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【恋の自覚なんてしたくない】
閑話4.あんな父親、認めたくはない Side.チビ殿下
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※子供の話を読んでみたいと仰ってくださった奇特な方がいらっしゃったので書いてみました。
多分きっとこんな感じで彼らはずっと変わらないと思います(笑)
なんでもOKな方はお付き合いくださいm(_ _)m
****************
僕の名前はルカ=プリモ=ブルーフェリア。
このブルーグレイ王国の正当な後継者だ。
父の名はセドリック、母の名はアルメリア。
そして僕はその二人の間に生まれたたった一人の王子。
だからさぞ甘やかされて育っていると思うだろう?
でも全然内実は違うんだ。
そんな甘えた根性でいたら大事な人は守れないのだと僕は嫌という程知っている。
だから常に努力あるのみだ。
僕はあの悪魔と戦って、勝利をもぎ取らないといけないんだから────。
あれは僕が4、5歳くらいの頃のこと。
普通それくらい幼い頃のことって覚えていないと思うんだけど、僕は覚えてる。
だってそれくらい衝撃的な出来事だったんだから。
その頃の僕はまだ小さくて、誰が父親かなんて知りもしなかった。
いつも僕の傍に居るのは母と乳母と護衛騎士だけ。
だから本当に思い付きで言っただけだった。
「お母様。もしかして僕のお父様はアルフレッドなの?」
いつも一番多く母の傍に居る、筆頭騎士長でもある母の護衛騎士アルフレッド。
母とはいつも仲良く軽快なやり取りを繰り広げているし、僕はそんなやり取りを見ているのが好きだった。
だからそう聞いたんだ。
なのにそれを口にした途端母は慌てて僕の口を塞いできた。
「ば、馬鹿なことを言わないの!悪魔に殺されるわよ?!」
「悪魔?悪魔ってなあに?」
「悪魔は…えっと……そう!怖い人、怖い人よ!」
怖い人?
そんな人、俺はそれまで見たことも聞いたこともなかったから、きっと母の冗談だと思った。
「大丈夫だよ!怖い人が来てもアルフレッドが倒してくれるんでしょう?護衛騎士だもんね!」
アルフレッドは強いんでしょって笑って言ったら、アルフレッドも僕を抱き上げて可愛いなって笑ってくれた。
アルフレッドはいつも僕をとっても可愛がってくれるんだ。
そんなアルフレッドに僕は懐いていたし、護衛騎士の中で一番好きと言っても過言ではない。
「本当。セドとは大違いだな」
ちなみにこんな風に気さくな口調で話してくれるのもアルフレッドが父親ならいいなと思った要因の一つ。
僕は他の人よりも気さくに話してくれるアルフレッドが大好きだったんだ。
だからその日もいっぱい甘えてたんだけど、そこに母の言う『悪魔』が襲来してきた。
「アルフレッド……?」
それは初めての感覚だった。
悲鳴を上げなかったのは奇跡だったかもしれない。
ゆっくりとそちらを見ると、そこには邪悪な気を纏った金髪の大男が居たんだから。
でもアルフレッドはそんな悪魔の姿を見てもどこ吹く風だ。
「セド。子供の前だ。殺気はしまえ」
「その前にその手を放せ」
「はいはい」
そう言ってアルフレッドは僕を下へと下ろし、悪魔と向き合った。
サッと周囲を観察すると全員蒼白な顔で固まり、成り行きを見守っている。
それは母や乳母だけではなく他の護衛騎士達もだ。
平気そうなのはアルフレッドだけ────。
ということは、すなわちこの悪魔から自分を守ってくれるのはアルフレッドだけなのだと認識するわけで……。
「アルフレッド~!怖い~!」
トトトッと走ってキュッと抱き着くのは子供として当然だと思う。
「怖いよ~!」
その時抱きついて股間に頭グリグリしたのは別にわざとじゃない。
身長的に察してほしい。
それなのに……。
