黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第一部 アストラス編~王の落胤~

60.※愛しい恋人

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「クレイ!」
いつもの店へと入ると、そこには既にファルと一緒に呑んでいるロックウェルの姿があった。
「ロックウェル!」
その姿に思わず頬も緩んでしまう。
「なんだなんだ。随分仲が良いな。久しぶりならもっと余所余所しいかと心配してたのに」
「恋人同士なんだから別にこれくらい普通だ」
クレイがはっきりとそう言うとファルが豪快に笑った。
「わははっ!まさかお前の口からそんな言葉が出るなんてな!」
背中をバシバシ叩きながらファルが酒を勧めてくれる。
「まあ仲が良いのが一番だ」
飲め飲めとどんどん注いでくれるファルに苦笑しながらそっとロックウェルに視線を向けると、甘い目線でこちらを見て来るからたまらない。

(まずいな…気持ちに歯止めが利かなくなりそうだ)

ロックウェルが好き過ぎてそこだけキラキラしてる気がして思わず目を伏せてしまう。
これではいけないと話題を仕事の話へと持って行くことにした。
「そう言えば昼に請けた仕事、夜魔の方は片付いたんだが、人探しの方が厄介そうで…」
そして淫魔の可能性等も考えられると念のため伝えておく。
「明日にはまた報告が入ると思うが、最悪依頼は流させてくれ」
その言葉にファルもそういう事ならと納得した。
「そうだな。依頼者の身の安全が第一だし、場合によっては仕方がないか」
「ああ。そう言えばロックウェルの方はどうだった?」
ふと朝の件も気になってそう尋ねたのだが、そちらは問題ないと微笑まれる。
「こちらの事は気にするな。既にほぼ片付いた。お前の為ならいくらでも時間は作れるから心配しなくてもいい」
そんな言葉が嬉しくて、早く二人きりになりたくなった。

(ロックウェルはやっぱり格好良いな…)

朝の魔道士長としての姿も新鮮だったが、仕事ができる姿は本当に惚れ惚れする。
それ故にモテるのもわかるから独り占めも良くないとは思うが、せめて一緒の時くらいは甘えさせて欲しいと自然と思える今の自分がいた。
こう思えるようになったのもロックウェルに愛されてきたからに他ならなくて…。

(やっぱり好き過ぎて困る…)

そうやって頬を染めてしまうのを止められなかった。


***


【…クレイ様がお幸せそうで我々も嬉しいですね】
【本当に…】
眷属達がこっそりと自分達の言語で語り合う。
【それにしても、すっかり懐柔されちゃってますねぇ】
【破れ鍋に綴じ蓋とはよく言ったもの。クレイ様にはこれくらい首に縄をつけてくださる方でないと…】
【本当に…。幸いクレイ様はどんなロックウェル様にもうっとりしてしまうようですし、問題はないでしょう】
それに対して皆は一斉に頷きを落とした。

【それは兎も角…あの依頼の件は…】
【ああ。先程追加で報告もきたが、訳あり案件だな】
【まさか淫魔ではなく黒魔道士が噛んでいるとは…】

一体どうしたものかと皆で暫し思案する。
流しの黒魔道士なら然程問題はないが、王宮魔導士が三名ほど関わっている事が判明したため、事は慎重を要する。
サラリと依頼者の見初めた相手だけを報告しておしまいにするか、王宮が絡むからと全て報告を入れた上で判断を委ねるか…それが問題だ。

【まあいずれにせよ、報告は明日の朝で良かろう】

主の幸せの為に、この後の二人の時間を邪魔するつもりはない。
気力も魔力も充実する主を感じるのは眷属としても嬉しく、非常に心地良いものだ。存分に堪能してもらいたい。

