んっ……!」

だから込み上げてくる熱を伝えるためにそのまま唇を奪い、激しく口内を犯すと受けて立つと言わんばかりに舌を絡められた。
そんな自分達を横目に、ロイドが呆れたような声を上げる。

「シュバルツ、何を恥ずかしがってるんだ?しっかり見ておけ。あれくらいできるようになってくれないと、この先楽しめないだろう?」
「ええっ?!」
「私に飽きられたくなかったらチャンスは生かすべきだ。ほら、ちゃんと見ろ。それとも今から実践で教えてやろうか?」
「そ…それは…」

どうやらロイドの中からすっかりクレイへの気持ちはなくなっているようで、その目は真っ直ぐにシュバルツへと向けられている。
とは言え本当に見る度にロイドが襲う側にしか見えない組み合わせだ。
これが逆転するというのは俄かには信じ難い。
そうやってそちらをまじまじと見ていたのが悪かったのか、クレイがそっと手で頬を包み込むようにして熱い眼差しを向けてきた。

「ロックウェル…あっちはあっちで盛り上がってるから、お前は俺だけを見てくれないか?」
「可愛い嫉妬だな、クレイ」
「しょうがないだろう?さっき中途半端だったし、本音を言えばすぐにでも挿れたいんだ」

正直そんな言葉に笑みが零れ落ちる。
いつもならこんな状況でそんなことは絶対に言わないクレイがここまであからさまに口にしてくるなんて……。
これは期待するなと言う方がおかしいだろう。

「自分で開いてねだったら挿れてやるぞ?」

先程からこちらがいつでも挿れられる状態なのは、クレイにもわかっているはずだ。
だからこそ────敢えてそうやって言葉で煽ってやると、クレイの表情が変わった。

「ロックウェル…相変わらずドSだな」

人前でねだらせるなんてと少し怒ったように言ってくるが、クレイがどう出るか見てみたかったのだから仕方がない。
以前なら恥ずかしいから部屋に戻ろうとすぐさま言っただろうが…今は?
ここにいるのは三人で寝たことがあるロイドと、その恋人であるシュバルツの二人────。
ハードルはさほど高くはないだろうと意地悪く期待の眼差しで見てやると、少々悩んだようだがザバッと湯から上がり床に伏せると、バックの体勢で腰を高く上げ振り向きながら見せつけるようにそこを開いてねだってくれた。

「ロックウェル……舐めて?」

まさか本当にやってくれるとは────そんな思いがこみ上げ、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
その艶を含んだ甘い声といやらしい格好、そして誘うような妖しい目線にゾクゾクしたのはどうやら自分だけではなかったらしい。
シュバルツは真っ赤になって俯いているし、ロイドもゴクリと喉を鳴らしてどこか熱い眼差しでクレイを見遣っている。

「そのまま開いていろ」

そんなロイド達に見せつけるように嬉々としてクレイのそこを激しく舌で犯しにかかると、恥ずかしそうにしながらもその口から甘い声が零れ落ちた。

「あっ!あぁんっ!」

それと共にその表情は気持ちよさそうに蕩けていき、更にとめどなく甘い声で囀り始める。

「こっちはさっきのお返しに押さえておいてやろうな?」

そう言って先程口淫で焦らされたお返しとばかりに前を魔法で拘束してやると、クレイは短く悲鳴をあげてドライで軽く飛び始めた。

「ふぁあっ…!あっあぁんッ!」

そしてそのまま焦らすために舌と手で前も後ろも蹂躙してやる。

「やっやっ…!早く…欲し…ッ!」
「舐めろと言ったのはお前だろう?」
「はっ…あぁッ……!も、焦らさず早くおっきいので奥まで満足させて…っ!」
「そんなに素直に欲しがるなんて…。そんなに待てないのか?」
「欲しい…。ロックウェルの好き…ッ」

そしてクレイが体勢を変えてM字開脚で足を開き、切なげに訴えてくる。

「はぁ…今すぐ欲しい…。早くここに挿れて?ッあ────ッ!」

こんな風に誘われたらすぐにでも挿れたくなるではないか。
これも今までの調教の成果の一つだろう。
本当にねだるのが上手になった。
こんな姿を見せられるともっと虐めたくて仕方がなくなってしまう。

「あ…ロックウェルッ!凄いぃッ!」

ズズッと挿れてやると中がキュッと締まり全く抗うことなく心地良く迎え入れてくるから、クレイがこの性急な行為を嫌がっていないのがよくわかる。
寧ろ歓喜の嬌声を上げて嬉しそうに縋りついてくるから、たっぷり虐めて欲しいのかとさえ思った。

「気持ちいいか?」
「いいっ…!気持ちいッ…!」

焦らされた分、素直にそんな言葉を吐いてくるのがまた可愛く思えてもっと悦ばせてやりたくなる。
だから────そのまま両足を高々と抱え上げ、上から串刺しにして微弱な魔力を奥へと送り込んでやるべく一時的に動きを止めた。
これくらいなら玩具に込める魔力より少し多いくらいだから大丈夫だろうと思ったのだが、魔力を纏わせるとクレイはすぐさま気づき、たちまち余裕のない表情で涙目になった。

「こ、この体勢でそれはッ、待っ…!」

けれどそのどこまでも嗜虐心を煽る表情は逆効果でしかない。
ドSで責めて欲しいと言っているのと変わらないし、当然聞くはずもない。

「待たない」

ニコッと笑って一気に奥まで挿入し魔力を注ぐと、クレイは『この鬼畜ーッ!』と悪態をつきながら涙を流して気絶してしまった。

「勝手に気絶するな」
「んひっ…!あっあっ…!」

回復魔法で回復させて揺り起こし、そのまま抽送を開始すると泣きながらまた悶絶し始める。

「はぁあッ…はぁッ!こんなのダメ…ぇえッ!」
「こんな風に責められるのも大好きなくせに。いくらでも回復してやるから好きなだけ味わえよ?クレイ」

その身を苛みながらもその一挙手一投足までしっかり目を配り、最高の快楽を与えながらこれでもかとクレイの好きな体位で虐めてやりたい。
ふるふると快楽に打ち震える姿は本当に目の保養だ。
ダメだと口にはしているが自己は保っているし、身体は正直に自分を心地よく受け入れてくれている。
ダメなはずがない。

「あぁんっ!ロッ…クウェルッ!」
「ほら、支えてやるからもっと淫らに喘いでみろ」
「ふぁあッ…!」

溺れそうに喘ぐ可愛い姿を満足げに見遣りながら『湯冷めするから短時間で終わろうな』と甘く囁いてやると、今すぐ終わってくれと言われてしまった。
けれど当然そんな勿体無い終わらせ方をする気はない。

「も、魔力送らないでッ!こんなの狡い!反則だ!」
「気持ち良さそうにしてるじゃないか。ほら、もっともっと素直にねだってみろ」
「あぁんッ!そこダメッ!あはぁああッ!」

そうやって言葉で嬲りながら『感じすぎておかしくなる』とクレイが涙目で悶える姿を堪能していると、どこからか『お前があんな風にドSになったら別れるからな』という言葉が聞こえた。



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