「どうやら俺の息子は殺されたいらしいな?」
ドスのきいたような低い声と共にズンッと空気が重さを増し、殺されるかと思う程の何かに襲われて、僕は悲鳴を上げる間もなく気絶した。
後から知ったけど、その時僕は盛大に漏らしていたらしい。
教えてくれたコリンズには内緒にしててとお願いしたけど、きっと奴は内緒になんてしてくれないだろう。そういう奴だ。
そしてその話を聞かされた後で、あの時の悪魔が父親だと知らされたんだけど、僕は母にしがみ付きながらあんな悪魔じゃなくてアルフレッドに父親になってほしいと泣きじゃくった。
それくらい怖かったんだ。
母はそんな俺を宥めてはくれたけど、アルフレッドは悪魔のお気に入りだからそんなこと言ったら殺されるわよと言われた。酷い。
そこからは隙を見てはアルフレッドに父親になってとせがみ、いっぱい甘えて自分アピールに励んだ。
アルフレッドは騎士だから剣を振るのが好きだっていうのも知ってるし、訓練場にだって積極的に見に行った。
アルフレッドは騎士の中でもダントツに強くて、兎に角カッコよくて、剣を振る姿に見惚れることもしばしば。
こんなに強かったんだと鮮烈な憧れを抱いた。
そんな中、あの悪魔と剣を合わせているところを見掛けた。
正直剣捌きが早すぎて何が何だかわからなかったけど、あの悪魔を前にしても怯むどころか楽しげに笑い、更には互角に戦って勝利を手にしていた姿に思わず拍手してしまう。
「すごい!アルフレッド、強い!悪魔倒したっ!」
でもそう口にした途端傍に居た護衛騎士が慌てて僕の口を塞いで脱兎のごとくその場から離脱してしまった。
もっとアルフレッドを讃えたかったのに……。
「お母様、今日はアルフレッドはいないの?」
その後、アルフレッドに会えたら直接凄かったと伝えようとしたのに結局会えなくて、僕はしょんぼりと母に訴えた。
「僕、アルフレッドともっと一緒に居たいな」
「え…。そ、それは絶対に無理だから諦めてちょうだい」
「どうして?お母様の護衛騎士なんでしょう?なら僕にちょうだい?」
「絶対に無理だわ。お父様が許さないもの」
「お父様が?どうして?」
「…………貴方が大きくなったらきっとわかるわ」
父のお気に入りだからダメなの?
だったらどうしたらいい?
(そうだ!)
「僕、剣ならう~!」
それならいっぱい一緒に居られるよね?
そう思ってアルフレッドにお願いしたらものすっごい笑顔で「流石セドの子!」って言われた。
セドッてあの悪魔なお父様の事だよね?
アルフレッドはお父様とも砕けた口調で話すからちょっと不思議。
友達なのかな?
────そんな風に思ったこともありました。
ソレが判明したのは今日のこと。
「アルフレッド。今日は勝ったぞ?」
「おっ前、こんなところでキスするな!」
「褒美はすぐに貰わないとお前はすぐに逃げるだろう?」
「だからって…!ちょ、やめろっ!」
模擬戦後の柱の陰で悪魔に迫られているアルフレッドを発見してしまい、僕はショックを受けた。
胸元ははだけさせられ、そこに悪魔が唇を寄せている。
しかも腰までがっちりと抱き込んで、逃げられないように足元までしっかりと固定している始末。
「は…ぅん……っ」
チュッと首筋を吸い上げられ、アルフレッドの口から飛び出す甘い声に僕は動揺する。
戦った後だからか、いつもとは違い頬が上気していてちょっと色っぽく見え、妙にドキドキしてしまった。
そしてそんな姿に思わず魅入ってしまった自分に驚き、慌ててぶんぶんと首を振る。
(ダメダメ!アルフレッドは悪魔に襲われてるんだ!見惚れてる場合じゃない!)
それにしてもどれだけ節操なしなんだろう?僕の父親は。
まさか母という妃が居ながら護衛騎士にまで手を出すなんて…。
「その手を放せ!この悪魔!」
こうなったらここは自分の手でアルフレッドを助けるのが一番だろう。
僕だってつい最近10才になったんだ。
大好きなアルフレッドは僕が守って見せる!
