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40:私がどうなるのか、気になるのか……?

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「どうした、オリビア?」

「その、明日のことで質問が」

どうしても聞きたいという質問ではなかった。
ただ、明日にはこの屋敷を出て、プラサナス城へ向かう。
最後にアズレークと話したいと思っただけだ。
それは別にどんな話でも構わなかった。
だがアズレークは、今回の計画と関係のないことを話すつもりはないと思ったから。

とりあえずいくつか浮かぶ、他愛のない質問をぶつけることにした。

「質問? いいだろう。何を聞きたい?」

浮かしかけた腰をソファにおろし、アズレークが私を見る。

「その、明日、プラサナス城にはスノーと私の二人で向かいます。城についてから私がどう動いているのか、ゴースト退治をちゃんと成功させたのか。計画をうまくやれたのか、その確認を、アズレークさまはどうされるのですか?」

「私はプラサナス城の敷地内に入ることはないが、この屋敷にいるつもりもない。城が見られる場所に潜むつもりだ。そこにいれば、城で起きていることも分かるし、噂も入ってくる。だからオリビアたちの動きも分かる」

そうだったのか。
私とスノーを送り出した後も、城から離れたこの屋敷にいるのかと思ったが……。城が目に入るような場所にいてくれるなら。少し安心だ。本当は……そばにいて欲しい。

「廃太子計画が無事終わったら、スノーと私は自由の身ですが、アズレークさまはどうなるのですか?」

そんな質問をされると、思っていなかったようだ。

意外。

そんな顔で、アズレークは私を見る。

「……私がどうなるのか、気になるのか……?」

「はい。だって標的(ターゲット)である私を手に掛けなければ、アズレークさまに刺客が放たれる可能性もあるのでは?」

「私を狙った刺客、か」

フッとアズレークが笑みを漏らす。

「オリビアは、私の魔力と魔法を分かっているだろう? 刺客が来ても、返り討ちにできる。問題ない。心配は不要だ」

「そうですよね……」

くだらない質問をしてしまったと後悔したが。

「だが、意外だ。オリビアが私のことを心配するなんて。君からしたら、私は嫌な奴だろう。やりたくもない計画を遂行するよう、言われているのだから」

「そ、それは……」

確かに廃太子計画を私にやらせることは……あり得ないと思っている。
でもだからってアズレークを嫌いかと問われれば……。

本来であれば嫌って当然だ。
だが、どうしても、嫌いになれない。

「それに君がアルベルトをどれだけ好きかは……。昨晩、よく分かった。爵位を剥奪され、一家離散となり、修道院送りになった。自分ではない女性を選んだアルベルトを、まさかあそこまで……」

「いえ、そんな、私は」

「別に誤魔化したり、隠したりする必要はない。自分の気持ちに素直になれるのが、一番だ」

そう言うとアズレークは再び、ソファから腰を浮かせた。

「何か質問したいことあれば、書斎に来るといい」

「……分かりました」

部屋を出て行くアズレークの姿を、ただ見送ることしかできなかった。
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