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【亡国からの刺客】
189.※焦らしプレイ
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怒り心頭と言った感じのセドに助けられ、脅しをかけられながら城に戻ると、すぐに部屋へと放り込まれ『暫く待っていろ』と告げられた後外から鍵を掛けられた。
最悪だ。
まさかの軟禁!
もしかしてこのまま姫達の無事確認や報告なども全部できないままお仕置きに移行されるんだろうか?
流石にそれは横暴だと思う。
(折角情報をゲットしてきたのに…)
これでは何も役に立ててないのと同じだ。
いや。心配をかけた上に助けに来てまでもらったのだから、余計に質が悪い。
(そうだ!せめて姫への報告書だけでも書いて、後で渡してもらおう)
そう思い、俺は早速姫へと今回の経緯と謝罪、そして報告を纏めにかかった。
仲間が他にいるのかは不明だが、狙われる可能性が高いため、オーガストを中心に警護を固めてほしいといくつかの配置も含めて書いておく。
前回の睡眠薬の件も踏まえてそちらへの対策も十全にと。
そんなことをしながら時間を過ごしていると、徐ろに扉がコンコンと叩かれた。
セドが戻ってきたんだろうか?
そう思って返事をしたらどこかで聞いた声が返ってきて驚いてしまう。
「アルフレッド妃殿下。闇医者ですが入っても?」
「…え?」
闇医者というとあのガヴァムの闇医者だろうか?
何故急にと思って警戒しつつ入ってもらうと、そこには彼の姿だけではなくセドの姿もありホッと安堵の息を吐く。
「まずはこちらを」
その言葉に彼の手元を見ると、俺の愛剣があって目を見開いた。
まさかこんなに早く取り戻せるとは思ってもみなかったから喜びもひとしおだ。
「え?!嬉しい!ありがとう」
喜ぶ俺に闇医者は読めない笑みを浮かべ、気にしなくていいと口にする。
それだけなら有難いなぁで済んだけど、『どうせ城に来るついでがあったので。ああ、報酬はお気持ちだけ頂いておきますね』とサラッと言われた。
(これ、確実に俺が剣を思う気持ち分だけ報酬寄こせってことだよな?)
まあいいけど。
持ってきてもらえたこと自体が有難いことに変わりはないし、素直に感謝してここはケチらず支払おう。
そんな風に考えをまとめた俺に、徐にセドが声を掛けてくる。
「さてアルフレッド。愛剣と再会できて良かったな?」
笑顔で言われるけど、なんだか含むものを感じて俺はちょっと警戒してしまう。
そもそも闇医者が来るなんて聞いてなかったけど、何しに来たんだ?
何かあるのかと訝しんでいると、セドは冷笑を浮かべながらすっかり忘れそうになっていたことを口にした。
「この後夕餉を食べたら闇医者に耐毒薬の試行をしてもらう」
「え?!今日?!」
まさかのこのタイミングかと狼狽えるが、セドは本気のようでつべこべ言わずに覚悟を決めろと言ってきた。
「で、でもまだ犯人が捕まってないだろう?このタイミングで俺が寝込んで動けなかったら姫達が…っ」
「言っただろう?これ以上この件にお前がかかわる必要はない。既に完璧な布陣で対策は取ってある。ちなみに言うと姫はルカと一緒に一時的に隣の部屋へと移させた。これならお前も文句はないだろう?」
「うっ…」
まさかそこまでしたとは思わなかった。
(でも隣室か…)
姫が蒼白になっているのが目に浮かぶようだ。
とは言えそれなら万が一襲撃があっても俺にもすぐわかるし、正直言って有難い。
それに万が一副作用で俺が寝込んでいても、セドが俺に手を出せない分身軽に即対応が可能ってことになる。
内心複雑ではあるが、悪くはないのかもしれない。
(それにしても相当怒ってるな)
問題はそれだった。
どうやら俺が攫われたこと自体をセドは物凄く怒っているらしい。
関わるなと言っている点からしてそれはもう確実だ。
多分俺を抱き潰すか、耐毒薬の副作用で寝込ませるかのどちらかの選択肢しか与える気がないんだろう。
軟禁は決定で、絶対に俺を元気なまま放置はしてくれないんだと思う。
それだけ今回の件に関して腹を立てていると見た。
いつものように文句を言いたくても、ドジを踏んだ今の俺には何も言う資格はない。
今回は本気で俺が悪かったとちゃんとわかってるから。
だから渋々ながら了承の返事を返したんだ。
「…………わかった。じゃあやる」
「そうか。では闇医者、後で呼んだら処置を頼む」
「わかりました。ですが体力が残っていないと副作用が出やすくなるので、その点はご留意を。デザートは程々に」
「眠っているうちに全部終わって逆にいいかと思ったが…まあ善処はしよう」
「物は言いようですね。お好きにどうぞ」
そう言って闇医者は部屋を出て言ったけど、デザートってまさか俺の事じゃないよな?