【全てはクレイ様のお幸せの為に】

そう言って、眷属達はそっと主を慮った。


***


「はぁ…」
食事を終えクレイの家までやって来ると、二人は引き寄せられるように何度も熱く口づけを交わし合った。
それはずっと口づけていたいほど気持ちよくて、クレイはうっとりしながらロックウェルと舌を絡め続ける。
「ロックウェル…」
熱い眼差しを向けるとロックウェルも待ちきれないと言わんばかりに服を脱がせにかかった。
「んんん…」
肌を這う手が気持ちよくて、つい甘い声が口を突く。
「は…ロックウェル…舐めてもいいか?」
早く欲しくて、返事も待たずそのまま膝をついてロックウェルの自身をそっと取り出し口へと含んだ。
「んっんんっ…はぁ…」
あっという間に大きくなったそれが愛おしくて、舌で愛撫しながら弱い所を責め立てていく。
「うっ…はぁっ…」
そんなロックウェルの声が気持ちよく耳を擽る。
このままイかせてやろうと思ったところで、そのまま頭を押さえられ腰を押し付けられた。
「んっ…!ぐぅッ…!」
喉の奥まで突かれ苦しくて呻いてしまうが、ロックウェルは構わずそのまま腰を振って来る。
「んんっ…んぅっ…!」
それでもイかせてやりたくて、口を離さずにいるとロックウェルが動きを止めてそのまま白濁を吐き出した。
酸欠で頭がぼんやりするが、なんとか噎せずにそのままコクンと飲み込む。
「はぁ…ロックウェル…気持ち良かったか?」
そうやって見上げながら尋ねると、グイッと勢いよく引き上げられて寝台へと攫われてしまった。


***


クレイの口淫が嬉しくて、気持ちよすぎてたまらなかった。
そろそろ限界だと腰を押し付けると苦しそうな顔をしたけれど、それでもその瞳は自分をただ熱く見つめていて、自分を想ってくれているのが伝わってきた。
堪らずそのまま喉の奥まで犯したのに、クレイは吐き出した欲を全て飲み込んでくれる。
苦しさでとろりと潤んだ瞳と、飲みきれなかった唾液が口の端を伝うその顔はこちらの欲情を煽るのに十分で、気がつけばそのまま寝台まで連れ去っている自分がいた。

「クレイ…」
「はぁ…ロックウェル…」
肌を重ねてクレイの弱い所へと手を滑らせていくと、気持ち良さそうに身をよじらせ始める。
「んっ…はぁ…んッ…」
胸の尖りも舐めてやるとピクピクと身を震わせ頰を染めるのが可愛すぎて、つい反対側も指でクリクリと可愛がってしまう。
「はぁッ…!ロックウェル…。下も可愛がって…っ」
そんな風に訴えてくるから、クレイのものに手を伸ばしクチュクチュと可愛がってやる。
「あ、んぅ…」
けれど頰を染めるクレイを見つめていると不意に意地悪な気持ちになってきた。
だからだろうか?
思わずスルリとその言葉が口をついて出る。
「クレイ…たまには69でもしないか?」
「ん…はぁ…。え?」
「私もお前を口でイかせてやりたいと思ってな」
そうやって促してやると、少し考えた後でクレイが妖しく微笑み上へと乗ってくる。
「はぁ…ッ。別に構わないが、後悔するなよ?」
その表情はどこか負けないと言わんばかりだ。
口淫は得意だからだろうが、クレイは忘れている。
こちらが先ほど一度イッた事を…。

(本当に可愛いな…)

大人しく組み敷かれる時と、やる気満々の時のギャップにそそられる。
どんなクレイもたまらなく好きで好きで仕方がなかった。
これではもう女では二度と満足できそうにない。

「お前は私好みに育ちすぎだ…」

そう言いながら、クレイの雄を可愛がり、同時に後ろもほぐしていく。
クレイの口淫はたまらなく気持ちいいが、負けるわけにはいかないとばかりにいい所を二カ所同時に責め立ててやった。
「ふぁ…ッ!ず、ずるい!」
「ずるくはない。一緒に気持ちよくなりたいだけだ」
「はッ…はぁ…んんッ!」
グチュグチュと後孔にも舌を這わせ舐め上げていくとクレイの口から嬌声が漏れる。
それでも自身を可愛がってくるのはさすがだった。
けれどそのまま本気で追い込んでいくと、もう限界だとばかりに蕩けた瞳で訴え始める。