そう思って飛び出したんだけど、悪魔はこれっぽっちも怯むことなく更にアルフレッドを抱き寄せた。
「ル…ルカ殿下?!」
「誰かと思えば、お前か。ルカ」
慌てて身を捩り逃げようとしたアルフレッドとは対照的に、どこか楽し気にしながら悪魔が嗤う。
そんな悪魔をグッと睨むと、アルフレッドが焦ったように早く母の元に帰れと言ってきた。
でも僕はアルフレッドを悪魔から助けるって決めたから、当然そんな言葉に従う訳がない。
「アルフレッドは僕が守るんだ!」
そう言って携えてた剣を手に悪魔に向かって行ったのに、キンッと軽く弾き飛ばされた。
「愚かだな。俺からアルフレッドを奪えると思ったら大間違いだ」
「うぅ…っ!絶対にアルフレッドは助ける!アルフレッドは僕の、僕の大事な人なんだから!」
「そうか。それは残念だったな?」
そしてまた僕を軽くあしらうと、この悪魔は僕の目の前でアルフレッドの唇を奪った。
「なっ?!ちょっ…セド?!ん…んんん…っ」
必死に抵抗してたアルフレッドだけど、舌を吸われて力が抜けたのか悪魔の腕の中であっという間におとなしくなってしまう。
「アルフレッドは俺の側妃だ。お前にアルフレッドは死んでもやらん。わかったらさっさと帰れ。目障りだ」
そして冷たい目で僕を見るや否や殺気を飛ばし、アルフレッドをそのまま抱き上げて去って行ってしまう。
僕はその殺気のせいで身がすくんで動けなくて、悔し泣きをしながら見送る羽目になった。
その後母に側妃って何って聞きに行ったらお嫁さんだって教えてもらえた。
しかも母が嫁いだ時からなんだと聞いて更にショックを受けてしまう。
そんなに前から悪魔はアルフレッドをと悔しく思った。
でも絶対にこのままおとなしく引き下がったりはしたくない。
あの悪魔にこのままアルフレッドを奪われ続けてたまるもんか!
そんな思いが僕を突き動かす。
「あんな父親にアルフレッドはあげない!側妃だなんて認めないから!!」
(アルフレッドを独り占めになんてさせない!!)
絶対に邪魔してやると心に誓い、併せて剣の鍛錬も積んでやると気合いを入れる。
そして僕と悪魔の攻防戦は幕を開けることとなったんだけど……。
「お前ら親子で俺を取り合うな────!!」
そう言ってアルフレッドが家出したのは誤算だった。
でも僕がアルフレッドがいなくなったことを聞いて初めて殺気を放ったのは仕方ないと思うんだけど、母にドン引かれたのだけは痛かった。
「ああ…私のルカが悪魔の手先に……」
(手先じゃないから!ライバルだから!)
でも仕方がないから今回だけは悪魔に協力するよ。
だってアルフレッドに逃げられたくない気持ちだけは、わかるからね。
僕は僕らしく、悪魔とは違う方法でアルフレッドを連れ戻してみせる。
だって子供らしい可愛さって僕だけの特権だし。
あざとかろうとなんだろうとアルフレッドの良心に訴えて連れ戻してみせる!
そして二ッと笑って僕はゴッドハルト行きの船へと乗り込んだ。
「ゴッドハルトか…。国を出るのは初めてだな」
(アルフレッド…きっと捕まえるから待っていて)
悪魔と向かうは英雄の地────。
さて、かの国には何が待ち受けているのだろう?
僕はまだ見ぬ世界にそっと思いを馳せたのだった。
****************
※結局子世代でもアルフレッドは逃げてるというオチでした(^^)
それは横に置いておいて、実は来月からのBL大賞にエントリーしてみたので、何かしらは書きたいと思っています。
子供が生まれる前にも実はゴッドハルトに行っていた話とか、アルフレッドが熱出した話とか、ミラルカ皇国から誰かがやってきた話とかもしリクエストがあればコメント欄にてこそっと教えてください。
何かしらアップできるよう頑張りますので。
他の作品もあるのでできる範囲にはなりますが宜しくお願いします。
多分きっとこんな感じで彼らはずっと変わらないと思います(笑)
なんでもOKな方はお付き合いくださいm(_ _)m
****************
僕の名前はルカ=プリモ=ブルーフェリア。
このブルーグレイ王国の正当な後継者だ。
父の名はセドリック、母の名はアルメリア。
そして僕はその二人の間に生まれたたった一人の王子。
だからさぞ甘やかされて育っていると思うだろう?