いくらセドでも耐毒薬を投与してもらう前に襲うとか、そんなことしないよな?
「セド」
「なんだ?」
「デザートって俺の事じゃないだろうな?」
「それ以外に何かあるのか?」
どこか冷たく笑うセドに『俺はデザートじゃない!』と噛みつくけど、セドはどこ吹く風だ。
そしてその後姫へと報告書を渡しがてら無事を確認させてもらい、セドと一緒に食事を摂った後風呂に行ったんだけど、そこで油断したところを慣らすことなく立ったままゆっくりと貫かれた。
とは言え、馴染んだそこはセドのものを易々と呑み込んでいく。
「は…ぁああっ!ひ、酷いぃっ…!」
「こんなに美味しそうに咥えこんでいて、よく言う」
「そ、それでももうちょっと気遣えよ!んぅっ…」
「俺以外の男の腕の中に大人しく抱かれていたお前が悪い」
それはもしかしてもしかしなくてもワイバーンで攫われていた時のことだろうか?
「拘束されて身動きとれなかったんだからしょうがないだろ?!」
俺にどうしろって言うんだ。
言い掛かりにも程がある。
攫われた俺が悪かったと認めるのは認めるけど、変なところに嫉妬するなと言ってやりたい。
もしかして一番怒ってたのはその点だったんだろうか?
俺だって好き好んであんな男の腕の中にいたわけじゃないのに、流石にあんまりだと思う。
「闇医者との約束があったから今日は程々で済ますが、明日以降は覚悟しているんだな」
そんな言葉と共に俺は嫉妬混じりに理不尽に責められ、しかも知りたくもなかったエロ情報まで囁かれて、久しぶりに本気で逃げ出したくなった。
「闇医者が最近裏の技術で本物そっくりの質感のディルドが作れるようになったと教えてくれた。硬すぎないのがポイントで、オーダーメイドだから好きなサイズ、形で作れるそうだ」
「んっ、あっ、あぅっ、はっ、んぅうっ…!」
そう言いながら雄の根元を押さえつつ先端をグリグリと嬲り、もう片方の手で胸の突起を引っ張りクリクリと転がして、それだけに留まらず腰を緩々と動かし前立腺を擦り上げてくるセド。
絶妙な焦らしに身悶えたくなる。
「試しに『俺の物そっくりに作れるか?』と訊いたら『質感の指定をした上でサイズと形さえ伝えてもらえたら余裕』だと言われた。シャメルで撮ったものでもできるそうだから作らせたらお前にやろう」
「んっんっ、そ、そんなの、す、捨ててやるっ…!」
「素直じゃないな、お前は」
「ぁあっ…!」
言いながら前立腺をグリッと強く擦り上げられて、思わず甘い声が口から飛び出してしまう。
「お前が大好きなこれと同じものがあれば、好きな時に好きなだけこうして自分で擦れるぞ?」
セドはそう言うけど、俺は絶対にそんなものはいらない。
セドだって玩具より自分で挿れて虐める方が好きなくせに何を言ってんだ?
