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2:意外と楽しいですのよ
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正直、修道女なんて……。
そう思っていたが。
住めば都というのだろうか。
思いのほか……楽しい。
主への祈りとか、いろいろ日課もあるが、お菓子作りをしたり、併設された孤児院の子供と遊んだりと、それはそれで楽しめる。
何より……。もちろん接触の機会はないが、イケメン修道士もいるわけで。
遠くから秘かに眺めたり、絵の上手い仲間に姿絵を描いてもらったり、仲の良い修道女と推し修道士の妄想話で盛り上がったり……。本当はね、そんなことは許されない。けどみんな、喪女で、この後死ぬまでここにいるわけだから。ちょっとした息抜きは必要だ。
というわけで修道院に来てもうすぐ1年が経とうとしていたこの日。
「え、トリュフを収穫しに行くの!?」
「そう。この修道院の裏の森で、貴重な白トリュフがとれるのよ」
それを教えてくれたのは、元伯爵令嬢で、私より10歳年上の30歳のニルダだ。
ニルダは、綺麗なブルネットの髪と形のいい黒い眉と黒い瞳の持ち主。肌は健康的な小麦色をしており、溌剌として明るい性格をしている。私と同じ、グレーの修道服を着ているが、その胸元ははちきれそうで、かなりのダイナマイトボディだ。
家が没落し、30歳も年上の商人の愛妾にされそうになり、この修道院へ逃げてきた。家が没落しなければ、きっと素敵な貴族のご子息と結婚もできただろうに……。
「この子たちを連れて行くの。一匹、パトリシアに任せていい?」
そう言ってニルダが私に手渡したのは……ミニブタだ。
毛は真っ白で、つぶらな瞳で可愛らしい。
「この子、名前はあるの?」
「その子はスノーよ。ちなみにメス」
「へぇ~」
ニルダを先頭に、私達は修道院の裏の森に、ミニブタを連れ入っていく。
しばらく進むとニルダはミニブタを放つように言った。
地面にスノーをおろすと……。
最初はおろされた場所の土や草の匂いを嗅いでいたが。
耳をピクピク、鼻をひくひくさせ、ちょこまかと動き出す。
「どうやら、見つけたみたいよ、パトリシア。ミニブタはね、トリュフが発するアンドロステロールに反応するの。この香りはブタちゃんにとってはフェロモン。素敵なオスがいるわ~って惹きつけられちゃうのよ」
「なるほど」
「掘り出したらこのリンゴをスノーにあげて。そうしないとトリュフを食べちゃうから」
「分かったわ」
一口サイズにカットされた林檎が入った容器と籠を手に、スノーの後を追う。
スノーは木々の間の土の匂いをしきりに嗅ぎ、そこを掘り起こし始めた。
どうやらここにあの高級食材トリュフがあるようだ。
「あ、スノー、待って!」
ついにスノーがトリュフを掘り当てた。
急いでスノーに林檎を与え、トリュフを地面から取り出す。
これが森の宝石と言われるトリュフなのね……。
トリュフはきのこの一種らしいが、見た目は私の知るきのことは全然違う。こんな塊が高級食材とは……。
!!
スノーはすでに私から離れた場所で、またも地面を掘り始めている。持っていたカゴにトリュフをいれ、スノー所へ向かった。
その後もスノーはトリュフを掘り当て、カゴの中には既に10個近い白トリュフが入っている。これを前世で販売したら、一体いくらになっただろう?
そんなことを思っていると、ニルダが離れた場所から手を振っている。
「パトリシア、お昼にしましょう~!」
「は~い!」
トリュフを採りに森に入るのに合わせ、サンドイッチを用意していた。たっぷりの卵サンドを思い出し、お腹の虫も鳴いている。
「スノー、一旦休憩よ」
疲れを見せずに地面の匂いを嗅いでいるスノーに声をかける。
すると。
そう思っていたが。
住めば都というのだろうか。
思いのほか……楽しい。
主への祈りとか、いろいろ日課もあるが、お菓子作りをしたり、併設された孤児院の子供と遊んだりと、それはそれで楽しめる。
何より……。もちろん接触の機会はないが、イケメン修道士もいるわけで。
遠くから秘かに眺めたり、絵の上手い仲間に姿絵を描いてもらったり、仲の良い修道女と推し修道士の妄想話で盛り上がったり……。本当はね、そんなことは許されない。けどみんな、喪女で、この後死ぬまでここにいるわけだから。ちょっとした息抜きは必要だ。
というわけで修道院に来てもうすぐ1年が経とうとしていたこの日。
「え、トリュフを収穫しに行くの!?」
「そう。この修道院の裏の森で、貴重な白トリュフがとれるのよ」
それを教えてくれたのは、元伯爵令嬢で、私より10歳年上の30歳のニルダだ。
ニルダは、綺麗なブルネットの髪と形のいい黒い眉と黒い瞳の持ち主。肌は健康的な小麦色をしており、溌剌として明るい性格をしている。私と同じ、グレーの修道服を着ているが、その胸元ははちきれそうで、かなりのダイナマイトボディだ。
家が没落し、30歳も年上の商人の愛妾にされそうになり、この修道院へ逃げてきた。家が没落しなければ、きっと素敵な貴族のご子息と結婚もできただろうに……。
「この子たちを連れて行くの。一匹、パトリシアに任せていい?」
そう言ってニルダが私に手渡したのは……ミニブタだ。
毛は真っ白で、つぶらな瞳で可愛らしい。
「この子、名前はあるの?」
「その子はスノーよ。ちなみにメス」
「へぇ~」
ニルダを先頭に、私達は修道院の裏の森に、ミニブタを連れ入っていく。
しばらく進むとニルダはミニブタを放つように言った。
地面にスノーをおろすと……。
最初はおろされた場所の土や草の匂いを嗅いでいたが。
耳をピクピク、鼻をひくひくさせ、ちょこまかと動き出す。
「どうやら、見つけたみたいよ、パトリシア。ミニブタはね、トリュフが発するアンドロステロールに反応するの。この香りはブタちゃんにとってはフェロモン。素敵なオスがいるわ~って惹きつけられちゃうのよ」
「なるほど」
「掘り出したらこのリンゴをスノーにあげて。そうしないとトリュフを食べちゃうから」
「分かったわ」
一口サイズにカットされた林檎が入った容器と籠を手に、スノーの後を追う。
スノーは木々の間の土の匂いをしきりに嗅ぎ、そこを掘り起こし始めた。
どうやらここにあの高級食材トリュフがあるようだ。
「あ、スノー、待って!」
ついにスノーがトリュフを掘り当てた。
急いでスノーに林檎を与え、トリュフを地面から取り出す。
これが森の宝石と言われるトリュフなのね……。
トリュフはきのこの一種らしいが、見た目は私の知るきのことは全然違う。こんな塊が高級食材とは……。
!!
スノーはすでに私から離れた場所で、またも地面を掘り始めている。持っていたカゴにトリュフをいれ、スノー所へ向かった。
その後もスノーはトリュフを掘り当て、カゴの中には既に10個近い白トリュフが入っている。これを前世で販売したら、一体いくらになっただろう?
そんなことを思っていると、ニルダが離れた場所から手を振っている。
「パトリシア、お昼にしましょう~!」
「は~い!」
トリュフを採りに森に入るのに合わせ、サンドイッチを用意していた。たっぷりの卵サンドを思い出し、お腹の虫も鳴いている。
「スノー、一旦休憩よ」
疲れを見せずに地面の匂いを嗅いでいるスノーに声をかける。
すると。
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