「や、やだ…!イクっ!はぁ…ッ!も、イクからッ!離して…!」
「そのままイけばいい…」

そうやって前も後ろも更に虐めてやると、たまらないとばかりに腰を揺らしてイッてしまった。
とぷりと吐き出された欲をコクリと飲み込んで満足気に身を起こすと、クレイが熱に浮かされたような目でこちらを見つめてくる。
物欲し気にさえ見える色香に溢れたその姿に、今すぐ犯したい気持ちでいっぱいになった。

「はぁ…ッ…。ロックウェル…反則だ」

自分もイかせたかったのにと訴えてくるクレイにそっと口づけを落として、欲望を綺麗に隠し優しく包み込んだ。
「お前はさっきイかせてくれただろう?」
そして宥めるように口づけを交わすと、納得したのかすぐに応えるように舌を絡めてくれる。
「ロックウェル…もう一つになりたい…」
そうやってうっとり自分を見つめてくるクレイをゆっくりと愛撫で溶かし、怖がらせないように、逃げられないように、今日は沢山愛してやりたかった。
「はっ…あぁああッ!!」
ゆっくりと身を沈めるとクレイが気持ちよさそうに甘く啼く。
「んっんんっ…!はぁ…ロックウェルの…おっきぃ…」
「お前が可愛いからだろう?」
「んっふぁあっ…気持ち良くておかしくなりそうだ…」
「おかしくなっていい。好きなだけ溺れてくれ」
いくらでも気持ち良くしてやると緩やかに腰を振り、少しずつ馴染ませながら奥まで犯していくとクレイがそのまま身を寄せて口づけてきた。
「はぁっ…!ロックウェル…あっ…気持ちいい…」
パンパンと奥を穿つたびにクレイが縋るように抱きつき口づけを強請る。
「あっあっ…いいっ…!」
そうやってうっとりと行為に浸ってはいるがどこかまだ余裕がありそうに見えて、もっと乱してやりたい気持ちになった。
グイッと両足を思い切り広げてやると恥ずかしいとばかりにクレイが頬を染める。
「ロックウェル?!」
「もっと乱れるお前が見たい」
「あっ…待って…!」
そんな風に止められてもやめる気はなかった。
片足だけ肩へと担いでそのまま奥まで勢いよく挿入する。
「んっ…んふぅ…!!」
ビクビクと身を震わせるクレイが快感に身悶える姿がたまらなくて、そのまま好きなだけ突き上げてやった。
「あぁああああっ!!や、そこダメぇ…!!弱いっ…からぁ…!!ひぁっ…!」
「好きなくせに…」
「あっあっあっ…!!気持ちいっ…気持ちいい…ッ!!」
そう言いながらギュウッと締め付け、あっという間に達してしまう。
「やっ…やぁ…ッ!」
「可愛い…」
「ふっ…ふあぁ…ッ!」
「もっと…欲しいか?」
そう尋ねるとコクコクと何度も頷いたので、思うさま蹂躙してやると嬌声を上げながら乱れ始めた。
箍が外れたクレイは本当に淫らでたまらない。
「あっあっ…!好きッ、好きッ…!」
腰を振りながら快感を追い求める姿に、こちらも煽られ思う様突き上げる。
「ああぁああッ‼︎」
ビクビクと絶頂に飛ぶクレイの中に自身も吐き出し、すぐさま回復魔法を唱える。

(やはり拷問に使うより、こうして気持ちいい方に回復魔法を使う方が数倍いいな)

フェルネスなどに使うなど勿体無かった。
「クレイ…魔力交流もしていいか?」
そう尋ねると荒く息を吐きながらもコクリと頷いてくれたので、そのまま何度も口づけを交わす。
「は…はぁ…んんッ…」
身も心も蕩けきった表情で自分に応えるクレイが可愛すぎて仕方がなくて、そのまま溺れるようにまた二人で登り詰めた。


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