(どうせ俺がそれを受け取って嫌がるのを見て楽しみたいだけだろ?!)
そう思って『絶対いらない』と主張してみたけど、お仕置き用だと言って聞いてくれなかった。
どうやらオーダーするのは決定らしい。
仕方がないから貰ったらすぐ捨ててやろう。
もしくはバレないように訓練場のどこかに埋めよう。
そうだそれがいい。
そんなことより、ずっと焦らすように責め立ててくるのをどうにかしてほしい。
さっきから奥に欲しくて欲しくてたまらないのにちっとももらえないから、勝手にねだるように腰を揺らしてしまう。
「んぅっ…セドッ…!」
「なんだ?」
「も、焦らすなよ!身体、熱いっ…」
「のぼせてきたか?」
それは合っているようで少し違う。
敢えて言うなら『身体の熱が煽られてのぼせてきた』というのが正しい。
「早く、奥まで挿れて、終わって…くれよ…っ」
焦らさず早く満足させてほしい。
欲しいところをいつもみたいに突いてほしい。
昨日は今日とは逆に奥ばっかり蹂躙してきたくせに酷すぎる。
そのせいで余計に奥がセドを欲しがっている気がしてならない。
「セド…」
でもどれだけ熱く見つめてもセドはいつも以上に意地悪で、望むものを与えてはくれなかった。
「そんなに物欲しげにしてもダメだ。さっきからお前に全く反省の色が見えないのが悪い」
(なんだよそれ!)
「反省はしてるって言ってるだろ?!攫われたのは俺が悪かったって!」
「聞こえんな」
これじゃないのか?
もしかしてさっき言ってた不可抗力について謝ってほしかったのか?
それとも反省を表すように『セドの玩具嬉しい!』とでも言って欲しかったのか?
あり得ないだろ。
そんな事俺が言うはずがない。
だから思い切り睨みつけたのに、それはセドを喜ばせただけだった。
「ああいいな。その反抗的な目も久し振りだ」
どこか満足げなセドだが、その目はやっぱりいつもと違うのだ。
甘さなんて全くない、ちょっと怒りが潜んだ、そんな目だった。
「喜べ、アル。気が変わった。お前にぴったりの仕置きを思いついたぞ?」
その言葉に嫌な予感がする。
「耐毒薬を使えば、俺の時のように副作用で媚薬効果が出る可能性もあるだろう?」
そう言ってククッとセドが冷たく嗤う。
「欲しくて欲しくてたまらない状態で放置された後、そんな症状が出たら楽しそうじゃないか?」
「なっ…!こ、この鬼畜!!」
まさに悪魔のようなことを言い出したからたまらない。
それはさっきまでは一応イかせてくれる気はあったけど、今はないってことだよな?!
「大丈夫だ。寝込んでいるお前に手を出すほど俺も鬼畜ではないぞ?どんな症状が出てもちゃんとじっくり見てやるからな」
その言葉に俺は確信する。
セドがお預けをする気なのだという事を。
しかも今のって、看病的な意味の『みてやる』じゃなくて、身悶える俺を嬉々として視姦してやるってことだよな?!
(ふざけるな!)