でも全然内実は違うんだ。
そんな甘えた根性でいたら大事な人は守れないのだと僕は嫌という程知っている。
だから常に努力あるのみだ。
僕はあの悪魔と戦って、勝利をもぎ取らないといけないんだから────。
あれは僕が4、5歳くらいの頃のこと。
普通それくらい幼い頃のことって覚えていないと思うんだけど、僕は覚えてる。
だってそれくらい衝撃的な出来事だったんだから。
その頃の僕はまだ小さくて、誰が父親かなんて知りもしなかった。
いつも僕の傍に居るのは母と乳母と護衛騎士だけ。
だから本当に思い付きで言っただけだった。
「お母様。もしかして僕のお父様はアルフレッドなの?」
いつも一番多く母の傍に居る、筆頭騎士長でもある母の護衛騎士アルフレッド。
母とはいつも仲良く軽快なやり取りを繰り広げているし、僕はそんなやり取りを見ているのが好きだった。
だからそう聞いたんだ。
なのにそれを口にした途端母は慌てて僕の口を塞いできた。
「ば、馬鹿なことを言わないの!悪魔に殺されるわよ?!」
「悪魔?悪魔ってなあに?」
「悪魔は…えっと……そう!怖い人、怖い人よ!」
怖い人?
そんな人、俺はそれまで見たことも聞いたこともなかったから、きっと母の冗談だと思った。
「大丈夫だよ!怖い人が来てもアルフレッドが倒してくれるんでしょう?護衛騎士だもんね!」
アルフレッドは強いんでしょって笑って言ったら、アルフレッドも僕を抱き上げて可愛いなって笑ってくれた。
アルフレッドはいつも僕をとっても可愛がってくれるんだ。
そんなアルフレッドに僕は懐いていたし、護衛騎士の中で一番好きと言っても過言ではない。
「本当。セドとは大違いだな」
ちなみにこんな風に気さくな口調で話してくれるのもアルフレッドが父親ならいいなと思った要因の一つ。
僕は他の人よりも気さくに話してくれるアルフレッドが大好きだったんだ。
だからその日もいっぱい甘えてたんだけど、そこに母の言う『悪魔』が襲来してきた。
「アルフレッド……?」
それは初めての感覚だった。
悲鳴を上げなかったのは奇跡だったかもしれない。
ゆっくりとそちらを見ると、そこには邪悪な気を纏った金髪の大男が居たんだから。
でもアルフレッドはそんな悪魔の姿を見てもどこ吹く風だ。
「セド。子供の前だ。殺気はしまえ」
「その前にその手を放せ」
「はいはい」
そう言ってアルフレッドは僕を下へと下ろし、悪魔と向き合った。
サッと周囲を観察すると全員蒼白な顔で固まり、成り行きを見守っている。
それは母や乳母だけではなく他の護衛騎士達もだ。
平気そうなのはアルフレッドだけ────。
ということは、すなわちこの悪魔から自分を守ってくれるのはアルフレッドだけなのだと認識するわけで……。
「アルフレッド~!怖い~!」
トトトッと走ってキュッと抱き着くのは子供として当然だと思う。
「怖いよ~!」
その時抱きついて股間に頭グリグリしたのは別にわざとじゃない。
身長的に察してほしい。
それなのに……。
「どうやら俺の息子は殺されたいらしいな?」
ドスのきいたような低い声と共にズンッと空気が重さを増し、殺されるかと思う程の何かに襲われて、僕は悲鳴を上げる間もなく気絶した。
後から知ったけど、その時僕は盛大に漏らしていたらしい。
教えてくれたコリンズには内緒にしててとお願いしたけど、きっと奴は内緒になんてしてくれないだろう。そういう奴だ。
