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【視点更新】
アルベルトの心境(4)69話と70話つなぐ物語・後編
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ひまず脱いでいた寝間着を着た。
聖女オリビアが私の寝室に来たということは、三騎士と警備の騎士を制圧している。まさかか弱き聖女に、三騎士がやられるなんて……。武力では無理だろう。何か薬を使ったのではと予想する。
三騎士と警備の騎士の様子を見るため、バスルームを出ると。
カリカリと爪で木を研ぐような音がする。
部屋の明かりはつけていないので、暗い。
目を閉じ、耳に集中し、音がする方向を捉える。
寝室の入口のドアだ。
ドアノブを掴み、唱えるべき魔法を頭に思い浮かべる。
目くらましをするなら、光の魔法がいいだろう。
ドアノブを回し、グッと押すと。
応接室は真っ暗で誰もいないが、足元に何かがぶつかる。
「なんだ!?」
何か小動物が部屋に飛び込んできた。
目を凝らすと、猫ぐらいのサイズの白い動物が、部屋の中を駆けているのが見える。
魔法を詠唱すると。
小動物は、その場でコロンと転がった。
眠りの魔法で眠らせた。
近寄り、手元を光の魔法で照らすと……。
ミニブタ……?
真っ白なミニブタが転がっている。
なぜ応接室にミニブタがいた……?
全く理解ができない。
しかもわたしの呪いを解く行動に、このミニブタが関わっていたのかどうかも分からなかった。ひとまずミニブタを抱え、応接室へと向かう。
応接室の床で、眠らされているミゲルと二人の警備の騎士を発見することになった。二人の警備の騎士はすぐに目覚めたが、ミゲルの眠りは深い。これはかなり強い魔法で眠らされている可能性が高かった。無理に起こすのはやめ、警備の騎士に事情を聞く。ミゲルのことは部屋に運ばせることにした。
警備の騎士の話を聞く限り。
聖女オリビアがわたしの呪いを解くため、周到に立てた計画を元に、寝室へ来たことは間違いない。しかも聖女でありながら魔法を使える……?
彼女が本当は何者なのか。
それは気になるが、目覚めたら本人に聞けばいい。
それよりもパトリシアだ。
ミゲルを部屋に運ばせた警備の騎士には、ルイスを起こし、連れて来るように命じてある。ルイスが来たら、パトリシアを探すよう指示を出すつもりだったが。
聖女オリビアは、わたしのベッドで意識がない状態。
さすがにこのまま朝まで、わたしのベッドで寝かせておくわけにいかない。
この部屋には使っていないベッドルームがもう一つあった。そこに彼女を運ぼう。
寝室に戻り、ベッドへ近づく。
起こすのは可哀そうだと思い、寝室の明かりはつけていない。
だが応接室の明かりはついており、寝室のドアは開けてある。
だから部屋の中はうっすらと明るい。
「……!」
聖女オリビアの髪は、プラチナブロンドでストレートだったと思うのだが。
十分に明るいとはいえない状況だが、その髪は波打つようなブロンドに見える。
まさか……。
横向きの聖女オリビアの顔をこちらへ向けると。
「……パトリシア!」
間違いない。
この目元、鼻、ぷっくりとした唇。
魔法で変身していたのか? それがさっきの衝撃で解けたのか?
「パトリシア……!」
その華奢な体を抱きしめる。
感じる。
パトリシアの香り、体温、柔らかさ。
夢の中で抱きしめたパトリシアは、花びらとなって消えてしまったが。
目の前にいるパトリシアは。
無防備なまま、静かにわたしの腕の中で、抱きしめられたままでいた。
聖女オリビアが私の寝室に来たということは、三騎士と警備の騎士を制圧している。まさかか弱き聖女に、三騎士がやられるなんて……。武力では無理だろう。何か薬を使ったのではと予想する。
三騎士と警備の騎士の様子を見るため、バスルームを出ると。
カリカリと爪で木を研ぐような音がする。
部屋の明かりはつけていないので、暗い。
目を閉じ、耳に集中し、音がする方向を捉える。
寝室の入口のドアだ。
ドアノブを掴み、唱えるべき魔法を頭に思い浮かべる。
目くらましをするなら、光の魔法がいいだろう。
ドアノブを回し、グッと押すと。
応接室は真っ暗で誰もいないが、足元に何かがぶつかる。
「なんだ!?」
何か小動物が部屋に飛び込んできた。
目を凝らすと、猫ぐらいのサイズの白い動物が、部屋の中を駆けているのが見える。
魔法を詠唱すると。
小動物は、その場でコロンと転がった。
眠りの魔法で眠らせた。
近寄り、手元を光の魔法で照らすと……。
ミニブタ……?
真っ白なミニブタが転がっている。
なぜ応接室にミニブタがいた……?
全く理解ができない。
しかもわたしの呪いを解く行動に、このミニブタが関わっていたのかどうかも分からなかった。ひとまずミニブタを抱え、応接室へと向かう。
応接室の床で、眠らされているミゲルと二人の警備の騎士を発見することになった。二人の警備の騎士はすぐに目覚めたが、ミゲルの眠りは深い。これはかなり強い魔法で眠らされている可能性が高かった。無理に起こすのはやめ、警備の騎士に事情を聞く。ミゲルのことは部屋に運ばせることにした。
警備の騎士の話を聞く限り。
聖女オリビアがわたしの呪いを解くため、周到に立てた計画を元に、寝室へ来たことは間違いない。しかも聖女でありながら魔法を使える……?
彼女が本当は何者なのか。
それは気になるが、目覚めたら本人に聞けばいい。
それよりもパトリシアだ。
ミゲルを部屋に運ばせた警備の騎士には、ルイスを起こし、連れて来るように命じてある。ルイスが来たら、パトリシアを探すよう指示を出すつもりだったが。
聖女オリビアは、わたしのベッドで意識がない状態。
さすがにこのまま朝まで、わたしのベッドで寝かせておくわけにいかない。
この部屋には使っていないベッドルームがもう一つあった。そこに彼女を運ぼう。
寝室に戻り、ベッドへ近づく。
起こすのは可哀そうだと思い、寝室の明かりはつけていない。
だが応接室の明かりはついており、寝室のドアは開けてある。
だから部屋の中はうっすらと明るい。
「……!」
聖女オリビアの髪は、プラチナブロンドでストレートだったと思うのだが。
十分に明るいとはいえない状況だが、その髪は波打つようなブロンドに見える。
まさか……。
横向きの聖女オリビアの顔をこちらへ向けると。
「……パトリシア!」
間違いない。
この目元、鼻、ぷっくりとした唇。
魔法で変身していたのか? それがさっきの衝撃で解けたのか?
「パトリシア……!」
その華奢な体を抱きしめる。
感じる。
パトリシアの香り、体温、柔らかさ。
夢の中で抱きしめたパトリシアは、花びらとなって消えてしまったが。
目の前にいるパトリシアは。
無防備なまま、静かにわたしの腕の中で、抱きしめられたままでいた。
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