泣きたい。
「絶対嫌だ!お前は姫とルカ殿下の護衛に徹してたらいいだろ?!わざわざついてなくていい!」
「そんなに遠慮するな。姫達の部屋が移った件については極秘事項だし、そっちはオーガストもつけているから余程のことがない限りは大丈夫だ」
どうやら元々の姫の部屋は囮に使うらしく、騎士を多めに配置して相手をそこへと誘導するよう罠を張っているらしい。
そして姫とルカ殿下を完全に安全な場所に配置し、本命の護衛である者達で固め、相手に警戒されないよう俺はセドの部屋に閉じ込め意図的にその点だけ情報を流したのだと聞かされる。
「内部犯と主犯はこちらで捕まえるとして、金を積んで裏の奴らに犯人が使っているシグマの者達を駆逐するよう依頼を出しておいた。筋は通したし、裏の者達はこれで表立ってこちらを非難するまい。そもそもこちらには『ルカ暗殺未遂』に加え『側妃誘拐』という潰すための大義名分があるんだからな」
極悪な笑みを浮かべながらそんなことを言うセド。
いくら敵対グループをぶつけるとは言え、なかなかやってる事はエグい。
表向きは裏同士の潰し合いという形でカタをつけるという事なんだろうけど、依頼された方はきっと苦い顔になった事だろう。
そんな事を考えてたら、俺の思考が飛んでいるのが気に入らなかったのか、セドがとうとうお預け宣言に入ってしまった。
「さあアルフレッド。もう少しだけ可愛がってからお預けにしてやろう」
「ひっ?!あっ、や、やだっ…!あっあっ…!」
そこからイくにイけない半端な甘イキ状態に持ち込まれ、ヤダヤダとごねながらセドに翻弄されてしまう。
そしてついにその宣告が────。
「そろそろいい頃合いだな。アルフレッド。お待ちかねのお預けの時間だ」
「やっ、嫌だっ…!」
『抜かれたくない!』とキュッと入り口を締めて抵抗するけど、セドは楽しそうな顔であっさり中から出て行き、その後はすまたでセドがイッて俺は放置された。
「うぅ…酷いぃ…」
どうしようもなく身体の奥が疼いてたまらない。
なんだこの絶妙な焦らし具合は?!
そう思いながら俺はつい潤んだ目で恨みがましくセドを見てしまう。
(責任取れよ!)
「いい顔だ。今度こそしっかり反省してもらおうか」
妙に色っぽい笑みを浮かべながらそう言って、そのままそっと唇を重ねてきたセドは、どこからどう見ても主犯の男よりずっと極悪人に見えた。
(俺、なんでこんな奴に惚れたんだろ?)
そう思いながらもどうしようもなくセドを求める自分を感じ、俺はやり場のない熱を持て余したのだった。
最悪だ。
まさかの軟禁!
もしかしてこのまま姫達の無事確認や報告なども全部できないままお仕置きに移行されるんだろうか?
流石にそれは横暴だと思う。
(折角情報をゲットしてきたのに…)
これでは何も役に立ててないのと同じだ。
いや。心配をかけた上に助けに来てまでもらったのだから、余計に質が悪い。
(そうだ!せめて姫への報告書だけでも書いて、後で渡してもらおう)
そう思い、俺は早速姫へと今回の経緯と謝罪、そして報告を纏めにかかった。
仲間が他にいるのかは不明だが、狙われる可能性が高いため、オーガストを中心に警護を固めてほしいといくつかの配置も含めて書いておく。
前回の睡眠薬の件も踏まえてそちらへの対策も十全にと。
そんなことをしながら時間を過ごしていると、徐ろに扉がコンコンと叩かれた。
セドが戻ってきたんだろうか?
そう思って返事をしたらどこかで聞いた声が返ってきて驚いてしまう。
「アルフレッド妃殿下。闇医者ですが入っても?」
「…え?」
闇医者というとあのガヴァムの闇医者だろうか?
何故急にと思って警戒しつつ入ってもらうと、そこには彼の姿だけではなくセドの姿もありホッと安堵の息を吐く。
「まずはこちらを」
その言葉に彼の手元を見ると、俺の愛剣があって目を見開いた。
まさかこんなに早く取り戻せるとは思ってもみなかったから喜びもひとしおだ。
「え?!嬉しい!ありがとう」
喜ぶ俺に闇医者は読めない笑みを浮かべ、気にしなくていいと口にする。
それだけなら有難いなぁで済んだけど、『どうせ城に来るついでがあったので。ああ、報酬はお気持ちだけ頂いておきますね』とサラッと言われた。
(これ、確実に俺が剣を思う気持ち分だけ報酬寄こせってことだよな?)