そしてその話を聞かされた後で、あの時の悪魔が父親だと知らされたんだけど、僕は母にしがみ付きながらあんな悪魔じゃなくてアルフレッドに父親になってほしいと泣きじゃくった。
それくらい怖かったんだ。
母はそんな俺を宥めてはくれたけど、アルフレッドは悪魔のお気に入りだからそんなこと言ったら殺されるわよと言われた。酷い。
そこからは隙を見てはアルフレッドに父親になってとせがみ、いっぱい甘えて自分アピールに励んだ。
アルフレッドは騎士だから剣を振るのが好きだっていうのも知ってるし、訓練場にだって積極的に見に行った。
アルフレッドは騎士の中でもダントツに強くて、兎に角カッコよくて、剣を振る姿に見惚れることもしばしば。
こんなに強かったんだと鮮烈な憧れを抱いた。
そんな中、あの悪魔と剣を合わせているところを見掛けた。
正直剣捌きが早すぎて何が何だかわからなかったけど、あの悪魔を前にしても怯むどころか楽しげに笑い、更には互角に戦って勝利を手にしていた姿に思わず拍手してしまう。
「すごい!アルフレッド、強い!悪魔倒したっ!」
でもそう口にした途端傍に居た護衛騎士が慌てて僕の口を塞いで脱兎のごとくその場から離脱してしまった。
もっとアルフレッドを讃えたかったのに……。
「お母様、今日はアルフレッドはいないの?」
その後、アルフレッドに会えたら直接凄かったと伝えようとしたのに結局会えなくて、僕はしょんぼりと母に訴えた。
「僕、アルフレッドともっと一緒に居たいな」
「え…。そ、それは絶対に無理だから諦めてちょうだい」
「どうして?お母様の護衛騎士なんでしょう?なら僕にちょうだい?」
「絶対に無理だわ。お父様が許さないもの」
「お父様が?どうして?」
「…………貴方が大きくなったらきっとわかるわ」
父のお気に入りだからダメなの?
だったらどうしたらいい?
(そうだ!)
「僕、剣ならう~!」
それならいっぱい一緒に居られるよね?
そう思ってアルフレッドにお願いしたらものすっごい笑顔で「流石セドの子!」って言われた。
セドッてあの悪魔なお父様の事だよね?
アルフレッドはお父様とも砕けた口調で話すからちょっと不思議。
友達なのかな?
────そんな風に思ったこともありました。
ソレが判明したのは今日のこと。
「アルフレッド。今日は勝ったぞ?」
「おっ前、こんなところでキスするな!」
「褒美はすぐに貰わないとお前はすぐに逃げるだろう?」
「だからって…!ちょ、やめろっ!」
模擬戦後の柱の陰で悪魔に迫られているアルフレッドを発見してしまい、僕はショックを受けた。
胸元ははだけさせられ、そこに悪魔が唇を寄せている。
しかも腰までがっちりと抱き込んで、逃げられないように足元までしっかりと固定している始末。
「は…ぅん……っ」
チュッと首筋を吸い上げられ、アルフレッドの口から飛び出す甘い声に僕は動揺する。
戦った後だからか、いつもとは違い頬が上気していてちょっと色っぽく見え、妙にドキドキしてしまった。
そしてそんな姿に思わず魅入ってしまった自分に驚き、慌ててぶんぶんと首を振る。
(ダメダメ!アルフレッドは悪魔に襲われてるんだ!見惚れてる場合じゃない!)
それにしてもどれだけ節操なしなんだろう?僕の父親は。
まさか母という妃が居ながら護衛騎士にまで手を出すなんて…。
「その手を放せ!この悪魔!」
こうなったらここは自分の手でアルフレッドを助けるのが一番だろう。
僕だってつい最近10才になったんだ。
大好きなアルフレッドは僕が守って見せる!