まあいいけど。
持ってきてもらえたこと自体が有難いことに変わりはないし、素直に感謝してここはケチらず支払おう。
そんな風に考えをまとめた俺に、徐にセドが声を掛けてくる。
「さてアルフレッド。愛剣と再会できて良かったな?」
笑顔で言われるけど、なんだか含むものを感じて俺はちょっと警戒してしまう。
そもそも闇医者が来るなんて聞いてなかったけど、何しに来たんだ?
何かあるのかと訝しんでいると、セドは冷笑を浮かべながらすっかり忘れそうになっていたことを口にした。
「この後夕餉を食べたら闇医者に耐毒薬の試行をしてもらう」
「え?!今日?!」
まさかのこのタイミングかと狼狽えるが、セドは本気のようでつべこべ言わずに覚悟を決めろと言ってきた。
「で、でもまだ犯人が捕まってないだろう?このタイミングで俺が寝込んで動けなかったら姫達が…っ」
「言っただろう?これ以上この件にお前がかかわる必要はない。既に完璧な布陣で対策は取ってある。ちなみに言うと姫はルカと一緒に一時的に隣の部屋へと移させた。これならお前も文句はないだろう?」
「うっ…」
まさかそこまでしたとは思わなかった。
(でも隣室か…)
姫が蒼白になっているのが目に浮かぶようだ。
とは言えそれなら万が一襲撃があっても俺にもすぐわかるし、正直言って有難い。
それに万が一副作用で俺が寝込んでいても、セドが俺に手を出せない分身軽に即対応が可能ってことになる。
内心複雑ではあるが、悪くはないのかもしれない。
(それにしても相当怒ってるな)
問題はそれだった。
どうやら俺が攫われたこと自体をセドは物凄く怒っているらしい。
関わるなと言っている点からしてそれはもう確実だ。
多分俺を抱き潰すか、耐毒薬の副作用で寝込ませるかのどちらかの選択肢しか与える気がないんだろう。
軟禁は決定で、絶対に俺を元気なまま放置はしてくれないんだと思う。
それだけ今回の件に関して腹を立てていると見た。
いつものように文句を言いたくても、ドジを踏んだ今の俺には何も言う資格はない。
今回は本気で俺が悪かったとちゃんとわかってるから。
だから渋々ながら了承の返事を返したんだ。
「…………わかった。じゃあやる」
「そうか。では闇医者、後で呼んだら処置を頼む」
「わかりました。ですが体力が残っていないと副作用が出やすくなるので、その点はご留意を。デザートは程々に」
「眠っているうちに全部終わって逆にいいかと思ったが…まあ善処はしよう」
「物は言いようですね。お好きにどうぞ」
そう言って闇医者は部屋を出て言ったけど、デザートってまさか俺の事じゃないよな?
いくらセドでも耐毒薬を投与してもらう前に襲うとか、そんなことしないよな?
「セド」
「なんだ?」
「デザートって俺の事じゃないだろうな?」
「それ以外に何かあるのか?」
どこか冷たく笑うセドに『俺はデザートじゃない!』と噛みつくけど、セドはどこ吹く風だ。
そしてその後姫へと報告書を渡しがてら無事を確認させてもらい、セドと一緒に食事を摂った後風呂に行ったんだけど、そこで油断したところを慣らすことなく立ったままゆっくりと貫かれた。
とは言え、馴染んだそこはセドのものを易々と呑み込んでいく。
「は…ぁああっ!ひ、酷いぃっ…!」
「こんなに美味しそうに咥えこんでいて、よく言う」
「そ、それでももうちょっと気遣えよ!んぅっ…」
「俺以外の男の腕の中に大人しく抱かれていたお前が悪い」
それはもしかしてもしかしなくてもワイバーンで攫われていた時のことだろうか?
「拘束されて身動きとれなかったんだからしょうがないだろ?!」
俺にどうしろって言うんだ。
言い掛かりにも程がある。
攫われた俺が悪かったと認めるのは認めるけど、変なところに嫉妬するなと言ってやりたい。
もしかして一番怒ってたのはその点だったんだろうか?
俺だって好き好んであんな男の腕の中にいたわけじゃないのに、流石にあんまりだと思う。
「闇医者との約束があったから今日は程々で済ますが、明日以降は覚悟しているんだな」
そんな言葉と共に俺は嫉妬混じりに理不尽に責められ、しかも知りたくもなかったエロ情報まで囁かれて、久しぶりに本気で逃げ出したくなった。
「闇医者が最近裏の技術で本物そっくりの質感のディルドが作れるようになったと教えてくれた。硬すぎないのがポイントで、オーダーメイドだから好きなサイズ、形で作れるそうだ」
「んっ、あっ、あぅっ、はっ、んぅうっ…!」
そう言いながら雄の根元を押さえつつ先端をグリグリと嬲り、もう片方の手で胸の突起を引っ張りクリクリと転がして、それだけに留まらず腰を緩々と動かし前立腺を擦り上げてくるセド。
絶妙な焦らしに身悶えたくなる。
「試しに『俺の物そっくりに作れるか?』と訊いたら『質感の指定をした上でサイズと形さえ伝えてもらえたら余裕』だと言われた。シャメルで撮ったものでもできるそうだから作らせたらお前にやろう」
「んっんっ、そ、そんなの、す、捨ててやるっ…!」
「素直じゃないな、お前は」
「ぁあっ…!」
言いながら前立腺をグリッと強く擦り上げられて、思わず甘い声が口から飛び出してしまう。
「お前が大好きなこれと同じものがあれば、好きな時に好きなだけこうして自分で擦れるぞ?」
セドはそう言うけど、俺は絶対にそんなものはいらない。
セドだって玩具より自分で挿れて虐める方が好きなくせに何を言ってんだ?
(どうせ俺がそれを受け取って嫌がるのを見て楽しみたいだけだろ?!)
そう思って『絶対いらない』と主張してみたけど、お仕置き用だと言って聞いてくれなかった。
どうやらオーダーするのは決定らしい。
仕方がないから貰ったらすぐ捨ててやろう。
もしくはバレないように訓練場のどこかに埋めよう。
そうだそれがいい。
そんなことより、ずっと焦らすように責め立ててくるのをどうにかしてほしい。
さっきから奥に欲しくて欲しくてたまらないのにちっとももらえないから、勝手にねだるように腰を揺らしてしまう。
「んぅっ…セドッ…!」
「なんだ?」
「も、焦らすなよ!身体、熱いっ…」
「のぼせてきたか?」
それは合っているようで少し違う。
敢えて言うなら『身体の熱が煽られてのぼせてきた』というのが正しい。
「早く、奥まで挿れて、終わって…くれよ…っ」
焦らさず早く満足させてほしい。
欲しいところをいつもみたいに突いてほしい。
昨日は今日とは逆に奥ばっかり蹂躙してきたくせに酷すぎる。
そのせいで余計に奥がセドを欲しがっている気がしてならない。
「セド…」
でもどれだけ熱く見つめてもセドはいつも以上に意地悪で、望むものを与えてはくれなかった。
「そんなに物欲しげにしてもダメだ。さっきからお前に全く反省の色が見えないのが悪い」
(なんだよそれ!)
「反省はしてるって言ってるだろ?!攫われたのは俺が悪かったって!」
「聞こえんな」
これじゃないのか?
もしかしてさっき言ってた不可抗力について謝ってほしかったのか?
それとも反省を表すように『セドの玩具嬉しい!』とでも言って欲しかったのか?