そう思って飛び出したんだけど、悪魔はこれっぽっちも怯むことなく更にアルフレッドを抱き寄せた。
「ル…ルカ殿下?!」
「誰かと思えば、お前か。ルカ」
慌てて身を捩り逃げようとしたアルフレッドとは対照的に、どこか楽し気にしながら悪魔が嗤う。
そんな悪魔をグッと睨むと、アルフレッドが焦ったように早く母の元に帰れと言ってきた。
でも僕はアルフレッドを悪魔から助けるって決めたから、当然そんな言葉に従う訳がない。
「アルフレッドは僕が守るんだ!」
そう言って携えてた剣を手に悪魔に向かって行ったのに、キンッと軽く弾き飛ばされた。
「愚かだな。俺からアルフレッドを奪えると思ったら大間違いだ」
「うぅ…っ!絶対にアルフレッドは助ける!アルフレッドは僕の、僕の大事な人なんだから!」
「そうか。それは残念だったな?」
そしてまた僕を軽くあしらうと、この悪魔は僕の目の前でアルフレッドの唇を奪った。
「なっ?!ちょっ…セド?!ん…んんん…っ」
必死に抵抗してたアルフレッドだけど、舌を吸われて力が抜けたのか悪魔の腕の中であっという間におとなしくなってしまう。
「アルフレッドは俺の側妃だ。お前にアルフレッドは死んでもやらん。わかったらさっさと帰れ。目障りだ」
そして冷たい目で僕を見るや否や殺気を飛ばし、アルフレッドをそのまま抱き上げて去って行ってしまう。
僕はその殺気のせいで身がすくんで動けなくて、悔し泣きをしながら見送る羽目になった。
その後母に側妃って何って聞きに行ったらお嫁さんだって教えてもらえた。
しかも母が嫁いだ時からなんだと聞いて更にショックを受けてしまう。
そんなに前から悪魔はアルフレッドをと悔しく思った。
でも絶対にこのままおとなしく引き下がったりはしたくない。
あの悪魔にこのままアルフレッドを奪われ続けてたまるもんか!
そんな思いが僕を突き動かす。
「あんな父親にアルフレッドはあげない!側妃だなんて認めないから!!」
(アルフレッドを独り占めになんてさせない!!)
絶対に邪魔してやると心に誓い、併せて剣の鍛錬も積んでやると気合いを入れる。
そして僕と悪魔の攻防戦は幕を開けることとなったんだけど……。
「お前ら親子で俺を取り合うな────!!」
そう言ってアルフレッドが家出したのは誤算だった。
でも僕がアルフレッドがいなくなったことを聞いて初めて殺気を放ったのは仕方ないと思うんだけど、母にドン引かれたのだけは痛かった。
「ああ…私のルカが悪魔の手先に……」
(手先じゃないから!ライバルだから!)
でも仕方がないから今回だけは悪魔に協力するよ。
だってアルフレッドに逃げられたくない気持ちだけは、わかるからね。
僕は僕らしく、悪魔とは違う方法でアルフレッドを連れ戻してみせる。
だって子供らしい可愛さって僕だけの特権だし。
あざとかろうとなんだろうとアルフレッドの良心に訴えて連れ戻してみせる!
そして二ッと笑って僕はゴッドハルト行きの船へと乗り込んだ。
「ゴッドハルトか…。国を出るのは初めてだな」
(アルフレッド…きっと捕まえるから待っていて)
悪魔と向かうは英雄の地────。
さて、かの国には何が待ち受けているのだろう?
僕はまだ見ぬ世界にそっと思いを馳せたのだった。
****************
※結局子世代でもアルフレッドは逃げてるというオチでした(^^)
それは横に置いておいて、実は来月からのBL大賞にエントリーしてみたので、何かしらは書きたいと思っています。
子供が生まれる前にも実はゴッドハルトに行っていた話とか、アルフレッドが熱出した話とか、ミラルカ皇国から誰かがやってきた話とかもしリクエストがあればコメント欄にてこそっと教えてください。
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寂しいと言えば寂しかった。これまで、彼に相応しくなりたくて、頑張ってきたつもりだったから。だけど、仕方ないんだ……
全てを諦めて、王都から遠い、幽閉の砦に連れてこられた僕は、そこで新たな生活を始める。
食事を用意したり、荒れ果てた砦を修復したりして、結構楽しく暮らせていると思っていた矢先、森の中で王都の魔法使いが襲われているのを見つけてしまう。
*残酷な描写があり、たまに攻めが受け以外に非道なことをしたりしますが、受けには優しいです。
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