あり得ないだろ。
そんな事俺が言うはずがない。
だから思い切り睨みつけたのに、それはセドを喜ばせただけだった。
「ああいいな。その反抗的な目も久し振りだ」
どこか満足げなセドだが、その目はやっぱりいつもと違うのだ。
甘さなんて全くない、ちょっと怒りが潜んだ、そんな目だった。
「喜べ、アル。気が変わった。お前にぴったりの仕置きを思いついたぞ?」
その言葉に嫌な予感がする。
「耐毒薬を使えば、俺の時のように副作用で媚薬効果が出る可能性もあるだろう?」
そう言ってククッとセドが冷たく嗤う。
「欲しくて欲しくてたまらない状態で放置された後、そんな症状が出たら楽しそうじゃないか?」
「なっ…!こ、この鬼畜!!」
まさに悪魔のようなことを言い出したからたまらない。
それはさっきまでは一応イかせてくれる気はあったけど、今はないってことだよな?!
「大丈夫だ。寝込んでいるお前に手を出すほど俺も鬼畜ではないぞ?どんな症状が出てもちゃんとじっくり見てやるからな」
その言葉に俺は確信する。
セドがお預けをする気なのだという事を。
しかも今のって、看病的な意味の『みてやる』じゃなくて、身悶える俺を嬉々として視姦してやるってことだよな?!
(ふざけるな!)
泣きたい。
「絶対嫌だ!お前は姫とルカ殿下の護衛に徹してたらいいだろ?!わざわざついてなくていい!」
「そんなに遠慮するな。姫達の部屋が移った件については極秘事項だし、そっちはオーガストもつけているから余程のことがない限りは大丈夫だ」
どうやら元々の姫の部屋は囮に使うらしく、騎士を多めに配置して相手をそこへと誘導するよう罠を張っているらしい。
そして姫とルカ殿下を完全に安全な場所に配置し、本命の護衛である者達で固め、相手に警戒されないよう俺はセドの部屋に閉じ込め意図的にその点だけ情報を流したのだと聞かされる。
「内部犯と主犯はこちらで捕まえるとして、金を積んで裏の奴らに犯人が使っているシグマの者達を駆逐するよう依頼を出しておいた。筋は通したし、裏の者達はこれで表立ってこちらを非難するまい。そもそもこちらには『ルカ暗殺未遂』に加え『側妃誘拐』という潰すための大義名分があるんだからな」
極悪な笑みを浮かべながらそんなことを言うセド。
いくら敵対グループをぶつけるとは言え、なかなかやってる事はエグい。
表向きは裏同士の潰し合いという形でカタをつけるという事なんだろうけど、依頼された方はきっと苦い顔になった事だろう。
そんな事を考えてたら、俺の思考が飛んでいるのが気に入らなかったのか、セドがとうとうお預け宣言に入ってしまった。
「さあアルフレッド。もう少しだけ可愛がってからお預けにしてやろう」
「ひっ?!あっ、や、やだっ…!あっあっ…!」
そこからイくにイけない半端な甘イキ状態に持ち込まれ、ヤダヤダとごねながらセドに翻弄されてしまう。
そしてついにその宣告が────。
「そろそろいい頃合いだな。アルフレッド。お待ちかねのお預けの時間だ」
「やっ、嫌だっ…!」
『抜かれたくない!』とキュッと入り口を締めて抵抗するけど、セドは楽しそうな顔であっさり中から出て行き、その後はすまたでセドがイッて俺は放置された。
「うぅ…酷いぃ…」
どうしようもなく身体の奥が疼いてたまらない。
なんだこの絶妙な焦らし具合は?!
そう思いながら俺はつい潤んだ目で恨みがましくセドを見てしまう。
(責任取れよ!)
「いい顔だ。今度こそしっかり反省してもらおうか」
妙に色っぽい笑みを浮かべながらそう言って、そのままそっと唇を重ねてきたセドは、どこからどう見ても主犯の男よりずっと極悪人に見えた。
(俺、なんでこんな奴に惚れたんだろ?)
そう思いながらもどうしようもなくセドを求める自分を感じ、俺はやり場のない熱を持て余したのだった。
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※皆様いつもありがとうございます♪この度スピンオフ作品をアップしましたので、ご興味のある方はそちらも宜しくお願いしますm(_ _)m『王子の本命~ガヴァム王国の王子達~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/91408108/52430498
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